伝えたいことが伝わるPR動画を作るには
「町の魅力を伝えるPR動画を作ってください」と言われたら、どうしますか?
「えー!出来るわけがない」という方。驚かないでください、小学生も授業で作っています……。
例えば、横浜市立汐入小学校 5年生の皆さんは、地域のお店をPRする動画を作ります。シナリオ・センターの新井がそのお手伝いをさせていただいた模様を広報の齋藤がレポート致します。
=今回の概要==============
・サービス名:「キッズシナリオ PR動画を作ろう!」(全2回)
・目的:町の魅力を伝える
・対象:横浜市立汐入小学校 さま
・時間:各約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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シナリオや絵コンテを描くときも、編集するときも、ある4つのポイントを“基準”に考えていけば、伝えたいことが伝わるPR動画を誰でも作ることができます。
大人も子どもも、今回ご紹介する模様を参考にしてください。
キッズシナリオ1回目
PR動画を作るために大切な4つのポイント
今回皆さんが作るのは、地域のお店のPR動画。取材先は地域のお総菜屋さん、お肉屋さん、駄菓子屋さん、お菓子屋さん、お米屋さん、魚屋さん、公民館のような施設、の計7ヶ所。
4人ずつ7班に分かれ、班ごとに担当の取材先に赴き撮影。最終的には、各班で作った7つの動画を1本につなげる、とのことでした。
〇新井:まずは、PR動画を作るために大切なことをお伝えします。ポイントになるのはこの4つ、
①何のために動画を作るのか
②誰に見てもらうのか
③動画で伝えたいことは何か
④見る人にどんな気持ちになってほしいのか
を考えることです。
これを予め決めておけば、途中で伝えたいことがブレたり、どうしたらいいか分からなくなる、ということを防げます。そして、自分たちが伝えたいことが伝わる動画を作ることが出来ます。
今日は①~④を考えていく練習をしていきましょう!
これで練習しておくと、自分たちのグループで動画を作るとき、どんな風に考えていけばいいかが分かるようになりますよ!
――と、ここで配られたのがこちらのプリント「練習!PR動画の絵コンテとシナリオを書いてみよう!~“コロッケのおいしさ”を伝える~」。架空のお店「肉のあおやま」のコロッケをPRするための動画を作る、という設定でシナリオと絵コンテを書いてもらいます。
――まずは、この場合の①~④を考えていきます。
――①~④が書けたら発表。例えば、
「①何のために動画を作るのか」では「コロッケを知ってもらうため」など。
「②誰に見てもらうのか」では「20代男性」など。
「③動画で伝えたいことは何か」では「このお店のコロッケのおいしさ」など。
「④見る人にどんな気持ちになってほしいのか」では「このお店に行ってみたい」など。
こんな感じで、この他にもさまざまなアイデアがでました。
〇新井:みんないろいろ考えてくれたね!
で、「ココをもっと考えていくともっと良くなるよ!」というところがありました。それは「②誰に見てもらうのか」のところ。「20代男性」と書いてくれた生徒さんがいましたが、もっと具体的にいうとどんな感じなんだろう?
〇生徒さん:とにかくお腹が減っていて、たくさん食べたい20代男性。
〇新井:おお、いいね!このぐらい具体的に「見てもらいたい人」を決めておくと、どんな情報を伝える動画にすればいいのかが分かってきます。例えば、コロッケの安さとボリュームにフォーカスして「80円でこんな大きいコロッケが買えるよ!」みたいな動画だったら、この人に刺さるんじゃないかな。
〇生徒さんたち:!
〇新井:もっと言うとね、動画の内容は「どんな人に見せるか」で変わってくるんですよ。コロッケの安さとボリュームにフォーカスした動画は「とにかくお腹が減っていて、たくさん食べたい20代男性」には刺さるけど、「健康志向の30代主婦・主夫」にはあんまり刺さらないと思うんですよね。
〇生徒さんたち:!!
〇新井:だから「②誰に見てもらうのか」は出来るだけ具体的に考えてください。
――「そうかそうか」と生徒さんたち。この後、もう一度①~④を考えてから、シナリオと絵コンテ(※)を描いてもらいました。
――その後、短いシナリオをもとに絵コンテを描いてもらい、
――アップとルーズ(ロング)を使い分けて撮影する、という練習もしました(※)。
※絵コンテや、アップ/ルーズ(ロング)についてはこちらのブログをご覧ください。
▼「@デジタルクリエーションクラブ/③ ロング バスト アップ を意識」
▼「小学校で子どもたちがSDGsの動画を作るポイント@十日市場小学校」
キッズシナリオ2回目
「情報を整理すること」と「魅了的にすること」は分けて考える
――教室には前回新井がお伝えした①~④、
①何のために動画を作るのか
②誰に見てもらうのか
③動画で伝えたいことは何か
④見る人にどんな気持ちになってほしいのか
を整理したプリントが、グループごとに掲示されていました↓
――①~④を意識しながら、撮影は無事に終了したとのこと。
今回はグループごとに編集をしていきます。
〇新井:どんな編集をしたいですか?
〇生徒さん:テロップを入れたいです。
〇新井:テロップはどうして入れたいの?
〇生徒さん:この動画は、他学年の為に作ります。自分たちより年下が多いので、より分かりやすくなるようにテロップを入れたいです。
〇生徒さん:他学年がこの動画を見たときに、自分たちが住んでいる町のいいところに気づいて、「このお店や施設に行ってみたい」という気持ちになってほしいので、情報が確実に伝わるようにテロップを入れたいです。
〇新井:そっかそっか。皆さん、この前お伝えした4つのポイントをすごく意識してくれていますね。ここでいうと特に、「②誰に見てもらうのか」「④見る人にどんな気持ちになってほしいのか」を考えた結果、テロップを入れよう、となったんだね。
〇生徒さん:はい!
〇新井:編集作業をするときのコツなんだけど、「情報を整理すること」と「魅了的にすること(=演出)」は分けて考えてください。
〇みんなこれから、使いたい動画を編集アプリに取り込んで作業していくわけだけど、テロップのことで言えば、文字のフォントやデザインとか“見た目”のほうに気がいってしまう、となることがあるんです。そうすると……
〇生徒さん:“謎”の動画になる!
〇新井:その通り!カッコイイとかカワイイとか見た目だけで考えてしまうと、この前お伝えした①~④、特に「①何のために動画を作るのか」「③動画で伝えたいことは何か」がブレてしまうんですよ。
――今回もまた「そうかそうか」と力強く頷いてくれる皆さん。
〇新井:今日は「情報を整理すること」を心掛けていきましょう。テロップを入れるときは、見た目のことはちょっと置いておいて、まずはそのシーンで伝えたい情報(=テキスト)を入力してください。
〇生徒さん:はい!
――ということで今回の編集作業では、前回お伝えした①~④のことに加えて、「情報を整理すること」も意識。
――具体的な流れとしては、絵コンテを確認しながら使う映像を取り込む→前後のいらない部分をカット→動画全体のテンポが良くなるように、コマの中のいらない部分を分割してカット→ルーズで撮ったカットの中で「ここは注目してほしい!」という部分をアップに変更→テロップを入れる、というところまで新井とともに進めていきました。
――完成まであと少し。残っている工程としては、テロップのフォント・デザイン・入れる場所を検討してより見やすくすること、スムーズに伝わるようにするためシーンとシーンの“つなぎ目”を確認すること、映像に合った音楽を入れること、「動画の終わり方(できれば余韻を持たせる)」を考えること。担任の先生によると、来週の授業でこれらの残りの作業を実施していくとのことでした。
さあ、どんなPR動画が出来上がるのでしょうか。
新井も楽しみにしております!
* * *
今回ご紹介した、PR動画を作るときに基準となる4つのポイント。4つ全て「簡単なこと」ではありますが、同時に、だからこそ「夢中で作っているとつい忘れてしまうこと」とも言えるのではないでしょうか。PR動画を作るとき、ぜひ意識してみてください。出来上がりが全然違うと思いますよ。
そして「なんとなく分かったけど、やっぱり手伝ってほしい……」ということでしたらお気軽にシナリオ・センターまでお問い合わせください!
※PR動画の作り方についてはこちらの書籍も是非。
新井一樹 企画・構成・著 改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/執筆 川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※ご参考までにこちらの記事もご覧ください。
▼「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」