menu

脚本家を養成する
シナリオ・センターの
オンラインマガジン

シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

他人へ

鈴の音が聞こえる~はじめての恋~(講談社刊)

思い出

シナリオ・センター代表の小林です。今事務局に、後藤所長の話し声が流れています。
24日に行うお別れ会のための後藤の声を探しているからなのですが、事務局にまだいるような気がします。
心地よい話声に、あれ、こんなにやさしい声だったっけ・・・。(笑)
早口ではない、じっくりと説得力のある話し方、で、時々畳みかけるように喋る。畳みかける時はちょっと口をとんがらせて。

私が、シナリオ・センターの代表になった時、30年以上前ですが、「小林さんはシナリオ・センターのおくりびとになったんだから頑張ってね」と変なエールを某講師に送られて、確かにほとんどの講師が私より年上だったし・・・。
実際、何人もの講師やスタッフをお送りして・・・53年もやっていればね。
「生者必滅会者定離」は、当たり前のことだからと常に覚悟はしているのですが、若い時と違って歳をとると、ことのほか心に響きます。

だからこそ、若い人の未来を奪いとるような、自分の利権しか考えていない年寄りが徒党を組んで、ろくでもないことしかやらないお上というものに、腹が立つのです。怒りは日増しに強くなっていきます。
少なくとも私たちが創ったろくでもないツケをこれからの人に渡してはいけない。
渡さないためにできることを起点に考えれば、年金削ったり医療費増したり、少ない収入の人に増税をかけたりすることなんてできるはずがない。
ある者が、豊かな者は率先して出さなくては。
3食、食べられない子供が、親がいるのに、普通でも高くて食べれないオリガミで朝食会議など申し訳なくて食べられるはずもない・・・。
あ、思い出話をしようと思ったのに、また怒りに向かってしまう・・・(笑)

鈴の音が聞こえる~はじめての恋~

辻みゆきさん(作家集団)の「鈴の音が聞こえる」(講談社刊)の3作目が出ました。
サブタイトルは「はじめての恋」

主人公の美空は、中学1年生の弱視障碍者。ぼんやりしか見えない。彼女が好意を持っている晴流は、聴覚に障害がありかすかな重低音を頼りにダンスを踊っている。
彼らが周りの先輩や仲間、兄弟に見守られながら少しずつ恋を育てていきます。

毎回この「鈴の音が聞こえる」を読んで思うのは、著者である辻さんが、それぞれ障害を持つ登場人物をしっかりと捉えていらっしゃることです。
障碍者を優しく見守るだけではなく、それぞれの特性を生かした行動をさせることで、それぞれの問題や行動をきちんと描いています。
今回は、全校で行う文化祭飛翔祭が舞台。美空達目の不自由な4人のクラスは、「星の王子様」の朗読劇を行うことに。
星の王子様にキツネが言います。
「心でなければ、物は見えないってことさ。肝心なことは目では見えないんだ」
目に映らないものを想像すること。言葉にならない、心の声を感じとること。
さりげなく美空に、読者に伝えていきます。

辻さんは、動物のふれあいから成長していく主人公を描いた「ゆずのどうぶつカルテ」でもそうですが、子どもたちが、様々な動物や他人とのふれあいで成長していく姿をとても爽やかに描いています。
ジュニア小説は、子供向けなのでやさしく描かなくてはと思いがちですが、実は大人も子供も同じです。
子どもだからというつもりで描いては、反対に通じないのではないかと私は思います。平易な言葉で描くことは必要ですが、子どもは鋭いですよ、大人よりね。
「鈴の音が聞こえる」怒りの小林も、気持ちが穏やかにやさしくなる素敵なお話です。

過去記事一覧

  • 表参道シナリオ日記
  • シナリオTIPS
  • 開講のお知らせ
  • 日本中にシナリオを!
  • 背のびしてしゃれおつ