シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
今回ご紹介するのは「この分野を書くならアナタしかいない!」と言ってもらえるようになるための心得です。「脚本家になるにはどんなことを勉強したらいいんだろう?」という方、参考にしてください。
特技をもつ
プロライターは、何でも書けることが前提です。しかしプロライターも人間ですから、ジャンルによって好き嫌いがあると同時に、上手・下手があります。
プロデューサーはそういうことは百も承知ですから、「この手の作品は、あの人が前にうまく書いたから、あの人に持って行こう」とか考えて、仕事を持って来てくれることになるのです。そのためには「これを書かせるならあいつだ」という評判を取っておくことが必要です。
ただ始めから評判を取ることはできませんから、まずその道にかけては何でも知っている、ということが必要です。ふだんからそのジャンルのドラマを見ておくことは常識です。プロデューサーは実際にやったものを引き合いに出しますから、その話題に乗れるくらい、いつも見ておくといいでしょう。
強みを増す
それぞれのジャンルには知っていなければならない基礎知識があります。時代劇の捕り物帳ならば、奉行、目付、同心、岡っ引などは職能の上でどんな区別があるのか。遠山の金さんに出てくる北町奉行と南町奉行とは、どんな関係にあるのか。
サスペンスならば警察関係はどうなっているのかも当然知っておかなければなりません。以前紹介した映画『警視庁物語シリーズ』の長谷川公之先生は警視庁の鑑識課法医学室の主任技師の仕事をされていたので、特技といっていいかわかりませんが、刑事ものや警察ものの作品を書く上では強みになります。
そうした強みを増すためには、皆さんの場合、まずは本を読んで勉強することになりますが、最初は図書館の方がいいでしょう。ちゃんと分類が出来ているので、専門分野を探すのでも必要なものがわかります。
スリについて調べたいと思えば、スリについての本を何冊も見ることができますし、本屋のように返本されて今はないというような不便さはありません。
しかし知識を頭で覚えただけでは、脚本の中でも生半可な知識をひけらかすだけで、かえって鼻白んでしまいます。実際にシナリオハンティングをして、生きた知識を持つことも、常に心掛けたいですね。
出典:『月刊シナリオ教室』1995年2月号新井一「十則集」より/2017年2月号「新井一.com」
★次回1月7日に更新予定です★
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。
“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
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