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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

表現をする

日本の象徴 2月23日は富士山の日でもあります

想い

シナリオ・センター代表の小林です。今日は、ロシアのウクライナ侵攻から1年。
「まさか!」と思っているうちに、あれよあれよと攻めてきて、ウクライナは西側の応援を受けて押し戻したり、占領されたり・・・そんな攻防の1年が過ぎました。
まだやる気のプーチン大統領、「核戦力誇示」をされていますが、もう矛を収めたらと思います。
徹底抗戦はどちらも不幸でしかないと思うのですが。
戦争にはいいことなどひとつもなく誰一人幸せになりません。

昨日は、天皇誕生日でした。
天皇陛下は、誕生日のお言葉の中で、「私たち一人一人が平和な世界を実現するために何ができるのか、改めて問われているのではないかと感じます。」と仰り、
「1990年代に国連難民高等弁務官を務められた緒方貞子氏は、日本社会が前進するためにとして、『世界の多様な文化や価値観、政治や社会に目を開いて、そこから何かを学びとること、それとともに、国内でも多様性を涵養していくことが不可欠です。』と述べておられます。
このことは、今後の平和な世界を築いていく上でも大切な示唆ではないかと思います。」と、さりげなく今の社会へ苦言を放たれていらっしゃるように思いました。
皇室に特に思い入れはない私ですが、昨今の天皇、上皇の佇まい、お言葉は、先日の平和祈念館への私的見学といい、本当に国民のことを想い、戦争を起こしてはならないという思いの表れの気がします。
勝手な解釈をせずに、歴史をきちんと見つめていらっしゃるからこそ、決して「戦争を起こしてはならない」と強く思っていらっしゃるのでしょう。
歴史を、過去を、きちんと紐解くことができる人が、真のお上なのだと思いました。
「武器を持て!」としか叫ばない輩は、胸に刻んで欲しいものです。

心の洗濯屋

サンケイスポーツ東京発刊60周年特別寄稿に倉本聰さんが「脚本家は心の洗濯屋」と書いていらっしゃいます。
とても素敵な文章、脚本家とはかくあるべきと思わされた一文なので、ちょっと抜粋させていただきます。

「戦前の昭和の幼少期から思うと、ものの見事に日本は変わった。
焼け跡のあのうす暗い廃墟から始まって、灯の数が多くなりテレビが生まれ、映画がすたれ、テレビの時代になり、それが又急変してITの時代になり、人々の趣向もどんどん変わった。趣向ばかりではない。
最も変わったのは日本人の心、というか魂の清らかさではあるまいかと僕には思える。
日本人はすっかり汚れてしまった。
汚してしまったのは恐らく戦後の、この国の豊饒のツケだったのだろう。
あの敗戦から我々は立ち直り、ジャパンという見事なスーパーカーを作ったが、この車にはつけ忘れてしまった二つの大切な部品があった。それはブレーキとバックギアである。
そうした巨大なある種の欠陥車が、今無節操にひたすら走っている。
進歩と金銭の為なら何でもやるという右肩上りの思考の日本人たちが、科学の力と資本の力で、哲学を忘れて倫理なくつっ走る。
海の向うでは戦争があり、家族の為に命を張る人間がいるというのに、海のこっちでは心も何もなくした〝ルフィ〟なる若い悪党たちが、連日テレビを独占してしまっている。
情けないとしか云い様がない。
僕らが一生を捧げてきたつもりの、映像芸術のソフトを見廻しても、昔とずい分変わったと思う。
昔、作品は「感動」を目指した。
だが今、作品は「快感」を目指している。
愉しく面白く、大いに笑い、日頃のウップンから少しでも逃れ、見終わったら忘れる。
それが視聴率をとる良い番組であり、視聴者も会社もみんなウインウイン。それが現在の作品になっている。
果たして作品はそれで良いのだろうか。
良い作品とは心に残り、心の汚れをきれいに洗い流す。そういうものではなかったのか。
僕は自分の脚本家という仕事を、心の洗濯屋だとずっと思っている。
これまで僕の周辺にはそういう洗濯屋がいっぱい群れていた。
健サン然り、勝新然り、八千草さん然り、大滝さん然り。
雪の降る深夜そうした戦友と、突然無性にしゃべりたくなる。だが電話帳を開いてみても、そうした人々の名は殆んどもう消えている。」

倉本聰さんは米寿(88歳)を迎えられるそうですが、昔語りではないのです。どっかの大学の先生が言うような不必要な年寄りの繰り言ではないのです。
ドラマのあり方です。「感動」を描けと。
快楽と感動、なにが違うのでしょう。どういうことでしょう。
創作を志す人は、きちんと自分の頭で考え、心で想ってください。
そして、何を、どう描くことが大切なのか、ご自分の作品で表現してみてください。
「脚本家という仕事は、心の洗濯屋」
私は、心が洗われるようなドラマをたくさん見たいです。

来週月曜日2/27から3月2日の4日間、お休みをいただきます。
ちょっと心の洗濯に、胃袋の暴走に行かせていただきます。

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