シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
今回は「シーン」について。そもそもシーンとは何を描けばいいのでしょうか。基本的なところから整理していきましょう。
そのシーンに意味があるか
今回は、シーンの描写を面白くするテクニックを煮詰めましょう。面白くするためには、その反対がわからなければいけません。
諸君の中には、「せっかくシーンを書いているのだから、意味のないわけはないでしょう」と口を尖らせる人がいます。もちろん当人は、ストーリーが書いてあって、これだけ話が進展したから意味があると思っています。
確かにそうですが、誤解しないでほしいのは、シーンというのはあくまで面白く、描写でなければ意味がないのです。ストーリーだけなら、シノプシスを書けばいいわけです。あらすじだけでは、お客さんは面白がって金を払ってはくれません。
お客さんが面白がるのは、ストーリーの展開の仕方のディテール(※)なのです。
「どんな」は、シーンでしか表現できない
今までの世界中のラブストーリーを集めると、それこそ何兆とあるでしょう、人と人とが出会って愛し合うようになり、そして別れていく。決まっているのです。
どんなふうにして出会い、どんな愛し方をし、そしてどんな別れ方をするか。地球上のお客さんは、その「どんな」を見たいのです。その「どんな」は、シーンでしか表現できないのです。
だから、それこそ必要な人物が出てきて、もっともらしくストーリーを話し合って、ペラ2枚半か3枚でおしまいになったのでは、シーンとは言えないのです。そんなシーンの書き方をして、シーンを書いたと思っている人がとてもたくさんいるので、御注意申し上げたわけです。
もちろん、セリフだけで進行する方法もあります。その場合、ストーリーだけでなく、そのストーリーに対する主人公たちの口先だけでなく、心の奥底から来るものでなければなりません。「うまいことを言うな」とか「しゃれたセリフだわ」だけではいけません。
ここでもやはり、そのセリフを通じて人間の追及がされることが必要です。
そうでなければ、シーンを書いた意味がありません。
※こちらの記事「ストーリー 面白くするには シーンとディテール」も併せてご覧ください。
▼シーンについてはこちらも参考にしてください。
・「飽きないシナリオを書く/どこを描いて、どこを省略するか」
出典:『月刊シナリオ教室』1996年2月号新井一「通信生を応援する!」より/2021年1月号「新井一.com」
★次回7月5日に更新予定です★
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
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