災害
シナリオ・センター代表の小林です。熊本地震から7年です。
震度7というすごい地震が2回も来るという前代未聞の地震で、300名近い方が命を落としました。
先日熊本旅行へ行った友人から、まだ復興が進んでいないところもあったと聞きましたが、街や家は戻すことができても、心の傷は復興に至ることはありません。
日本は地震国です。いつでもどこでも地震が起きてもおかしくない国です。
亡くなった後藤所長からこんな話を聞いたことがあります。
後藤所長のお連れ合いは、地震学者。
ある時、近所の大金持ちの宝石商が「宝石を安全において置ける場所、日本の中で地震のないところはどこか」と訊きに来たそうです。
彼は一言の下に「ない!」と明言。
そんなことは、専門家だけでなく国を司る者は、国民の命を預かる者は、ちゃんと知っていなければならないこと。
地震国に原発が安全なのか・・・福島をみれば一目瞭然。安全でもなければ、後処理一つできない。
もし、ミサイルが撃ち込まれたらどうなるのか。
それでも、原発を推進するというのは、どういうつもりなのでしょうか。
簡単に想像できることも、しようとしないのか、想像していない。。
災害はそこにあるものを壊すだけでなく、人の心も壊していくのだということをお上は理解して、対応に努めて欲しいと思います。
わたしのいけない世界
出身作家の森美樹さんの新刊が出ました。
「わたしのいけない世界」(祥伝社刊)
ちょっと怪しいタイトル通り、ちょっと怪し気な本です。嘘です。(笑)
女性の情念を描かせたら右に出るものがない森美樹さん、欲に目覚めた女性たちを興味深く描いています。
主人公は、12歳の佳月と7歳の柊。二人は秘密の3日間を過ごし、その15年後に再会するのです。
父親に虐待されていた小学1年生柊を秘密の場所にかくまった12歳の佳月。
わずか3日間だが、密かにお世話をするうちに恍惚に近い感覚を覚える。同じころ柊の父親が行方不明になり、溺死体で発見される。それから15年経って・・・。
「欲に目覚めた女たちの珠玉の連作短編集」と帯にあるように、実は女性の中に隠し持っている、一般的には男性のものとされる征服欲が見事に描かれているのですが、ミステリーの要素も強く、一体何が起き、誰が何をし、どうなるのか・・・すごい勢いで引っ張りこんでいきます。
この二人を軸に、柊の書いた小説「私のいけない世界」に魅せられた詩子が出てくるのですが、まさに現実の読者私たちと小説の中の読者詩子が共鳴し合って読んでいくとより引き込まれます。
子供の頃、女の子の方が大人っぽく男の子のすることなすこと、子どもっぽくみえて、「ばかなの?」って一蹴していませんでしたか。
本書の中でも佳月の口癖として「ばかなの?」ってでてくるのですが、実は、女性の方が遥か幼いころから、大人で、征服欲を持っているのだと思うのです。
男社会の中で、それを出すことが許されなかったから、隠してしまうようになったのか、その辺は私には定かではありませんが。
森さんは女性の本質と向き合って書かれたのではないかと思います。
読み読み応えのある本です。