シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。参議院選挙が終りました。出口調の結果で早々と当選確実を発表できるのだそうですが、毎回投票にいっているのに、一度も出会ったことがありません。
疑問に思っていたら、池上彰さんが明快に答えてくれました。わからない人にはわかりやすく答え、政治家には鋭く突っ込む池上さん、テレ東でありながら(失礼!)選挙番組で視聴率トップをとった理由がわかりました。
(この写真、鹿が選挙ポスターを食べちゃったんですって。妙に納得。ツイッターから 😉 )
それにしても、大きな岐路に立っている日本の今、52.61%という低い投票率に愕然とします。
「入れる人がいない」「入れる政党がない」ことが投票しない理由の一番ですが、私も同じです。入れたい人も、入れたい政党もありませんでした。
それでも投票をするのは、ひとつの方向に進むことはストップだよと言いたい、抑止力に少しでもなりたいという気持ちからです。
「すべての人が違う思いや考えを持っている」ことを大事にしたい、正解がないのに自分と違う意見を抹殺する世の中を作りたくないからです。
シナリオを書くときは、すべての登場人物の性格、考え方、事情などを創ります。
人はひとりとして同じではない、ひとりひとりが違うから、ドラマが生まれるのです。
ドラマは、葛藤・対立・相克を描くことです。対立が深ければ深いほど、正解がないだけに、葛藤し悩みます。
自分と反対の考え方や違う想いをどれだけ理解し、自分の考え、想いを伝えるかが大事です。
押し付けの教育や押し付けの政治に、イヤというほどさらされてきた日本です。自分の考えを持ち、自分の言葉で伝える力こそ求められています。
コップひとつでも、上から見れば円だし、横からみれば長方形だし・・・見方によって形は違います。ものごとには、すべて正解がないと思っています。
だからこそ、ちゃんと話し合える土壌つくりが大事だと思います。
池上さんが、番組の最後に投票率にふれて「投票しなかった半数の人達は今の政治にNOを言っているということを忘れてはいけない」とおっしゃっていましたが、声を出さなければ誰にも伝わりません。
スタジオジブリの宮崎駿さん、鈴木敏夫さん、高畑勲さんが、ジブリのPR誌「熱風」で憲法改正反対の声をあげています。PR誌「熱風」は、あっという間になくなってしまい、意見を読みたいという方のためにジブリのホームページに載せています。http://www.ghibli.jp/shuppan/np/
今だからこそ、ちゃんと言わなくては、伝えなくてはと思われてのことです。
「一億人のシナリオ。プロジェクト」は、どういう考えを持つべきかではなく、ひとりひとりが自分自身で考えるためのツールとしてシナリオを使ってもらいたいのです。
私たちにもう少しだけ想像力、創造力があって、相手の立場で考えられたら、伝え方を変えられたら、きっとやさしい世の中に変ると思うのです。
「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」シナリオ・センターのミッションですが、今こそ必要だと思います。
ともすれば失いがちな私たちの想像力、創造力をシナリオはかき立ててくれます。