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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

生きていく

財布は踊る(新潮社刊)

見て見ぬふり

シナリオ・センター代表の小林です。今日も又東京コロナ感染者は3万人を越えました。
野田秀樹さんのお芝居が7月は延期となりました。私は8月のお盆休みにチケットを取っていますが、公演できるのか心配です。三谷幸喜さんのお芝居も同じ頃見に行くのですが、どうでしょう。
お上が見て見ぬふりをしているうちに、コロナはどんどん広がってきているようですね。
シナリオ・センターの近所の懇意にしている蓬莱という中華料理店に、コロナ感染で今月いっぱいお休みだと張り紙が出ていて、びっくりしました。
コロナがついそこまで来ているような気がしてしまいます。

最近ニュースを見るたびに思うのは、政治家って、何も知ろうともしないでただ他人の尻馬に乗る人ばかりなのだなぁと。
国家公安委員長の二之湯さんは、2018年に旧統一教会の関連団体の京都のイベントで実行委員長を務めていたのに、「名前を貸しただけ」とか。
公安委員長といったら、どういう立場なのかわかっているのでしょうか。この国のすべての情報が集まっている、握っているところが公安ですよね。テレビドラマを見ていたってわかる。(笑)
知っていて協力したり支援されたのはまずいから、知らなかったふりをするのだろうけれど、それって「自分は何も考えない人間です」って宣言しているわけで、そんな人に国の采配を任せているのかと思うとぞっとします。
ところが、彼だけでなくぞろぞろと出てくるわ、でてくるわ・・・もう、こういう人たちのお名前はしっかりと記憶して、二度とお国に携わらないようにしなくちゃ、まずいですよね。国は滅びてしまいます。

お上というのは見て見ぬふりをするのが仕事なのでしょうか。

財布は踊る

先日ちょっとお話しした原田ひ香さんの新刊「財布は踊る」(新潮社刊)、一気に読みました。
原田ひ香さんの「三千円の使いかた」。先に書きましたが超大ヒットです。
この「財布は踊る」はお金にまつわるお話第2弾なのではありますが、「柳の下の泥鰌」ではありません。
まったく違う視点から描いた、めちゃくちゃ切実なお金の話。
登場人物の誰に特に感情移入するかどうかで、あなたのお金に対する思いもわかる気がします。

私は、お上に献上したいです。
庶民というのはこういう人々で、一生懸命に生きているけど・・・という小説です、簡単に言えばね。だから、読んで欲しいと思います。
このお話の登場人物たちは、誰一人悪い人でもないのに、精一杯生きているのに、思うように生きられないのです。
金持ちや地位のある家庭に生まれて、ぼんぼん、お嬢ちゃんのまま大人になった人たちには全くわからない世界だと思います。
でも、でも、心あるお上だったら、きっと心にグサリと突き刺さるでしょ。いや、ゼッタイ刺さって欲しいのです。

ルイヴィトンの長財布が狂言回しです。
夢を実現するために生活費を切るつめる専業主婦の葉月みずほが、このために生きてきたような、だけど清水の舞台から飛び降りるような気持ちで、ハワイで買った名入りのルイヴィトンの長財布が、6人の登場人物を巡り巡ります。
お財布アドバイザー、風水師まがいの「善財夏実のお財布からこんにちは」のコラムから、節約術や投資などの知識を得た彼らは、どう変化していったのでしょうか。

節約してルイヴィトンの財布を買う葉月みずほ。
居酒屋のバイトをしながらFXの情報商材の勧誘をしている水野文夫。
同郷の株取引きで大損し、新卒で退社した野田裕一郎。
奨学金返済に苦しむ観光案内所の契約社員平原麻衣子
麻衣子の親友で同じく奨学金返済に苦しむカラオケボックスに勤務する斉田彩。
財布アドバイザーとして講演や本で人を動かす善財夏実。
これらの登場人物が、お金に振り回され、落ちていく者、這い上がる者、静かに生きていく者、生き方を変える者と分かれていきます。
大金持ちになりたいと思っているわけではないのです。今より少しだけお金が欲しい、豊かに暮らしたい、たったそれだけの願いを叶えることがどんなに難しいか、身近に感じられるだけに、ちょっと切なくなります。
特に、奨学金の返済に苦しむ麻衣子と彩の姿を見ていると、国に怒りを感じます。
私の周りでも500万近い奨学金返済をしている人を何人か知っています。返済は本当に大変なのです。
結構な高い利子を支払っているのです。お上は知っていますか。
下々は学ぶことすら、容易ではないのです。

登場人物それぞれの生き方は、間違っていたのでしょうか。
私達は、何を大切に生きるべきか、小説の中の登場人物に問いかけられます。
他人の懐事情だから面白く読めるのですが、身につまされ、社会に怒りを感じてしまう私です。

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