声
シナリオ・センター代表の小林です。昨日一昨日とは打って変わって今日は冷たい雨。
この季節の温度差は、どんなカッコをすれば適切なのかがわからなくて、どうもうまくいきません。
コロナ禍ですから、ゼッタイに風邪などひいて熱を出したり、咳こんだりしたくないですし・・・。
表参道も、春夏冬のファッションが混在しています。自分の体調に合わせて着るものを選ぶ、正しい判断です。
先日来、映画監督のセクハラが大きな問題になっています。
私が一番嫌いなことは、あのお代官様の帯をしゅるしゅるしゅる、「あれ~!お許しください」ってやつです。
力のある者が力を使って、力のない者を征服していく、ましてセックスを強要するなど本当に許せません。
ウクライナでは、子どもの前で強姦された上、殺されてしまった母親のニュースがありましたが、あり得ない、人としてできることではありません。鬼畜以下です。いや、人間以外の動物は犯したりはしないです。どういう神経をしているのでしょうか。
伊藤詩織さんのレイプ事件の時も隠蔽しようとし、それを良しとしたお上たちに本当に腹が立ちました。いや、今も腹立ちは収まりません。
しゅるしゅるの時代と全く変わらない、女性の人権などなんとも思っていないのです。
出身作家柚木麻子さんと作家の山内マリコさんが文責し、映画業界の性暴力の撲滅求める声明を原作者という立場から出してくださいました。
「声をあげてくださった方々の勇気に応えたく、私たちは、連帯の意志を表明します」16人の作家とともに名を連ねてくださいました。
「二度とこのような事態が起きないよう、私たちも、契約の段階から、適切な主張をしていきたいと思います。今後、万が一被害があった場合は、原作者としてしかるべき措置を求めていけるよう、行動します。また、このことについての理解と協力を、出版業界にも求めます」と。
そして、是枝裕和監督始め心ある映画監督の方々が、「私たちは映画監督の立場を利用したあらゆる暴力に反対します」とする声明を発表されました。
声をあげてもつぶされてしまうような昨今の社会情勢ですが、少なくともまだ、まともな人間はたくさんいます。
声を上げることを恐れずに、声を上げることを大事にしていきましょう。
所得倍増の男
「所得倍増」という言葉を聞いたことがありますか。
昭和はもう遥か彼方ですが、敗戦後の日本、お上もなんとか豊かな日本を取り戻したいと本気で頑張っていた時代があったのです。信じられないと思いますが。(笑)
その時、結構な暴言を吐きながらも高度成長に向けて頑張った首相がいました。
池田勇人総理。「貧乏人は麦を食え」発言で大騒ぎになったりしながら「私はウソは申しません」と、果敢に戦後の復興のために力を尽くしました。
その池田勇人総理と妻の満枝さんの物語「所得倍増の男」(朝日出版社刊)を元作家集団の松平節さんが書かれました。初書籍です。
池田夫婦の熱血ヒューマンドラマと銘を打っていますが、実際のお話ですし、政治の話でもあるので、大変だったのではないかと思います。
最初と最後を亡くなった前妻直子さんの視点で、そして、間を直子さんが亡くなられて後妻に入った満枝さんの視点で描くという変わった構成なのですが、これがとてもうまく効いています。
政治の話もわかりやすく、あれはそういうことだったのか、あの人はこういう人で、そういう風に動いていたのかと・・・とても興味深く、政治家の裏側の話というと、フーンと思ってしまう私ですが(笑)、感心しながら読ませていただきました。
池田勇人という人の性格を構成したのは、実は二人の奥様だったという観点が、なによりいいなと思いました。
たぶん政治小説としてはそこをみるのではないと怒られるかと思いますが。
池田勇人さんは、大蔵省官僚になられてすぐに、全治しないとみられる落葉状天疱瘡という難病になり、何年も皮膚のただれと痛みとかゆみで苦しまれました。その体と精神を支えたのがお二人の奥様だったのです。
献身的な看病のおかげで完治し、彼は痛みを知ったことで性格も変わり、国民のために日本を動かす首相となったのです。
日本初のファーストレディ満枝さんの視点で描かれた政治の裏舞台の話は、一人の政治家の生きざまだけでなく、その時代の政治家、ジャーナリストたちの考え方、姿もわかり、様々に意見は違っても、日本を想う気持ちに溢れていたことに驚かされます。
今の政治家たちのろくでもなさを見過ぎているからでしょうか。(笑)
経済復興、安保闘争など等色々なことがあった時代です。アメリカ統治の敗戦から立ち上がろうとしていた時代でした。
初のファーストレディはさすがだなと思いました。
同じファーストレディでも、どこかで話題になったファーストレディとは全く異なります。
満枝夫人が自民党公認をとれなかった池田派の立候補者を応援に行く話は、夫人の矜持を感じさせる話です。
同じ党の公認候補の支援者たち、ちょっとガラの悪い男がきて応援に行くと「血の雨が降る」と脅されたり、県連の幹部たちに列車から無理矢理引きずり降ろされそうになったり、怖い目にあいながら「これで命を落とすなら、日本はいったいどうなります?なんで私ごときが高山に伺うだけで、血の雨が降るんですか!大問題ですよ、これは!」と応援に頑張る話は溜飲が下がりました。
同じ党で、今も同じようなことはしているらしいですが・・・ホラ、覚えていらっしゃいますよね。(笑)
この本は、あの頃の自民党は、あれこれおかしなこともありますが、政治家(せいじか)として、国を動かしていたということを教えてくれます。
今の政治家(せいじや)の皆さん、エセジャーナリストの皆さんに、是非読んでいただきたい本です。
真の政治家(せいじか)よ、出でよ!矜持を持て!!
あ、叫んでしまった。(笑)