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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

シナリオを描くために

エルピス(河出書房新社)シナリオ本

古い新しい

シナリオ・センター代表の小林です。明日は節分、寒空に豆まきの声が響き渡る光景は、昭和の光景なのでしょうね。
最近は、寺社か保育園くらいしか豆まきはしていないのではないでしょうか。
シナリオ・センターはやります。だって、春を呼び込みたいですもの。
昨今は特に、防衛うんぬんもさることながら、ずいぶんと古き時代に考え方が戻っている気がして、寒気を感じて春のぬくもりが心から恋しいです。

だって、お土産も、海外になかなかいけなかった時代ならいざ知らず、今更海外土産を配るって、すごーく古い感じがしませんか。
慣習だとしたら、もうやめるべきだと思いますが、舛添要一さんが「3人の総理に閣僚として仕えたが一度もお土産などもらわなかった」と。とすると慣習でもない?それとも舛添さんがスポイルされていた?(笑)
それよりもなによりも寒―くなったのは、岸田首相が「夫婦別姓や同性婚を認めると家族感、価値観、社会が変わってしまう」と宣ったこと。
いやはやどんな頭しているの?いつの時代の人なんでしょう。
社会が変わってしまうことにおびえてどうする?社会は変わっていいんですよ。寧ろ、今こそ変わるべきなんです。
こういう考えの方が言い出した子育て支援では、何も変わらない、どうにもならないことがよくわかります。仰る通り、まったく次元が違いますから。
様々な人や、考えや想いがあることを拒み、女性が進出する世の中を認めたくない、または認めていないことがありありと見えます。
今、この混沌とした社会で、なにをするべきか、どう変えていくべきかを本気で考えられる人はお上にはいないのでしょうか。
下々が一つずつ何が大切なのかを教えてあげないと何一つ変化しないどころか、権力志向そのままの発想で昔に逆戻りしそうです。

ドラマの面白さ

2022年ドラマ平均視聴ランキングベスト20が発表されました。
ランキングされたドラマはどれも面白いドラマだったなぁと思い出しながら見ていました。
1位は「ミステリと言う勿れ」原作物ですが相沢智子さんの脚本がすごくよく、毎回次への期待が膨らんで楽しみなドラマでした。
視聴率ランキングがすべてを語るわけではありませんが、少なくとも多く視聴者の趣向はみえてくるので、知っておいて損はありません。
タイトルを追っていたら、おー、ベスト20のうち10番組は出身ライターの描かれたものでした。
ちょっとニヤニヤしてしまいました。
青柳祐美子さん・谷口純一郎さんの「DCU」(TBS)、黒岩勉さん「マイファミリー」(TBS)、杉原憲明さん・中園勇也さん「元彼の遺言状」(CX)、大北はるかさん「ユニコーンに乗って」(TBS)、いずみ吉紘さん「インビジブル」(TBS)、岡田恵和さん「ファイトソング」(TBS)、小峰裕之さん「ドクターホワイト」(CX)、吉澤智子さん「持続可能な恋ですか~父と娘の結婚行進曲~」(TBS)、渡邊眞子さん「ムチャブリ!わたしが社長になるなんて」(NTV)、青塚美穂さん・的場友見さん「やんごとなき一族」(CX)
出身ライターの方々の活躍ぶりを拝見すると、ホント元気をいただけます。

出身ライターではありませんが、渡辺あやさんの作品が私は好きで、話題になった長澤まさみさん主役の「エルピス」(関テレ)のシナリオ本を買ってしまいました。
うまい、ストイーリー展開もそうですが、キャラクターの創り方見せ方、それゆえのセリフの切れ。
「冤罪」をテーマに社会状況や権力、組織のあり方を真っ向からではなく描いたその手腕はさすがだと思いました。シナリオを読めば読むほど感じました。

「エルピス」は、2016年からプロデューサーの方と作り込んでいったものだそうで、なかなか製作まで持っていけなかったというお話ですが、付録対談で渡辺さんは
「ある事象をみたことのない角度や深度でみせられるところが、ドラマの良さだと思います。
例えば、事件や問題が起きたときに、それを報道や文字のニュースが扱おうとすると、どうしても出来事が単純化されて伝えられてしまいます。
それはしょうがないことですが、実際の出来事は個人が想像できる以上に複雑なはずで、ある不幸が生まれる背景には、人々の誤解や思惑、権力の横暴といった要因が複雑に絡み合い、さらにそれをマスコミが扱おうとする際にも組織内の政治や軋轢など、一筋縄ではいかない障害がある。
そういうことをほぐして見せられるのがドラマの強みだという気がします。そうした問題に対して、どうしたらいいのか。それは私にもわかりません。専門家や頭のいい方が考えてくださればと思っています。
私はその手前の段階として、報道や言葉だけでは伝わらない物事の複雑さを「情報の塊」として届けることをしたい。ここ何年かはそう思って脚本を書いています」(エルピス特別対談から一部抜粋)」

ドラマの本質、脚本家としての佇まいを教えていただいた気がします。

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