menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

不条理でアナーキーな幼児番組が40年前人気だった。

シナリオ・センター代表の小林です。昨晩、思わず画面に釘付けになりました。

「マツコ有吉の怒り新党」を見ていたら、番組の目玉「新三大○○調査会」が、なんとなんと懐かしき「クレクレタコラ」ではありませんか。思わず拍手!!(笑)
タイトルは、「新三大クレクレタコラのやり過ぎな展開」
「クレクレタコラ」といってもご存じない方が多いかと思います。
なにせ、1973年、40年前に創られた幼児向け番組ですから。6時55分から7時までの5分番組として1年間フジテレビ系で放映されました。
この時間帯の視聴率は、通常5%平均だったのに対して、なんと13・5%にもなった人気番組。人気のおかげで半年のはずが延長されたのだそうです。

クレクレタコラ クレクレタコラフィルム

タコラという蛸の着ぐるみが主役です。

「♫ クレ クレ クレ   クレッペ クリャルカ クリャリンコ
何でも欲しがる クレクレタコラ  遠い海から スタコラサ
真っ赤に日焼け アチツテト  なぜか木の上 クリャリンコ
望遠鏡で 見る夢は  お空の星が欲しいのよ
涙が出るほど 欲しいのよ  クレヨ クレクレ クレタコラ
ダメヨ ダメダメ ダメタコラ  ズッコケ クレクレ クレタコラ♪」(作詞 磯野理)

この主題歌でもわかるように、なんでもほしがるタコが、他人のものを欲しがって、どんな手段を使っても手に入れるものの、最後はしっぺ返しをされるというパターンの5分番組。木の上から望遠鏡で森を見回し、獲物を見つけると・・・クレクレと取りにいく。 

この幼児向けの番組が、なぜ「マツコ有吉の怒り新党」に出てきたかというと、幼児向けだというのに、実に不条理、アナーキー、バイオレンス、ブラックな展開をしているからです。(笑)
「新三大クレクレタコラのやり過ぎな展開」で紹介されたのも、かき氷器が欲しくて、毒入りカキ氷を食べさせて奪いとると、報復にガチガチに凍らせられてしまう。はさみを奪ったタコラは何でも切りたくなって、森中のものをすべて切ってしまい、最後は自分の手(足?)も切って、痛い!痛い!
林檎欲しさにウイリアムテルの真似をして、林檎を頭にのせている仲間にバンバン弓矢を射しまくって怒り狂った仲間に、報復され縛られてタコラも身体中弓矢だらけになるとか・・・。

スラップスティックコメディとはいえ、あまりのアナーキーぶりに、2003年CS(ファミリー劇場)で放映した際、放映できない回もあったほどだそうです。

で、なんでこの話をしているかというと、この番組こそ、40年前シナリオ・センターが初めてライターをデビューさせた番組だからです。
ここには、出身ライター1期生が勢ぞろい。
柏原寛司さん、篠崎好さん、渡辺由自さん、木下裕子さん、上原正志さん。上原正志さんは、ご存知センターの講師でもあります。

ご紹介した「クレクレタコラ」主題歌の作詞者磯野理さんは、この番組のプロデューサー、彼の企画から生まれたものです。
40年も前のことです。

「マツコ有吉の怒り新党」に取り上げられるほど、問題な内容(?)今見ると、これが幼児向けとして、お茶の間で家族で食卓を囲んでいる時間帯に受け入れられていたなんて、びっくりです。
私も笑って自然に見ていたわけで・・・。
でも、今のテレビが無難になりすぎ、視聴者を侮りすぎているのかもしれませんね。
抗議がこないように、教育上問題にならないように、差別にならないように・・・。
確かに規制は、ある意味必要なことだと思いますが、やりすぎると、誰も考えずに受け止めるようになってしまい、大宅壮一さんが懸念していた「一億総白痴化」に近づいている気もします。
テレビは、視聴者が自身で考える、問題提議をする場所としての存在であってもいいのではないでしょうか。
「クレクレタコラ」を見ながら、フト思いました。 

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ