象徴

シナリオ・センター代表の小林です。桜がこれからという3月15日、創立当時からシナリオ・センターを支えてきてくれた所長の後藤千津子が亡くなりました。享年89歳。

コロナ禍でこの3年は、シナリオ・センターには出ていませんでしたので、最近お入りになった方は、ご存じないかと思いますが、後藤は、創立から関り、創立者新井一の片腕として、また新井一亡き後は新井イズムの伝承者としてシナリオ・センターを支えてきてくれたシナリオ・センターの大の功労者です。

新井が亡くなり、後藤に所長を継いでもらった時、シナリオ・センターの内外では、カリスマといわれていた新井が亡くなったので、シナリオ・センターは「もうお終いだね」といわれました。
ですが、後藤がしっかりと新井イズムを継承し、「シナリオの基礎技術」を新井の生前と変わらず受講生の方々にお伝えしていくことができたので、こうして53年、つつがなく歩んでこれました。

シナリオ・センターは、映像表現の技術をお教えするところです。
難しいことをやさしく、どなたにもわかりやすく、楽しく描いていただけるように、お伝えすることが、シナリオ・センターの使命だと思っています。
大きな柱は失いましたが、新井の、そして後藤の薫陶を受けた講師たちが、たくさんの柱となって、これからもシナリオ・センターを支え、プロ養成のために力を注いでまいります。

昨年12月、27日が誕生日だったのでお誕生祝にご自宅の近くまでお伺いしました。
久しぶりに美味しいものを食べながら、シナリオ談議に花を咲かせたのが最後となりました。
食欲も旺盛で元気でしたので、まさかこんな早く逝ってしまうとは思いもよりませんでした。
「来年は卒寿（90歳）のお祝いを盛大にしましょう」というと「え、誰の？」ととぼけて、「さあ？誰のでしょう」と大笑いをしました。センターに来れなくなっても、シナリオの技術でちょっとわからないところを電話で訊ねると、明確に答えてくれました。
最後までシナリオ・センターの所長として人生を全うされました。
シナリオ・センター代表として、心からありがとうと申し上げたいです。合掌。

このようなことを、ここに書いてよいか迷いましたが、シナリオ・センターを創立時から支えてきた後藤千津子という一講師がいたことを、多くの受講生の育成に力を注いでいたことを、彼女自身がシナリオ・センターの歴史であることをお伝えしたく書かせていただきました。失礼いたしました。