犬の寿命
シナリオ・センター代表の小林です。今日はまた12月の寒さの表参道です。しかも結構な雨。なんだか気持ちが落ち込みます。
のっけから気落ちするような話で恐縮ですけれど、ギネス最高齢のトイフォックステリアが22歳で亡くなったのだそうです。案外、犬の寿命って短いんですね。
うちのハルは16歳で旅立ったけれど、そうすると長生きに入るのかと思ったらちょっと嬉しかった。とはいえ、いなくなった喪失感が変わるわけではないのですけれど・・・。
7歳くらいからシニアだというのですから人間より犬はシニア期が長いみたいです。
なんで急に犬の寿命にこだわったかというと、まだ、読み終わっていないので、来週じっくりご紹介しますが、「猫弁」でご存じの出身ライター大山淳子さんが、今回は、猫ではなく犬の小説を書かれたんです。うふ。「犬小屋アットホーム」
しかも老人と保護犬という組み合わせ。
ただいま、じんじんしながら絶賛読み込み中なので、このギネス最高齢犬の死に反応してしまったというわけです。
で、予告編みたいになりましたが、休み明けにはご紹介いたしますので、乞うご期待!くださいませ。
あ、この間ご紹介した大山淳子さんの「通夜女」の文庫版、解説とともに読んでいただけましたでしょうか。こちらもよろしく。
脚本力
倉本聰さんの「脚本力」(幻冬舎新書)という本が出ました。メディア文化評論家の碓井広義さんが聞き手のインタビューです。
倉本さんのシナリオ作りで一番有名なのは、登場人物の履歴づくりですね。
年表のように書き込んで創られる有名なお話です。実は家系のことまで考えていらっしゃるとか。
履歴では「時間的履歴」と「空間的履歴」に分けて作っていらして、「時間的履歴」は3つあり、その人が生まれた時から今までに至る「大過去」、ここ5,6年の「中過去」、そして昨日今日の履歴「近過去」。この全部を考えないと誤った脚本になると。
で、ゼッタイ記入すべき必須事項が、「自分が心の中で加害者として、あるいは被害者として記憶から消えない事件を書くこと。例えば童貞・処女喪失、この時期は必ず書く。さらに家族の死、友人・知人の死、病歴、住居の移転、こういう人生の節目や天気になった出来事はゼッタイ外しちゃいけません。」
もうひとつは「空間的履歴」。
「これはね、登場人物が暮していた場所のことで、その地図を作るんです。手書きの地図を。(略)
地図を作るのってごく小さな作業ですが、物語の苗床ですから。後々のドラマの種ですね。
困ったときにこの地図に戻ってくることができる。
種には2種類あってあらかじめ作っておく種と、困ったときに戻って、そこで何か大事な人物を考えようじゃないかとっていう作り方の種と両方あると思うのね。
よくライターが、『ストーリーの展開に困るんです』言うんですね。それで、余計なところから全く関係のない、第三者を連れてきて、お茶を濁そうとする。そんなことをしなくたって、人物の過去の中から探り出せば、いくらでもあるはずなのにね。」
なるほどなぁと思いました。
ここ迄作り込んだら、キャラクターはゼッタイぶれないし、貫通行動がきちんとできるに決まっている。
倉本聰流の脚本の作り方、是非読んでみてください。
テーマとモチーフの違いとか、ハコの作り方(倉本さんは大箱・中箱・小箱作ります)など等、その上、企画書、自筆の東京時代の黒板五郎家界隈の地図、人物の年表、大バコ、シナリオ、実際のものが載っています。
倉本さんの本を読んでみると、「シーンを描く」ことがドラマだということがよーくわかります。