menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター
背のびしてしゃれおつ

スタッフが行く、表参道スポット
背のびしてしゃれおつ

しゃれおつなお店や人々が行きかう街、表参道。そこで働くシナリオ・センタースタッフの見たもの触れたものをご紹介します。

表現し続ける
伊参スタジオ映画祭2022 第19回シナリオ大賞 受賞者コメント

表現し続ける/伊参スタジオ映画祭2022 第19回シナリオ大賞 受賞の言葉

伊参スタジオ映画祭2022 第19回シナリオ大賞(伊参スタジオ映画祭実行委員会 主催/中之条町、上毛新聞社 共催)。応募総数238本(中編の部:104本/短編の部:134本)。

本田周さん(作家集団)の『二人乗りの頃』と、藤田健司さん(元通信講座作家集団)の『クスミノブコのお目覚め』が審査員奨励賞を、片岡けんたさん(元研修科)の『ルーズボール』が上毛新聞社賞を受賞(※3作品ともに「中編の部」)。

『月刊シナリオ教室』(2023年7月号)には、受賞作のシナリオと受賞の言葉を掲載しています。こちらのブログでは受賞のコメントをご紹介。

「シナリオを書こうと思っているけど途中で挫折しちゃう……」「表現し続けるのって難しいな……」とお悩みの方。お三方のコメントをお読みいただくと、表現を続けた先に見えてくることがあるんだと感じていただけるかと思います。

審査員奨励賞:本田周さん『二人乗りの頃』
「これまでで一番“自分”が出ている作品」

*

==『二人乗りの頃』あらすじ==
成績優秀だが、母とその愛人・橋本と気詰まりな暮らしを送る三崎弥子(15)と、貧困家庭で得意は万引きの田辺千紘(15)。二人に芽生える淡い恋心。或る日、橋本からの性的危機を感じた弥子は、母親に親子二人だけで暮らそうと訴えるが、取り合ってもらえない。傷ついた弥子の隣に田辺は黙って寄り添い、鏡文字で拙く「やこ すき」と書いた紙片を差し出す――。

〇本田さん:今回が初めての応募でした。

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞に以前参加・受賞された方から、この映画祭の素晴らしさを教えていただき、現地に行ってみたいと思ったことも応募したキッカケの1つです。

映画祭当日は、運営の方々、地域の方々、ボランティアの方々からとても温かいおもてなしを受け、始終和やかに皆さんと交流することができました。

審査員の松岡周作さんからは、講評でも過分のお褒めをいただきました。特に「とても真摯で大事にしたくなるシナリオ」というお言葉には、「自分の思いが通じる場があった!」というありがたさ・嬉しさを噛みしめました。

と同時に、これからも書き続けていきたい!頑張ろう!というモチベーションにも繋がりました。

今回の作品は、これで一旦書ききれたかなと感じています。これまでで一番、自分というものが出ている作品かとも思っています。「読んだ方がここから何かを感じてくだされば」という思いのこもった作品です。『月刊シナリオ教室』に掲載されていますので、是非皆さんに読んでいただきたいです。よろしくお願いします。

審査員奨励賞:藤田健司さん『クスミノブコのお目覚め』
「いやな展開なのに見続けられるほど面白いものを」

*

==『クスミノブコのお目覚め』あらすじ==
久寝信子(21)は、東京から故郷の片田舎に帰省した。名前の通り、人を信じようと生きてきたが、裏切られ続ける人生。信子の猜疑心は、道端で中田功(50)に助けられても、下心がないことを怪しく思うほど。信子は金を稼ぐために元彼の案内でバイトを始めるが、居酒屋のトイレで元彼に襲われそうになり絶望。そこを再び中田に助けられ、彼の畑の手伝いをすることになる――。

〇藤田さん:この話を作ったことで、自分の中で新たな発見がありました。それは私が基本、人間の負の部分に惹かれるということです。

この話の中で気に入っているのは、教育実習生になった元同級生が主人公に向かって言った一言です。実際にはこんな人いてほしくないのですが、画面の中にいるなら観てみたい気がしました。

自分の好きなストーリーを振り返ってみると、だいたいそういう人の良くないところが見え隠れする話でした。それらも同じく、現実に起きたら絶対いやな展開ですが、フィクションだから楽しめますし、そんなにいやな展開なのに見続けられるほど、面白いものを作れているのはすごいと思います。

というわけで、私は今後も何か書くときは、人の負の部分を大切にしようと決めました。それを活かして、楽しい話だけでなく面白くていやな話も世に増やしていきたいです。

ただ、そういうキャラクターやストーリーで気に入ってもらうためには、もっとシナリオの腕を上げなければいけません。それから、その負の感覚が私の現実にしみ出さないよう、普段から明るく振舞って、徳を積もうと思います。

上毛新聞社賞受賞:片岡けんたさん『ルーズボール』
「表現を続けることで“痛み”を共感・共有したい」

*

==『ルーズボール』あらすじ==
小松拓海(17)と米村颯太(17)は同じバスケ部で親友だった。小松は、毎朝誰よりも早く来て練習に励んでいた。しかしスタメンになれず、悔しい想いを抱えていた。一方、米村はチームで一番活躍していた。小松は密かに米村を妬んでいた。そんなある日、米村がふざけてバッシュを万引きする動画が、バスケ部内のLINEで共有される。小松はその動画をSNSにアップロードしてしまう――。

〇片岡さん:ルーズボールとは、バスケットボール用語で“こぼれ球”を意味します。本来、キープしてマイボールにしたいはずのボール。

もしそのボールが邪魔な存在になったら?
チームに必要な有望選手がもし炎上したら?

そんな状況に陥った、とあるバスケットボール部の話です。応募するまでリライトを重ね、書き上げたのは14稿目でした。

この作品で描きたかったことは「過剰な社会的制裁」。私が描きたい脚本のビジョンはいつも一緒で、「自分ではどうしようもない出来事に巻き込まれ、美しい夢や希望が儚く消えること」です。

誰しも人生における後悔や未精算の過去があり、それらを抱えながら生きていると思います。私自身は表現を続けることで、その「痛み」を共感・共有したいのだと思います。

この作品は何とかして映像化したいと思っております。そのための準備を進めているところです。これから何かの形で皆さんの目に触れることがあるかもしれません。「共感してほしい」「共有したい」という私の小さな願いが届くといいなと思っております。

 

*     *     *

表現し続けた結果、コンクールで受賞され、今回の受賞がまたキッカケとなって、「今後、自分はこう表現していこう」といった決意や発見にも繋がった、ということが、今回ご紹介したコメントから感じとっていただけたのではないでしょうか。

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞は2022年より、2年ごとの隔年開催に。また、大賞作品の映画化期間も最長で2年となったことで、より充実した準備期間が確保できるようになりました。

「自分にしかできない表現をしたい!」という方。是非応募してみてください。これまでもシナリオ・センター在籍生や出身生の方が受賞されていますので、こちらの記事も併せてご覧ください。

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2019大賞受賞 中野優子さん

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞2018短編の部 大賞受賞 胡麻尻亜紀さん

伊参スタジオ映画祭シナリオ大賞と函館港イルミナシオン映画祭で受賞 村口知巳さん

伊参スタジオ 映画祭シナリオ 大賞/歴代受賞作をまとめたシナリオ集を制作

シナリオは、だれでもうまくなれます

「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。

“最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。

※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
詳しくは講座のページへ

シナリオ作家養成講座(6ヶ月)

シナリオ8週間講座(2ヶ月)

シナリオ通信講座 基礎科(6ヶ月) 

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ