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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

大事なもの

通夜女(徳間文庫)

パンドラの箱

シナリオ・センター代表の小林です。台風11号は、昨夜には温帯低気圧にかわったものの、いまだに東北、北海道で猛威を振るっているとか。
九州、中国四国では建物の倒壊とか大きな被害にあわれているようで心が痛みます。
急発達した上に、複雑な動きを見せ、巨大化していった台風11号、日本だけでなく韓国でも大変なことになって、映画「パラサイト 半地下の家族」のように半地下に住んでいた方がおぼれ死にそうになったというニュースもあり、災害の巨大化傾向はとどまるところを知りません。
中国四川省の大地震、パキスタンの洪水、世界中で自然の猛威に翻弄されている気がします。
人間が自然を侮ったツケが、今こうして回ってきたようです。
被災された方々への一刻でも早い復旧へとお上は走って欲しいです。

それにしても、安倍元首相が亡くなられたことによって、パンドラの箱が開いてしまったようです。
旧統一教会問題や五輪汚職など次々と出てきます。
どれだけ、臭いものに蓋をしてきたのでしょう。モリカケサクラの蓋も開くのでしょうか。
開いたのはいいことだし、どんどん追求していってほしいです。
それにしても、権力というものの恐ろしさをまざまざと見せつけられた気がします。
どれだけストップをかけていたんだろ、どれだけ押さえつけられていたんだろ。
そこもちゃんと知って、三権分立がきちんと機能するように戻してほしいものです。
子どもに社会科でちゃんと教えられるようにね。

通夜女

出身ライターの大山淳子さんの「通夜女」が文庫化になりました。
「通夜女」は2008年に「函館港イルミナシオンシナリオ大賞」でグランプリ(函館市長賞)を受賞したシナリオでした。
映画化がなされないまま、11年後の2019年に小説「通夜女」として出版されました。
そして、今年9月、ついに「通夜女」(徳間文庫刊)は文庫化に。
皆さんが手に取りやすい形でご覧いただけることができます。

そして、そして・・・恥ずかしながら、私小林幸恵が、文庫「通夜女」の解説を書かせていただいたのです。えらいこっちゃ!
編集の方から依頼をいただいた時は、青天の霹靂なんてもんじゃない。「え~、私が?なんで?」と声も裏返って。
「私なぞに任せて大丈夫なのか?」と思いつつ、大好きな大山淳子さんの作品、恥ずかしながらといいつつ恥かしげもなく謹んでお引き受けしてしまいました。

「通夜女」は、シナリオコンクール受賞作品として生まれました。そう、シナリオを基に小説にしました。
シナリオが小説になった経緯、シナリオが小説に、シナリオライターが小説家になるとどんなにすごいかということも解説に詳しく書かせていただきましたので、是非読んでみてくださいませ。(笑)

小説「通夜女」は、通夜通いをする24歳の女性の話です。まずはこの設定がすごい。
いかにもいそうな「通夜女」、「つやめ」と読みます。他人のお通夜にさりげなく参列して、通夜ぶるまいをいただき・・・。
あまりにさらっと描いているので、こういう人が本当に存在するのだと思って読みました。
でも、本文の中に「都市伝説みたいなもの」とでていたので、調べたところ「泣き女」はいるのですが、「通夜女」は、大山淳子さんの創作だったのです。
心が折れた彼女は、他人の通夜に参列することで心を癒され、そこで「通夜女」と称する老婆と出会い、弟子になりたいと思います。ね、こんな設定、考えつきますか?
でも、設定だけいくら面白くても、魅力的な作品にはなりません。
登場人物のキャラクターが大事。これがまた素晴らしいんです。
ここまで作り上げていたら、その人が隣に住んでいたとしても納得っていうかんじです。
もう、どう素晴らしいかはたっぷり解説に書いたので読んでくださいませ。(笑)

シナリオを描く人は、小説家としても素晴らしいという見本です、大山淳子さんは。
それは、シナリオ・センター出身の小説家の方々も証明してくださっています。
シナリオは、映像にするために描くのですから、当然、頭の中にも映像が浮かぶように描けます。描きます。
小説でも、文章を追うのではなく脳内ドラマを構築させることができるから、読者がワクワクし、次から次へとページをめくってくれるのです。。
それには、シナリオがうまく描けないといけません。
ポイントは、映像表現、キャラクター設定、構成、しっかり磨き上げていきましょう。

大山淳子さんの「通夜女」、解説とともに読んでいただければ幸いです。

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