学校や学童など子どもたちが集まる場所で、
・黙々と一人で物語を書いている。
・物語作りに興味がある。
――といったお子さんがいらっしゃいましたら、これからご紹介するキッズシナリオを参考にしてください。
=今回の概要==================
・サービス名:「シナリオプロジェクト」
・目的: シナリオ作り
・対象:NPO法人 放課後NPOアフタースクールさま
台東区立 谷中小学校 放課後子供教室(3~5年生)
・時間:約1時間
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
========================
子どもたちの様子をご覧になっていた担当者の方からは「いつもと違う新たな一面を見ることができてすごくうれしいです。本当に創作を楽しんでいるというのが分かります」と仰っていただけました!
その模様を広報の齋藤がリポートいたします。
「そうだ!ト書きだ!」
*
前回実施した際(※)、帰り際に担当の新井がみなさんに「次回、何かやりたい“お題”ある?」と聞いたところ、「徳川家康」「豊臣秀吉」といった名前が出ました。
※前回の模様はこちらで。
▼「子どもの“ひらめき力”を引き出す発想法:物語の続きを書く」
そこで11回目となる今回は、歴史上の人物を登場させる“もしもストーリー”を、シナリオで書くことに。
お題は「もしも秀吉と家康が、本能寺の変が起こることを1週間に知っちゃったら」。
〇新井:登場人物は戦国時代に生きた三武将「織田信長」「羽柴秀吉(のちの豊臣秀吉)」「徳川家康」です!
〇生徒さん:おー!
〇生徒さん:えー!信長が殺されるって2人が知っちゃったの?
〇新井:そう、知っちゃったの。そしたら、どうなるのか考えてみようよ。面白そうじゃない?みんな歴史、けっこう好きでしょ?
〇生徒さん:好き!
〇新井:まずはさ、この3人がどんな人だったのかを表す「句」があるよね。
織田信長「鳴かぬなら 殺してしまえ ほととぎす」
豊臣秀吉「鳴かぬなら 鳴かせてみせよう ほととぎす」
徳川家康「鳴かぬなら 鳴くまで待とう ほととぎす」
天才肌で冷血な織田信長。世渡り上手で器用に立ち回る豊臣秀吉。冷静で慎重派の徳川家康。なんかそんなキャラクターが出てるよね。
〇生徒さん:うん!信長は恐いから下手なこと言っちゃったら逆に殺されちゃうかもしれないね。
〇新井:そうなのよ!
〇生徒さん:この3人のキャラクターって、変えちゃっていいの?
〇新井:いいよ!自分で考えたキャラクターにしてOK!このプリントに書いてみよう!
〇生徒さん:深刻そうな(シーンの)入り方じゃなくてもいい?
〇新井:もちろん!なんかヘラヘラしてるような入り方でもいいよ(笑)
〇生徒さん:歴史、変えてもいい?
〇新井:おー!いいねいいね、歴史変えちゃいましょう(笑)
――さすが歴史好きな皆さん。もう書きたいアイデアがあるようで次々に質問が!
そして、すごい集中力で書いていきます。
例えば、こんなシナリオを書いてくれた生徒さんがいました。
秀吉:「知ってる? 信長さま、死ぬんだよ」
家康:「知ってる、知ってる(後継者は俺だ!)」
秀吉:「うそでしょ? (後継者は俺だ!)」
――途中まで書くと、新井に見せてくれます。
〇新井:おお!面白いね!
〇生徒さん:キャラクターは、さっき新井さんが言っていた「句」に出ているキャラクターにしました。
〇新井:そっかそっか。例えばなんだけどね、このセリフを「どういうふうに言うのか」という動作や表情も書くと、世渡り上手な秀吉と冷静な家康というそれぞれのキャラクターがもっと出るよ。
それから、「後継者は俺だ!」という目には見えない“気持ち”。これをセリフで直接言わずに、動作や表情で表すとしたらどうなるかな? 目に見えないものを映像で表すにはどうしたらいいか、ということも考えてみると、もっと面白いシナリオになるよ!
〇生徒さん:あ そっか!ト書(※)だ!
〇新井:そうそう。セリフだけじゃなくて、ト書も書いみよう!
――大人でもやりがちですが、シナリオを夢中で書いているとセリフだらけになっちゃうことってあるんですよね。シナリオは映像にするために作るもの。だからこそ、シナリオの技術を使うと、読む人のアタマに映像が思い浮かぶような文章が書けるようになります。
生徒さんが書いている最中はこんなふうに、新井や、いつもご協力いただいている胡麻尻亜紀さん(シナリオ・センター在籍生/映画『15歳の総理大臣』監督・脚本ご担当)が、さりげなくアドバイスしていきます!
※ト書についてこちらの記事も。
“みんなで創作”することで引き出される新たな一面
*
シナリオが完成したら、みんなで発表です!
ある生徒さんは、秀吉や家康が本能寺の変は“ドッキリ”だと思っていて……というシナリオを書いてくれました。
〇新井:面白いね!本当に死ぬとは思ってなかったんだね!
〇作者である生徒さん:そう!明智光秀は信長にいつもパワハラされていたから、「ドッキリを仕掛けて、ちょっと懲らしめるんだね」って秀吉と家康は思っていたの。
〇生徒さん:ねぇねぇ、この後、ドッキリされるところ、秀吉や家康は見に行くの?
〇作者である生徒さん:う~ん。見に行かないかな。あとで知って「えー!ドッキリじゃなかったの!?」ってびっくりする。
〇新井:逆にさ、見に行ってそこで巻き込まれるっていう展開も面白いよね?
〇生徒さん:このドッキリを見に行くか、見に行かないかでいろいろ変わってくるよね。
――こんな感じで、誰かがシナリオを発表すると、誰かが自然と感想を言ってくれて、みんなでワイワイと「もしこうなったらさ」とまた新たなアイデアがうまれていきます。
楽しそうに話している皆さんを見て、担当者の方はこんなことを仰ってくださいました。
「このキッズシナリオに参加するようになって、自分で物語を書くようになった子もいます。なので黙々と書いている姿はよく見かけるのですが、こうやって自分のアイデアや作品について話している姿は普段あまり見ないんです。だから、いつもと違う新たな一面を見ることができてすごくうれしいです。本当に創作を楽しんでいるというのが分かります」
――なんて嬉しいお言葉! 新井も胡麻尻さんもジーンと感動です。
でも本当に、参加してくれる皆さんたちは創作が大好きで、シナリオを書くときに自分が設定した登場人物のイラストも一緒に描いてくれたり、この時間以外に自主的に書いてくれたオリジナルストーリーを「読んでください!」と持ってきて見せてくれます。
「そんな皆さんにもっともっと創作を楽しんでもらいたい!」という想いを込めて、新井が「次回は何がやりたい?」と聞いたところ、「今までいろいろ(シナリオ技術を使って)やってきたわけだから、それを使って自由に短い物語を作ってみたい!」というリクエストをいただきました。
今回よりももっと皆さんのアイデアや個性が光る作品が生まれる予感がします!次回12回目の模様もリポートしますのでお楽しみに。
* * *
今回ご紹介した模様をご覧いただいて「うちの学童・学校でもキッズシシナリオを実施したい!」という方はシナリオ・センターまでお気軽にお問い合わせ下さい。
TEL:03-3407-6936
また、ご参考までにこちらのページもご覧ください。
▼「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」
これまで谷中小学校 放課後子供教室で実施した模様もご紹介!
・「短時間でも映像は作れる!/子どもがのびのびと自己表現できる場」
・「小学校低学年の子どもたち、書くことがもっと好きに!@谷中小学校」
・「子どもが遊びながら学ぶ物語の作り方/昔話を使ってシナリオ作り」
・「“自分の作品を人に見せたくない。恥ずかしい”を乗り越える!」
・「子どもの“ひらめき力”を引き出す発想法:物語の続きを書く」
★「谷中小学校放課後子供教室ブログ」でも紹介していただいております。併せてご覧ください。