歌会始
シナリオ・センター代表の小林です。今日は歌会始でした。なぜか思わず見入ってしまいました。
今年の歌会始のお題は「友」でした。
厳かに儀式に則って、伝統的な節回しで歌われるのに、「友」というお題のせいでしょうか、選ばれた歌も皇室の方が詠まれた歌も、現代的で、わかりやすくその落差みたいなのがとても気持ちよく、終わるまでテレビの前にくぎ付けになってしまいました。
応募作は1万5005首だったそうです。その中から選ばれた10首は、さぞかしすごい百人一首とか万葉集みたいなのかなと思っていたら、わかりやすく、心に響くお歌ばかりでした。
最年少が14歳の少年。
彼の詠んだ「友の呼ぶ 僕のあだ名は わるくない ほかのやつには 呼ばせないけど」
少年の気持ちがとても伝わって来て、ほほえましい一首。二人の友情物語を感じます。
愛子様の「もみぢ葉の 散り敷く道を 歩み来て 浮かぶ横顔 友との家路」
学生時代を楽しんでいらっしゃるのだなぁと、ちょっと嬉しかったりして。家族かぁ。(笑)
私は、作家集団の講師であった堀江史朗(09没)を師にして、講師仲間と10年近く句会をやっていました。
俳句は難しく、もともとコピーライターだったせいか、堀江先生に「小林さんの句は広告コピーだね」とよく笑われていました。
創作は楽しかったのですが、師を亡くして、句会も閉じ、追悼の句を最後にそれからもう創っていません。
でも、今日の歌会始めをみていたら、なんだか短歌をやってみたいと思ってしまった。
俳句じゃなくて。(笑)
3行ストーリー
ふと短歌って、三行ストーリーに似ていると思いました。
皇后さまの「皇室に 君と歩みし 半生を 見守りくれし 親しき友ら」
失礼ながら、すごくドラマチックですよね。皇室を描くことできないでしょうけれど、ドラマが創れますよね。
「温もりの 残る手袋 渡されて 君は友より 夫となりぬ」(藤井正子さん)
こんな出会いから始まるラブストーリーを創りたいんです。
「友だちは ゐないんだよと いう君の 瞳の中に わたしを探す」(相川澄子さん)
こんな胸キュンの青春グラフティを創りたいんです。
この五七五七七、わずか三十一文字の中に凝縮している物語を想像できるように書くのが、短歌であり、俳句(五七五)なんですよね。
ね、三行ストーリーでしょ。
しかも、わずかな表現ではあるのに、そこに広がる風景、シーンが浮かぶんです。
だれもが想像ができるように描く(映像が浮かぶように)ことは難しいことではあるのですが、それがシナリオですものね。
いい勉強になるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
わずか十七文字、三十一文字(みそひともじ)の中で、感動する(魅せる)シーンが浮かぶ、シナリオのお稽古に使うというと失礼ですけれど、うまくいったら、こちらの世界でも力が発揮できたりして・・・一石二鳥。(笑)
創作って、みんな繋がっているんですね。
「旧友の ごとくなつかし あかねさす 夕陽の丘に 犬とゐる人」(召人小島ゆかりさん)
私は、亡くなった犬を想う気持ちがまったく同じだなぁと思って、ちょっと涙ぐんでしまいました。
心に響かせるにはどうしたらいいか、描き続けること、稽古稽古でしょうか。