「物語の続きが書けない」という方へのアドバイスを、出身ライターである小説家 原田ひ香さんからいただきました。
原田さんは元研修科所属。2005年『リトルプリンセス2号』で第34回NHK創作ラジオドラマ大賞受賞。2007年『はじまらないティータイム』で第31回すばる文学賞受賞。
これまで『ラジオ・ガガガ』『三人屋』『ミチルさん、今日も上機嫌』『彼女の家計簿』『母親ウエスタン』『人生オークション』『事故物件、いかがですか? 東京ロンダリング』『ランチ酒』『古本食堂』『そのマンション、終の住処でいいですか?』他多くの小説を上梓。
2022年10月には『一橋桐子(76)の犯罪日記』が、2023年1月には『三千円の使いかた』がドラマ化され放送。それぞれ話題となりました。
今回は「小説を書いているときに途中で手が止まってしまったら」の対処法としてお話しいただいておりますが、創作ジャンルに関わらず、例えば脚本でもマンガ原作でも活用できる方法になっています。ぜひ試してみてください。
出番が少なかった登場人物や新しい何かを投入してみる
〇原田さん:書いている途中で「ストーリーが思い浮かばない」となってしまったら、最初のほうから読み返して、出番が少なかった登場人物を出してみたり、全く新しい何かをちょっと投入してみたり、そういった化学変化を起こしていくと、話がちょっとまた盛り上がっていくんじゃないかなと。
それから、たぶん小説を書き始める前にプロットを書いていると思うんですけど、そのとき、ある程度ラストは決めておくじゃないですか。だから、そのプロットを読み返してみると「ああそうだ!忘れてたけどこんなこと考えてたんだ」みたいなことがあると思うんですよね。
小説って、いろいろな“種”を蒔いて盛り上げて、最後は全体を“閉じていく”という作業の繰り返しなんですよ。だから、「ラストがうまくいかなかったらどうしよう」とかあんまり考えずに、とりあえず書く。で、もう一回最初から読み返して、さきほど言ったような「ああこれ忘れてた!」みたいなことがあると思うので、そこをまた書いていけばいいのかなと思います。
主要な登場人物3人にディベートさせる
〇原田さん:こんな方法もいいかなというのがあって。以前、ある脚本家の方が仰っていたことなんですけど、頭の中で主要な登場人物3人くらいを思い浮かべて、ディベートさせるというもの。
例えば、「節約についてどう思うか」について、3人に話をさせてみるとします。何て言うのかなとか、こういうときはどんな話し方をするのかなとか、検証するわけです。
「節約なんて絶対イヤだ!」とキツイ言い方をする人もいれば、「自分はこんなふうに節約しようかなと思うけど……」と言う人もいるかもしれない。3人がどういうキャラクターなのかというのもハッキリしてくると思います。
ディベートで取り上げる問題は、小説の主題や小説に出てくることじゃなくて、全然関係ないことでいいんです。
いろいろなお題で何度もシュミレーションしてみる。で、ストーリーが思い浮かばないときに、そのディベートさせた内容を投入させることができれば、話を進めていくことができるじゃないですか。
この方法を聞いたときに、これはいいなぁと思って。試してみてください。
シナリオの書き方を通して物語を組み立てる方法を学ぶ
――最後に、シナリオ・センターの基礎講座 受講ご検討中の方へメッセージをいただきました。
〇原田さん:雰囲気が合う・合わないがあると思うので、とりあえず説明会やワークショップに出てみるのがいいんじゃないでしょうか。
8週間講座なら期間も金額も少なめで始められるから、最初はそういうところから始めてみたり。
小説を書きたい人は、シナリオの書き方を通してストーリーを作る勉強ができます。起承転結とか、どういうふうに話を盛り上げていくのかとか、物語を組み立てていくクセみたいなものを学べるんじゃないかなと思います。
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なお、『月刊シナリオ教室』(2023年4月号)には、原田さんのインタビューを掲載。『三千円の使いかた』などこれまでの作品に関することや、小説を書く上で大切にされていること等々、お話しいただいています。こちらも併せてご覧ください。
※原田ひ香さんにお話しいただいたこちらの記事も是非
▼小説家になりたい人へのメッセージ
※その他、シナリオ・センター出身の脚本家・監督・小説家の方々のコメントもこちらでご紹介。
▼脚本や小説を書く とは/シナリオの技術を活かして
- シナリオは、だれでもうまくなれます
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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