「喜劇や笑いは難しいから書くの諦めようかな」とお悩みでしたら、今回ご紹介する記事を参考にして、そもそも笑いはどこから来るのか、を考えてみてはいかがでしょうか!
シナリオ・センター創設者・新井一は、『シナリオの基礎技術』『シナリオの技術』などシナリオの書き方に関する書籍をいくつも執筆しています。また、『月刊シナリオ教室』でも連載ページをもち、シナリオの技術を解説していました。その記事は、いま読んでも全く色褪せていません。
そこで、当時の記事を皆さんにご紹介。「シナリオってどう書くの?」という初心者の方も、「一度学んだけど、忘れちゃった…」という方も、これを読めばシナリオ作りが一層はかどります!
笑いはどこから来るのか
笑いというものは、以前は低級なものと考えられていました。そういった本能のくすぐりから来る笑いは、すぐに出来ます。手短かに笑いを作るには、人間の動きを使うことになります。
今のテレビ番組は、いかに笑わせるかを目的としていて、例えば、壁にペンキがベタベタ塗ってあるところに突き飛ばされて、壁のペンキを身体で受けたり、そうしたドタバタをして笑わせるという趣向がほとんどです。人間の尊厳もへったくれもありません。
優越感を感じたときに笑う
人間はなぜ笑うのか。
あの有名な哲学者ベルグソンは『笑いの哲学』という本を出していますが、それによると人間というのは、「優越感を感じたときに笑う」と言っています。チャップリンのあのドタバタ演技は、「俺はあんなにはカッコ悪くないぞ」と観客が感じるから、思わず笑いが出るというのです。
では、モリエールやシェイクスピアなどの喜劇の笑いはどこから来るのでしょうか。彼らが生み出す喜劇の魅力は、人物や世間への風刺。それを観て、「あんな偉そうなことをしていても本当の心は貧しいのだわ」という考えや、「私はそうは思わないわ」という意思が、思わず観客の微笑みとなって表現される、というわけです。
喜劇や笑いは難しいと言って諦めてしまわないで、喜劇や笑いについても、最初からうまく書けるとは考えず、だんだんとわかってくるでしょう。
昔から笑いや喜劇はたくさんあるのですが、「これが笑いですよ」というものはなかなかありません。仕方がありませんが、私は落語をぜひ勉強するようにおすすめします。
出典:『月刊シナリオ教室』1997年11月号新井一「巻頭言」より一部抜粋/2018年9月号「新井一.com」
★次回7月4日に更新予定です★
※こちらの動画「喜劇を書くために知っておくべきこと」もご覧ください。
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
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