ものごと1
シナリオ・センター代表の小林です。世の中の(いや、お上の?)動きというのは面白いというか、不愉快というか、気持ちは相反するのですが、おかしなものだと思います。
荒井元秘書官の発言で、急速に「LGBT理解増進法案」が広島でのG7サミット前に通そうという動きが自民党内に出てきたのだそうです。今更ながら、官房長官が「日本以外のG7諸国は何らかの形で差別を禁止する法令や、同性婚法、またはパートナーシップ制度を有している」「性的マイノリティーへの対応をめぐっては、日本だけが他のG7メンバーと違い法整備が進んでおらず、「世界に比べて意識が低い」と指摘を受けている。」
そんなことずーっと前からわかっているのに、急に偉そうに言い出して恥ずかしくないのですかね。
大体この法案って、文言だけで具体的に同性婚を認めるとか言ってもいないわけで、これすら通す気がないというのは、本当に前時代的な人ばかりとしか思えません。
選択制夫婦別姓ですら認めると社会に変化を及ぼすとか宣うけれど、世の中はとっくに変化しているのに、お上たちの頭だけが変化していないことに気がついていないことこそおかしいし、そういう人が国を司っていることは悲しく怖いです。
こんな形ばかりの法案、通しても通さなくてもどうでもいい気もするのですが、ま、それでも法案が通れば半歩くらいは進むわけだし、ここから一気に選択制夫婦別姓、同性婚など等どーんと認めましょうよ。
ものごと2
昨日は、「ダ・ヴィンチ」で清水友佳子さんの対談のことを書きました。
「婦人公論JP」で、女優の上白石萌音さんと出身作家原田ひ香さんが対談をされていました。
上白石さんもエッセイ「いろいろ」を出され、その才気あふれる文章が評判をとっています。
原田さんの「三千円の使いかた」はベストセラーでそろそろ100万部も行く勢い、テレビドラマも出身ライター嶋田うれ葉さんと青木江梨花さんが脚本を担当され、こちらも話題になっています。
そんな快進撃をされているおふたりの創作への向かい方のお話が、私たちにとても有益なので、少しだけ抜粋させていただきます。
上白石 どの物語も親子それぞれの目線が交差しますよね。書く時は、原田さんの中に2人いるのですか?
原田 小説の前にドラマのシナリオを書いていたことが影響しているのか、頭の中で観た映像を書き取っているんです。
上白石 ああ、2人いるのではなく、映画監督の視点なんですね。
原田 ええ。全体を見ながら俳優さんに演じてもらうみたいな。
表現を手直しする時も、たとえば「上白石さん、今のところもうちょっと強めにやってもらっていいですか」と指示を出すつもりで。
上白石 物事を俯瞰しているんですね!
上白石 題材を見つけるために常にアンテナを張っていらっしゃるんでしょうか。
原田 何か心に引っかかったり思いついたりした時には、すぐスマホのメモ帳に残しておきます。
上白石 この小説(註:母親からの小包はなぜこんなにダサのか)には各地の郷土料理やお菓子がたくさん出てきます。
岩手のビスケットの天ぷらとか、めちゃくちゃ気になるんですけど(笑)、それぞれの土地に足を運んでいるんですか。
原田 作品の中に出てくる北海道には3年くらい住んでいたことがあります。想像で書くこともあるけど、たいていは取材で行ったことがある場所を書きますね。
大阪やシンガポールに住んでいた経験も、書く時に生きてくることが少なくないです。
上白石 ああやっぱり。いろいろなものを見ておくこと、しっかり感じておくことが、ものを書くうえでどれだけ大事なのか、今回私もすごく感じました。
原田 萌音さんは、役柄を演じる時、舞台となる場所に行ってみたりするんですか。
上白石 はい。その土地を踏んでみないと空気感がわからないので、ヒントを見つけるために行きます。
何事も経験しておくことですよね。
『母親からの小包はなぜこんなにダサいのか』の、「最低の経験でも無駄にならないのだ」というフレーズがすごく響きました。
常にアンテナを張り巡らせて、客観的に見ること、そして感覚だけでなく、実際に経験する、自分の足で行き、自分の目で耳で知ることが、創作者として大切なことだと思います。