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書きたいことを形にするには/小学校高学年・中学生が物語を考える

書きたいことを形にするには/小学校高学年・中学生が物語を考える

キッズシナリオ「考える部屋」担当の新井は、毎回子どもたちの作品に感動しています!

“ぼんやりと思うこと”を具体的なカタチに

「こんな感じのことを書きたいなぁ」とぼんやり思っていることを形にするのは難しいですよね。でも、シナリオの技術を使えば、“ぼんやりと思うこと”を具体的なカタチに変えることができます。今回はその模様を広報の齋藤がレポート。

ご紹介するのは、小学5.6年~中学生向けオンラインクラス「考える部屋」の子どもたち。「イメージしている物語を面白い物語として描くことができるようになる」という目的に向かって、毎回異なるお題のもと、アイデア出しやシナリオ作りをしています。

先日実施した「エピソード19」(=19回目)では、「テーマ・モチーフ・素材」を考えることで物語の内容を具体的に発想していくという方法を実践しました。その様子をご覧ください。

※なお、「考える部屋」の講師陣は4名。
「先生」ではなく「あだ名」で呼んでいます。
▼小・中学生向けオンライン創作講座『考える部屋』講師紹介

物語の全体像のアイデアを出していく方法

〇新井:今回で「エピソード19」。最終回となる「エピソード24」は大発表会です。昨年の「エピソード12」で実施した中間発表会では、自分で自分の作品を読んでもらいましたよね。

>>中間発表会の模様はこちらをご覧ください。
▼「物語を書くのが好き!」な子どものチカラ 

〇新井:でも、大発表会ではなんとプロの声優さんがみんなのシナリオを読んでくれます!

〇皆さん:わぁ!!!

〇新井:すごいでしょ!

で、そこに向けて、レベルアップしていくために、今回から目標を“追加”したいと思います。以前から「表現技術を使いこなそう」というのは言っていたよね?

そこに加えてこちらの2つも目指していこう!

〇新井:勿論「らしさ」は大切だし、いまのままでも十分なんだけど、たまにね、全部じゃなくていいよ、たまに自分らしい表現からちょっと踏み出してみる。ちょっと冒険してみる、みたいなことを挑戦すると、もっともっとみんなの表現の幅が広がると思います。

それから、「伝える」と「伝わる」の違いは簡単に言うと、「伝える=こちら側が一方的に言いたいこと=自分が主体」で、「伝わる=相手が理解できること=創作の場合は読者・観客・視聴者が主体」ということ。自分の伝えたいことを読んだり観たりする人に伝わるように、今までの技術を使って表現していきましょう。

――Zoom画面の中の皆さんが、各自で用意してくれているノートに一生懸命メモしているのが見えます。

〇新井:で、今回やるのは、“オリジナル作品を描く力をUPさせよう!①”。本日の考えるコトは「伝えたいテーマから物語を考えてみよう!」です。

以前、箱書きについて解説したとき、「テ―マ(=自分が伝えたいこと)」のシーンを考えて、そこから逆算して、じゃあどういう風に物語の構成を考えようか、というのをやったよね。今回もそれに近い部分ではあるんだけど、今日は伝えたいテーマから物語を考えます。箱書よりも、もうちょっと“大枠”。物語の全体像のアイデアを出していく方法だと思ってもらえればいいかなと思います。

ではどうやっていくかというと、「テーマ」「モチーフ」「素材」を考えていきます!

「テーマ・モチーフ・素材」=「伝えたいこと・象徴・天地人」

*

〇新井:「テーマ」は「伝えたいこと」。これは「友情の大切さ」とか、シンプルな言葉でOKです。

「モチーフ」は、「テーマ」を具体的にしたもの。シナリオ・センターでは「テーマを“肉体化”するもの」と言っているんだけど、簡単に言うと、タイトルなしでも「ああ、あの話」と分かるような、「作品を象徴するもの」と考えてもらえばいいかな。

「素材」はモチーフを具体的にしたもの。以前、箱書きや構成(起承転結)についてお話しした際に出てきた「起」の機能である「天・地・人(=時代・舞台・人物)」のことです。

ただ、考えていく順番は、必ずしも「テーマ→モチーフ→素材」でなければいけない、ということはありません。例えば、「こういう女の子の主人公を描きたいな」っていう「素材」から考えていったってOKです!

じゃあ、ちょっと「テーマ、モチーフ、素材」の考え方に慣れていくために、例題をだしてみるね。このテーマ、モチーフ、素材で構成されたドラマは何でしょうか?

■テーマ:友情の大切さ
■モチーフ:不良、野球、目指せ甲子園
■素材:現代、二子玉川、川藤幸一先生

〇Bくん:あ、『ROOKIES』だ!

〇新井:正解!すでにあるドラマで考えてみると分かりやすいでしょ?

あとね、同じテーマでも、モチーフが変わると素材も変わってくるんだよ。

――ここで、講師のもんちゃんがまた具体例を紹介。

〇もんちゃん:例えば、テーマがさっきと同じ「友情の大切さ」でも、モチーフが「自転車」だったら……

〇Sちゃん:『弱虫ペダル』!

〇もんちゃん:そうです!なんとなく雰囲気がわかったよね?

――Zoom画面の中の皆さんが頷いてくれています。

この後、発想を広げる「ブレスト」をしていきます。「自分と向き合う大切さ」というテーマで、モチーフと素材を即興で考え、順に発表。いつもそうですが、即興とは思えないほど、皆さんバンバン発表していきます。

ブレストで皆さんの“エンジン”がかかってきたところで、今度はじっくり、テーマ、モチーフ、素材を考えてもらいます。

〇新井:テーマは自由。でも思いつかなかったらさっきの「自分と向き合う大切さ」でもいいですよ。20分間、時間をとりますので、もう自由に、テーマ、モチーフ、素材を考えてみてください。で、この3つを考えていく中で「こういうシーンがありそうだなぁ」というイメージが湧いたら、そのシーンもどんどん書いちゃってください。毎度のことながら、みんながどんなことを考えるのか、すっごい楽しみです!それではシンキングタイム、スタート!!

――新井の掛け声と同時に、Zoom画面の中の皆さんは一斉に下を向き、黙々と書いていきます。

みんなの“考えるチカラ”がグングン向上中!

*

さて、いよいよ発表です。次々と、新井が「ほんとに、いまの20分で考えたの?毎度ながらすごすぎる!」と驚くようなテーマ、モチーフ、素材が発表されていきます。

例えば、1つご紹介します。Sちゃんが考えたものがこちら。

「テーマ」は「個性とは何なのか」。日本はみんなと同じであることが良いとされてきたけれど、一転、個性を重視した教育にしようという政策が打ち出された世界のお話で、Sちゃんが考えた「政策」の名称が「モチーフ」になっています。

「素材」は、時代が「2100年」、主な舞台は「中学校や自宅」。主人公は、夢も希望もなく、周りの友達に流されて流されて生きてきて、本当に好きなものが自分でも分かっていない「普通すぎる中学生の女の子」。個性をすでにもっている子たちが周りにいる中で、「自分の個性って何なんだろう?」と考えていく、という物語です。

〇Sちゃん:いま考えたシーンとしては、主人公が家族と朝ごはんを食べていたときに、テレビの画面が急に変わって、大臣の会見が始まる。すごい熱血な大臣がこの政策を発表しているシーンから始まるような感じです。

――Zoom画面の中の皆さんが一斉に拍手。「もうすごいとしか言いようがない」と感動している新井。講師のてっちゃんも「これ、観たい!すっごい面白そう!」と感動。そして感想も伝えます。

〇てっちゃん:ちょうどいま、「多様性 多様性」と言われている時代だから、「なぜ今このテーマの作品を作るのか」という「今日性」もちゃんと考えられているね。ほんとに今にあってる作品。

たぶん、いま即興で考えてくれたからだと思うんだけど、時間があるときに、具体的な政策をいくつかじっくり考えてもらうといいかなって思うんですよ。どんな政策のシーンが見えるのかなっていう。政策をもっと具体的な“絵柄”にしていくとね、もう抜群に優れたモチーフになってくると思いますよ。

――とここで、新井が気になったことをSちゃんに質問。

〇新井:Sちゃんの中では、テーマ「個性とは何なのか」に対する答えみたいなものはもうあったりするの?

〇Sちゃん:はい。「個性を出しなさい」と言われると意識しすぎて自分を作っちゃったりもすると思うんですけど、でも、どんなときでも残ってしまうような自分の中にある「軸」が個性なんじゃないかなと思っているので、最終的にはそこにいけたらなぁと。

――メンバー一同、「おお!!!」。

子どもたちと一緒に“勉強する側”で「考える部屋」に参加してくださっている出身ライターの田嶋久子さんからはこんなアドバイスをいただきました。なお、ここでは「ちゃこさん」と呼ばれています。

〇ちゃこさん:全てを削ぎ落として最後に残る軸のようなものが個性。これは名言。心を打たれました。

それから参考までになんだけど、「学校法人 きのくに子どもの村学園」っていう学校があってね、本やドリルで勉強するよりも、実際に作ったり調べたりする活動が重視されていて、それが学習の中心になっているの。例えば、自分たちで何か作るんだったら寸法を測ったり考えたりする。それには数学の知識が必要でしょ?そういう体験を通して学んでいくんです。こういう理念を引き継いだ学校がいま増えているんですよ。

だから、Sちゃんが考えた政策ってもしかしたら本当にこの2100年ぐらいにはもう日本の主流になっているかもしれない。いまご紹介した学校のこととかも参考にして、考えていくといいかもしれないですよ!

〇Sちゃん:はい!参考にしてみます!

――今回ご紹介したこちらのSちゃんは小説を書くことが好きで、前回の中間発表会のあと、こんなことを考えるようになったと発表してくれたことがありました↓

「中間発表会で作品を発表してから、自分がどんな作品を書きたいか、がより明確になりました。中間発表会の作品テーマが『料理』だったこともあって、調理実習や誕生日といった“出来事”を描いた人が多かったと思います。それで感じたのは、人生って“大きなうねり”があることよりも何も起こらないことのほうが多いと思うから、そういった“ささやかな日常”をもっと書いていきたいなと思いました」

この感想をご覧いただいて、何か気づいたことがありませんか?今回、テーマ・モチーフ・素材を発表してくれた作品は、Sちゃんが描きたい“ささやかな日常”から少しだけ“踏み出して”いると思いませんか? それにピンときた新井は最後にこう締めくくりました。

〇新井:Sちゃんの作品だけじゃなくて、みんなが今日発表してくれた作品は、冒頭でお話した追加目標の「“らしい表現”から敢えて踏み出そう!」「“伝える”から“伝わる”へ」を早速意識して考えてくれましたよね。すっごくよく伝わりましたよ。

さて、次回も引き続き、“オリジナル作品を描く力をUPさせよう!②”をやります。考えるコトは「社会課題を作品に入れ込む!」です。こういったことを次回のエピソード20で考えていきましょう!

っていうか、今日の段階で、けっこう社会課題がバンバン入ってるじゃんっていうね(笑)。皆さんほぼできちゃってるんですけども、次回はもっともっとそこを掘り下げていきたいなと思っております!

――今回のエピソード19でも、皆さんの“考えるチカラ”がグングンと向上しているのを実感しました。

もし周りに「物語を作るのが好き!」というお子さんがいらっしゃいましたら、ぜひ「考える部屋」へ!

現在、2期生を募集中です。ご参加をお待ちしております。

「考える部屋」関連の記事も併せてご覧ください。

▼子どもたちの考える力を伸ばすには

▼小学5・6年生、中学生向けオンライン創作講座『考える部屋』まとめ

▼やりたいことが明確な子どもたちが集結!『考える部屋』開講

▼『考える部屋』エピソード3 キャラクターを描ききれ!

▼観客・視聴者・読者が 「おもしろい!」と思うシーンを考える『考える部屋Ep6』 

『小学5.6年~中学生向けオンラインクラス「考える部屋」』

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『考える部屋』の簡易版を小学校などでも実施できます。キッズシナリオについてお気軽にお問い合わせください!

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