「頭の中に映像のイメージは浮かぶけど、どう書けばいいか分からない……」という方。
シナリオの技術が身につけば、そのイメージを具体的に表現できるようになりますよ。
これからご紹介する子どもたちがまさにそうでした。
=今回の概要==================
・サービス名:「<キッズシナリオ>シナリオプロジェクト」
・目的: シナリオ作り
・対象:NPO法人 放課後NPOアフタースクールさま
台東区立 谷中小学校 放課後子供教室(3~5年生)
・時間:約1時間
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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わずかな時間でも創造力がどんどん身についていきます。
その模様を広報の齋藤がリポートいたします。
どんなお題でも、まずは登場人物のキャラクターを考える
――12回目となる今回。いつも参加してくれている生徒さんに加えて、新たなメンバーも。飛び入り参加、大歓迎です。
シナリオの基本的な書き方(※)「柱(場所・時間帯を表すもの)」「ト書(情景や人物の配置・動作)」「セリフ」を解説してから、今日やることを発表します。
※柱はこちらの記事を
▼「シナリオの書き方:『柱の技術』」
※ト書はこちらの記事を
▼「ト書とは何か。良いト書の書き方を解説!」
※セリフはこちらの記事を
▼「良いセリフを書くためにおさえるべきセリフの機能、種類とその方法」
〇新井:本日は「笑顔」が印象的に残るシナリオを書いてみよう!笑顔でもいろいろあるよね。何か悪いことを思いついてニヤッと笑うこともあるし。
--生徒の皆さん、「う~ん」と首を捻っています。
〇新井:あれ?「笑顔」っていうお題があんまりよくない?
--「うんうん」と皆さん。
〇新井:じゃあ、「喧嘩」ならいける?
〇生徒さん:いける!
〇生徒さん:マイナスなテーマの方がプラスに進めていけるから書きやすいかも!
〇生徒さん:テーマが「泣く」ならいけるんですが……。
〇新井:いいよいいよ!お題は何でもOK!要はね、登場人物のキャラクターを考えて、場所を決めて、物語を書くということをしてもらいたいの。
例えば、サッカーのシーンを書きたいなと思ったら、その場面にどんな人がいるかなと考えてみて、まずはその登場人物のキャラクターを設定してみよう!
--ということで、今回のお題はナシ。さて、どんな物語ができるのでしょうか。
頭の中にある映像イメージを、シナリオの技術を使って書き起こす
*
--このキッズシナリオには新井のほか、胡麻尻亜紀さん(シナリオ・センター在籍生/映画『15歳の総理大臣』監督・脚本ご担当)にもご協力いただいています。ある生徒さんは胡麻尻さんとこんな会話をしていました。
〇生徒さん:登場人物2人のキャラクターを、口喧嘩が「弱い」と「強い」にしようかな。
〇胡麻尻さん:いいね、正反対の2人ね!ふだん、喧嘩ってする?
〇生徒さん:兄弟喧嘩はすごいする。弟とよく喧嘩するんだけど、弟は妹と喧嘩して、妹は逆ギレしてる(笑)。
〇胡麻尻さん:逆ギレする、というのもシナリオで使えるかも!そうやって人の喧嘩を見たり、自分がやった喧嘩をヒントにすると、イメージがどんどん湧いてくるんじゃないかな。
--「そうか、そうか」と生徒さん。早速シナリオを書き始めました。こうやって、さりげなく物語づくりで大切なことを伝えてくれる胡麻尻さん。時には「ナイスアイデア!」と声をかけながら、子どもたちのアイデアを広げてくれます。
一方の新井。「泣く」をテーマに書いている生徒さんと話しています。この生徒さんは“今回が初参加&シナリオを書くのも初めて”なのですが、すでに頭の中に映像イメージがあるようで、積極的に新井に質問して、書き方を確認していきます。
〇生徒さん:おじいちゃんから「おばあちゃんが倒れた」という電話があって、家族3人が車で病院へ向かいます。車の中にこの3人がいるのを映っているようにしたいのですが柱はどう書けばいいんですか?
〇新井:「〇車・中」で大丈夫ですよ。
〇生徒さん:病院に着くと、おばあちゃんがそろそろ亡くなってしまうとなる。病室に入っていくと、心電図がピーと鳴って、孫が悲しむ、という話にしたいんです。「病院」から「病室」とか、シーンを変えるには柱を変えればいいんですよね。
〇新井:そうです!柱を変えるとカメラに映っている場所が変わるということだから。
〇生徒さん:「1時間後」と画面に文字を出したいのですが。
〇新井:例えば、よくドラマとかであるような、黒い画面になって、そこに文字が出るようなイメージかな?
〇生徒さん:そうです!
〇新井:その場合もまた柱なんですよ。「○タイトル『1時間後』」と書くと、画面にこの文字だけが出る感じになります(※)。
※書き方の詳細はこちらの記事で是非!
▼「【脚本初心者必読】シナリオでテロップ(タイトル法)を入れるとき」
--疑問が解消すると、またどんどん書き進めていきます。
頭の中に映像のイメージがあるのは、この生徒さんだけではなかったようで--。
〇新井:さあ、そろそろ皆さん、書けましたか?
〇生徒さん:まだです!頭の中にはイメージがあるのに、それを書く時間が足りません!
体を動かしているシーンを書きたいのですが、どうすればいいですか?
〇新井:例えば「腕を振り下ろす」なら、それをト書に書いてください。
〇また他の生徒さん:音が鳴っている感じにしたいのですが、どう書けば。
〇新井:ト書に、「バリバリと音がする」みたいな感じで書けばOK。
--こんなふうに、皆さんの頭の中に浮かんでいる映像イメージを、シナリオの技術を使って、文字に起こしていきました。
イメージしていたことがちゃんと伝わった発表&感想タイム
――書き終わった後は、発表&感想タイム。
例えば、「泣く」をテーマに書いた生徒さんの発表後には、
〇生徒さん:切ない!
〇生徒さん:よく練られている!
〇生徒さん:病院に向かう車の中で家族3人が無言で座っている、というト書に心情がちゃんと表れてる!
〇新井:すごい、絶賛の嵐だね。感想を聞いてどう?
〇“作者”である生徒さん:自分でも書いていて悲しいなって思った!
――といったやり取りがありました。他の生徒さんのときもそうでしたが、「書き手が表現したかったことが、聴き手にちゃんと伝わっている」というのがよく分かる発表&感想タイムとなりました!
〇新井:今日、初めて参加してくれ子も、こんなふうにまず登場人物のキャラクターを決めてから、柱・ト書・セリフを書いていけば、お話が作れるんだということが分かったんじゃないかなと思います。
また、こうやってやると、頭の中でイメージしていたことがカタチになるんだということも分かってもらえたんじゃないかな?
〇生徒さん:はーい!
〇生徒さん:続きを書きたいので持って帰っていいですか?
〇新井さん:勿論!帰ってからも書いてくださいね!
* * *
「柱」「ト書」といったワードが子どもたちの口からポンポンと飛び出してくる。そんな模様をご覧いただいて、びっくりされた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
でも、ほんのわずかな時間でも、基本的な書き方やコツを押さえると、ぼんやりと浮かんだ映像のイメージを具体的に表現できるようになります。学校や学童の先生方で、「うちもお話作りが好きな子どもたちが沢山います!」ということでしたら、キッズシナリオお薦めです。ぜひお気軽にお問い合わせください。
また、ご参考までにこちらのページ「コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ」もご覧ください。
>>今回の模様を「谷中小学校放課後子供教室ブログ」でも紹介していだいています。併せて是非。
これまで谷中小学校 放課後子供教室で実施した模様もご紹介!
・短時間でも映像は作れる!/子どもがのびのびと自己表現できる場
・小学校低学年の子どもたち、書くことがもっと好きに!@谷中小学校
・子どもが遊びながら学ぶ物語の作り方/昔話を使ってシナリオ作り
・「自分の作品を人に見せたくない。恥ずかしい」を乗り越える!
★「谷中小学校放課後子供教室ブログ」でも紹介していただいております。