言葉
シナリオ・センター代表の小林です。昨日は、ミソ帳倶楽部に出ていて、「表参道シナリオ日記」をアップできませんでした。失礼いたしました。
なので、今日はミソ帳倶楽部のご報告もさせていただきますね。
7月30日の夏の大イベント「サマーゼミナール」では、「パッとしないシナリオ」をシナリオの技術を駆使して面白くしてもらうゼミナールを行います。
どういう風に直せば面白くなるかは皆さんの腕次第ですが、セリフ一つ、ト書ひとつ、柱、場所の設定ひとつで変わってきます。
皆さんが、どのように「パッとしないシナリオ」を「パッとした魅力的なシナリオ」にされるのか、ちょっとワクワクしています。
シナリオ、小説などを志している私たちは「言葉」がとても大切なことを知っています。
多くの人に、伝えるということがどれだけ難しいかを知っています。
だからこそ、シナリオの技術(伝える技術)を学んでいます。
なので、一度出してしまった言葉は、「誤解を招いた」という言い訳などまったく通用しないことも知っています。
政治家の方々は、「誤解招いたことをお詫びする」とよく口にしますが、それはありえないのです。
つい2,3日前も、山際大志郎・経済再生担当相が街頭演説で「野党の人から来る話は、われわれ政府は何一つ聞かない。皆さんの生活を本当に良くしようと思うなら、自民党、与党の政治家を議員にしなくてはいけない」と述べ、自民党の幹事長から注意を受け、慌てて「誤解を招く発言をした」と火消しに努めていました。
口から出てしまった言葉は消えません。このセリフで、政府のあり方がきれいに見えてしまいました。
なるほどと思いました。沖縄の辺野古埋めたて反対県民投票でも70%以上が反対し、「選択制夫婦別姓」だって、社会は70%以上賛成なのに与党は政府は動かない・・・何故?かと思っていました。
聞く気は最初からないのですね。
聞く耳を持たない与党に、政府に、国民の声は届くのでしょうか。
このままでは、日本はどうなるでしょう。よくなるはずもありません。
WDRプロジェクト
色々なものが変わっていくように、新しいことがどんどん生まれていきます。
「ミソ帳倶楽部~達人の根っこ」は、NHKディレクター保坂慶太さんをお招きして、新たなドラマ作りのお話をお聞きしました。
保坂さんは、現在放映中の「鎌倉殿の13人」(三谷幸喜さん脚本)、「真田丸」(三谷幸喜さん脚本)「まんぷく」(福田靖さん脚本)「だから私は推しました」(森下佳子さん脚本)などを演出されていらっしゃいます。
また、新たなドラマ、脚本づくりを考えてUCLAの脚本執筆コースで学ばれていらっしゃいました。
保坂さんのドラマの作り方のお話とこれからNHKで始める新たな形のシナリオプロジェクトのお話をしていただきました。
脚本をどう演出していくかというお話では、映像にするのはト書の部分ですから、演出が大きく関わってきます。
とすれば、シナリオではどこまで描くかとなります。
簡潔に無駄なく必要不可欠なところを描く・・・自分が本当にみせたいところ書いてほしいと保坂さん。
「鎌倉殿の13人」では、三谷幸喜さんは、頼朝が手紙を丸めて捨てるところで、表情は見えないというト書を描かれたそうです。手紙を捨てるだけでもいいト書にあえて書いたのは頼朝の「表情が見えない」ということが頼朝と義時を描くドラマ上、重要なポイントだったからです。
キャラクターをどこまでも追い込む、このキャラクターならどうするかを考えることですね。
保坂さんがチーフとしてこれから行われる新たな脚本づくりWDRプロジェクトの募集が行われています。
応募希望の方は、ご自分がどんな形でかかわっていけるのか気になるところですね。
基本は、プロジェクトの中でメインシナリオを選び、みんなで肉づけしていくというチームでの脚本づくりとなります。
なので、どんな人が欲しいとかどんなシナリオが欲しいとかは応募される方々をみていということになりそうですね。もちろん胸の内には構想がおありかと思いますが。
チームとしての観点でも選ばれるようですから、応募される方は、ご自分の持っている力を積極的に出せば、OKだと思います。
シナリオ力、発想力、企画力、コミュニケーションスキル、聞く力、熟考するタイプ、どんな力で勝負しても、年齢制限もないので、ご自分を信じて応募してみてはいかがでしょう。
ただ普段のシナリオづくりでもそうですが、闇雲に描くのではなく、自分できちんと分析する力を持って、自分のものにした上で、自分が見たいと思うもので勝負するのがよさそうです。
客観的に見る力は、どんな仕事にも役に立ちます。
ドラマや映画を見て、分析してみて、自分で気づくことが大切のようです。
実際、保坂さんとお仕事をされている森下佳子さんや三谷幸喜さんは、映画もドラマもたくさん見て、ご自分なりの分析をされていて、演出にも色々なヒントをくださるそうです。
そういえば、森下佳子さんが、糸井重里さんのほぼ日新聞の中で、毎期ドラマについてお話しされていて、本当に良くご覧になっているなとびっくりさせられたことを思い出しました。
いいものを創る力とは、いかに客観的に見れるかということかもしれません。
さて、WDRプロジェクト、どんな形で、どんなプロジェクトとして、これからの日本のドラマ界を牽引してくれるのでしょうか。楽しみです。