三鷹中央学園 三鷹市立第四中学校の「四中ゆないと」では、放課後の時間を活用しながら、キャリア・アントレプレナーシップ教育の一環として『農業×ビジネス』に取り組む活動を実施。栽培・収穫・商品開発・販売・収支報告などを実践しながら学んでいきます。
今回、皆さんが育てたのは「さつまいも」。ロールケーキとして商品化&販売し、なんと200個が完売。そして、「この活動を報告する動画を作りたい!」とのことで、シナリオ・センターの新井が講師として出前授業(全2回)を実施させていただいております。
前回は、その動画の“もと”となるエピソードを、シナリオの技術「構成(起承転結)」に沿って書き出していきました。
>>前回の模様はこちらから。
・これまでの活動を報告する「振り返り動画」を作るとき
その後、皆さんに書き出してもらったエピソードをもとに、新井と動画制作担当の方とで、“仮”で動画を作成。今回は、この仮動画を皆さんに観てもらい、修正し、ナレーション収録、をしていきます。
なお、今回皆さんが作る動画は、活動中に撮ってきた記録用画像をつなげて、各シーンにナレーションを入れていきます。このナレーションの文章を考えるときは、「このとき、どんなことをしたのか、どう思ったのか」がきちんと伝わるようにします。そのためのポイントは2つ。
①具体的な言葉で表現する。
②「最初はうまくいかなかった」という出来事も入れる。
では、実際にどうやって動画にナレーションを入れていったのか、広報の齋藤がレポートいたします。「振り返り動画(活動報告動画)を作りたい!」という方、今回ご紹介するやり方を取り入れてみてください。
==今回の概要==============
・サービス名:「PR動画を作ろう!」
・目的:活動報告VTR作り
・対象:三鷹中央学園 三鷹市立第四中学校「四中ゆないと」さま
・時間:約2時間
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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ナレーションはより具体的な言葉で
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まず最初に、新井たちが“仮”で作った動画を皆さんに観てもらいます。
そして、新井が“仮”で考えたナレーションと、動画制作担当の方が“仮”で並べた画像を、このまま採用するか、修正・変更するならどんな感じにするのか、決めていきます。
〇新井: 前回、動画のテーマを仮で「商品開発の楽しさ」にしましたよね。このままこのテーマで大丈夫ということでなので、観る人に商品開発の楽しさが伝わって、「中学生でもこんなことができるんだ!」と思ってもらえるような動画にしていきましょう!
――「はい!」と皆さん気合い十分です。これから怒涛のチェックが始まります。
〇新井:みんなが書き出してくれたエピソードをもとに僕が“仮”で考えたナレーションが、動画を構成するこのシートの「セリフ」というところに書いてあります。本当にこの文章でいいのか、順にチェックしていこう!みんなの言葉・ニュアンスにジャンジャカ直しちゃってくださいね~。
〇生徒さん:このテロップの「学校に貼り出された1枚の紙」ですが、貼り出されたんじゃなくて、配られました。
〇新井:そうなんだ!じゃあ、配られた紙を見て、みんなどう思ったの?僕が“仮”で考えたナレーションは「正直そこまでノリ気ではなかった」にしていたけど、どう?
〇生徒さん:私は最初はあんまりノリ気じゃなかったんですけど、入学式のときに校長先生が「3C」のお話をしてくださって。これは3つのC「Chance,Challenge,Change」のことで、学校便りにも載っていたり、クラス目標にもなっていたりしていて。で、「中学生になったし、やってみようかな!」って。
〇生徒さん:僕はイモ堀りがしたかったから即決で参加を決めたけど、でもそうだ、紙を見て、「3C」のこと思った!
〇新井:おお、「3C」っていうワードがあるんだぁ。中学生になったから、チャンスをつかんで、どんなことにもチャレンジして、成長した自分にチェンジしていこう!みたいな感じ?
今の話、具体的ですっごくいいね。観る人も「そうなんだ!」って引き込まれるよ。じゃあ、この“決意した感じ”をナレーションに入れよう!
〇生徒さん:はい!じゃあ、このシーンのナレーションは「3C」の話をしてから、「中学生になったからやってみようと思いました!」っていうヤル気が漲っている感じにしたいです。
――新井も他の生徒さんも「いい!いい!そのナレーション」と大賛成。こんな感じで、みんなでそのときの気持ちを思い出しながら、自分たちの言葉に直していきます。
〇新井:じゃあ、次はこの「沢山の虫がいました」っていうシーンについて。みんなに書き出してもらったエピソードには「沢山の虫がいました」って書いてあったからこのまま引用したんだけど、具体的にはどんな虫がいたの?
〇生徒さん:う~ん、なんか小さいヤツ、あと、ハエみたいな羽が生えたヤツ。名前が分かるのは、ネキリムシの幼虫、ミミズ、アリとかかな。土をいじっているとカオにブーンってあたったりとか……。
〇新井:こういうエピソードいいですね!具体的にどんな虫がいたか言ってもらえると「うわっ、それは大変だったね……」とそのときのみんなの気持ちがよく伝わりますよ。この要領で、ほかのシーンのナレーションも、より具体的に直していきましょう!
「最初はうまくいかなかった」という出来事も入れる
〇新井:このイモ堀りのシーン。ここもみんなに確認してもらいたいんです。使う画像はこれなんだけど↓
〇新井:聞いたところによると、みんなが思っていた“収穫”じゃなかったんでしょ?
〇生徒さん:そうなんです。自分たちの畑でイモ堀りする前に、農業監修をしてくださっている鴨志田さんの畑で掘らせてもらったんですが、そのときは大きいのがいっぱい獲れたんですよ。
〇生徒さん:だから、大きいのがゴロゴロとまではいかないにしても、自分たちの畑でもまあまあ獲れるかなって思っていたんです。
〇生徒さん:でも実際は、掘っても掘っても掘っても、小さいのしか出てこなくて……。
〇新井:ガーンって感じだったんだね……。でも、こういうエピソード、いいですよ!活動を報告する動画では良い出来事よりも、「最初はうまくいかなかった……」ということを強く出していったほうがいいんです。
で、そのあとに「最初上手くいかなかったけど、こうやって出来るようになった!解決した!」ということも強調していくと、観る人は「あぁ、そうだったんだ!」「よかった!」と感情移入してくれます。感情移入すればするほど、観る人は動画に引き込まれて「面白い」と思ってくれるんですよ。
――「そうかそうか」と強く頷く生徒さんたち。新井のアドバイスを受け、どんなナレーションにするか、皆さんで相談。新井が“仮”で入れていた「いっぱい獲れるかな、いよいよ収穫」を、より具体的な言葉で、なおかつ、いまお話ししてくれたような“最初のガッカリ感”も伝わるようなものに修正していきます。
〇生徒さん:こういうナレーションはどうでしょう?「掘っても掘っても掘っても小さい。ただの根っこかな、ごぼうかな、と思った。8割小さい、2割まだマシ、大きいのはほぼナシ……。こんなので、ほんとに商品になるのかな……」。
〇新井:すっごくいい!!
――周りにいる、このプロジェクトに携わっている方々も「いい!」「ほんとにそうだったよねぇ、あのときはビックリしたよねぇ」と頷いてくれています。この後も、生徒の皆さんで着々と画像やナレーションを修正。約55シートにも及ぶ動画すべてのチェックが無事終わりました。さて、次はいよいよナレーションの収録です。
みんなで協力し合ってナレーションの収録!
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〇新井:ナレーションはiPhoneで録ります。ココに立って、セリフを言ってもらいます。ナレーションは11個ぐらいあります。「ここは誰がやる」とパートごとに分けるといいかも。
――「じゃあ、私いきます!」と先陣を切ってくれたのは、演劇部の生徒さん。抑揚をつけて、感情がこもっていて、ときにはアドリブも入れたり、もうすっごく上手です。
他の生徒さんから「そんなうまくできない……」と不安な声があがると、「気分があがるようなセリフのときは語尾を上げて、気分が落ちているようなときは語尾を下げるといいよ!」「“……”の部分も意識して読むといいよ!」と優しくアドバイスしてくれます。
また、「ほんとに、こういうの苦手……いやだなぁ……」と緊張してしまう生徒さんは、“短いナレーション専門”にして、他の生徒さんが「このセリフは短いからどうぞ!」と促したり、すばらしいチームワークです!
新井は「さっきセリフを決めたばかりなのに、こんなに上手に言えて、すごすぎる!」と感心しっぱなしで、ナレーションの様子を見守っています↓
収録の最中、
〇生徒さん:「掘っても掘っても掘っても」と3回強調するところはみんなで言おうよ!
〇生徒さん: 「果たして商品は出来上がるのか!」っていうナレーションもみんなで言いたい!
――ということで“ひとりずつ”のパートだけでなく、みんなで言うパートも作りました。
――こんなふうに、ナレーションのときも皆さんでアイデアを出しあいながら完成!
「無事おわったー!」とみんなで拍手。皆さん、本当にお疲れ様でした!!
――担当の方のお話によると、活動日は今日でおしまい。今後、この動画をどこでどう上映するかを決めていくとのことです。動画を観てもらって、どんな感想がいただけるか、楽しみですね!
こちらの「みたかジュニアビレッジ」のnoteでは、これまでの活動が紹介されています。是非ご覧ください↓
https://note.com/4chu_unite_2021/
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「自分たちも活動を報告する動画を作りたい!」というかた、今回ご紹介したやり方を参考にしてください。そして、「うちも出前授業(キッズシナリオ)をやってほしい」とご興味ある方はお気軽にご連絡ください。
▼キッズシナリオについて
シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。
2010年、「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
https://youtu.be/_5YJL-Zuibc