こんな時も
シナリオ・センター代表の小林です。海の日を挟む三連休はどこもすごい人出だったようです。
私は、家の周りをちょろちょろとテニスをしたくらいでしたが、テニスで出かけた日比谷公園の周りもなかなかの人出でした。
コロナ感染者が増える中、東京では連日1万人を越し、一時は2万人近くになってもいるので、油断はなりません。
シナリオ・センターも気は引き締めていますが、今のところ通学とオンラインのハイブリッドで行っています。8月はどうなるのでしょうか。
皆様もくれぐれも気をつけて、会食などには注意を払ってくださいね。
運動時などは熱中症になりやすいですから、マスクはとってもいいとは思いますが、ふだんはマスク、検温、手洗いは、マストでありたいです。
7月28日木曜日に、「THEミソ帳倶楽部~橋田賞新人脚本家が求めている脚本家とは~」と題して、橋田文化財団理事でTBSプロデューサーの山崎恒成さんに新生橋田賞のお話をお聞きします。
今回から、大賞は映像化になりますので、奮ってご応募くださいね。
これから続々とコンクールは開催されますが、コンクールでは、ただ自分が描きたいものを描きたいように描けばいいのではなく、どう伝えればいいのかをきちんと考えなくては受賞におぼつきません。
テーマや内容は、作者の感性を生かして作ればいいと思うのですが、表現は伝わるように、視聴者や読者に共感を得るように描かなくてはいけません。
その伝える技術(シナリオの技術)は、シナリオ・センターの基礎講座でどなたも習われたと思いますので、もう一度思い返しながら、挑戦してくださいね。
自分がちゃんとできているのかどうか、試したい方は、「サマーゼミナール~新井一からの挑戦状~」に参加してみましょう。
こちらは7月30日(土)朝・昼・夜、2時間です。連続参加も可能です。
1コマ3300円(税込み)、2コマ目から1000円割引となります。
小説とドラマ化
出身ライター吉川英梨さんの新刊本が出ました。
「海の教場」(角川書店刊)
京都舞鶴の海上保安学校を舞台にした成長物語ですが、吉川英梨さんのヒット作「警視庁53教場」とは全く違います。
もちろん、「教場」は学校ですから、ある意味近い。海と陸の違い?そんなことではありません。(笑)
切口が違うのです。
キャラクターが違う、見せ方が違う、テーマが違う、昔の山口百恵さんの歌ではありませんが、今年の人はではなく、この本は、他の小説とも吉川さんの他の作品ともどの本とも違うんですね。
主人公は海上保安学校の教官、桃地政念。
誰もが憧れる海猿でもなく、調理・経理・庶務などを担当する縁の下の力持ち「主計」の専門官。
メタボ気味のおなかの出た独身の彼女もいないおじさん、全然ヒーローらしくもない。
ヘリ操縦士で学生時代のマドンナでシングルマザーの高浜彩子から「肝臓癌で余命1年」と告げられる。
舞鶴の病院へ息子を保安官にするために入院している彩子のために、彼は、東京本部の職を捨て、海上保安学校の教官へ強引に赴任するのだが、そこには彩子の息子悠希といわくありげなクラス、生徒たちが待っているのだった。
何故桃地は、彩子のために舞鶴へ行ったのか、教場で何が起こりどうなっていったのか、もう次々と畳みかけるような展開に息を吞むのですが、他人を想うが故に、主人公も登場人物のすべての人が葛藤し続け、ラストまで引っ張っていきます。
ドキドキハラハラしながら涙なしでは読めない、もう、吉川さんずるい!!
今週の日曜日、7月24日22:00からWOWOWで、吉川英梨さん原作「雨に消えた向日葵」(幻冬舎文庫刊)が連続ドラマとして放映になります。
しかも、なんとなんと、脚本は出身ライター関えり香さん。
原作・脚本がシナリオ・センター同窓生って、嬉しくなっちゃいますね。
「雨に消えた向日葵」は、ムロツヨシさんが主人公の県警の刑事です。
埼玉で小学5年生の女の子が忽然と姿を消してしまう。様々な情報は集まるものの捜査は進まない。
警部の奈良にはかって見知らぬ男に陸辱され心に傷を持つ妹がいる。
離婚調停中の両親と姉の4人家族。
父親は、初めて我が子のために必死になり、母親は毎日食事を作って待ち、姉は両親のそんな姿を見つめながら妹を探すのだが、必死の想いの家族に世間はいやがらせ、誹謗中傷、弱みに付け込んだ詐欺など等次々と残酷な仕打ちをしかけくる。
妹のことで被害者家族の気持ちがよくわかる奈良は捜査をしながら、彼らを守ろうとする。
小説では、行方不明の少女を追う刑事の執念、警察の捜査、被害者家族の想いを、丹念に描き、ページをめくる手が止まらないほどの面白さです。
彼らのキャラクター、葛藤をどのようにドラマ化されたのか、関えり香さんのシナリオも楽しみです。
原作と脚本どちらも楽しんでみてください。
あなただったら、どんな脚色をするのでしょうか。