シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。
シナリオ・センター代表の小林です。すごい雷と稲光・・・ああ、落ちた!思わず事務局一同叫んだ午後3時の表参道でした。
ドンドン亜熱帯に近づいているのでしょうか。日本の四季はなくなっちゃうのでしょうか。気候も社会も生きづらい世の中になりました。
高知市教育委員会で、今月の初め、高校の先生方にシナリオをツールにしたキャリア教育の講座をさせていただいたのですが、この秋は、小学校の先生方にというご依頼をいただきました。
すっかり高知ファンになってしまった私にとっては嬉しいご依頼ですが、ちょうど朝日新聞を読んでいたら、私の大好きな高知出身の小説家有川浩さんが「出合いを惜しまない」お話をされていました。縁(えにし)を感じます。(笑)
物書きにとって示唆のあるお話だったので、ちょっと書き写してみました。
『書く仕事ではアウトプットばかりだと枯れてしまうので、インプットがどうしても必要ですが、私がガス欠にならないように意識しているインプットは、人との交流にしか果たせません。(中略)自作が映画化される機会には、ロケ現場へも喜んで出かけていきます。そこで何かを感じられるという期待があるから。もし、忙しさにかまけて体を運ぶのを惜しみ始めたら、その時に私は作家として終ると思う。
自分一人の脳みそでできることって限りがあり、そんなものに固執していたら、次は狭い範囲で考えたような作品にしかならない。作品を生み出すには、世の中の強烈な現実と出合うことも私には重要です。その出合いを捉え、想像力を働かせるプロセスの中で多くの取材をし、資料を読み込んでいきます。始めに出合いありき、そしてダッシュしていく。(略)』
私も同じ考え方で、普通の人でも人との出会いを大事にすべきだと思うけれど、物書きであればより他人、自分に以外の人とセッションして欲しいと思っています。
そのために「ミソ帳倶楽部」を始め、多彩なゲストを迎えて30回を越えました。
「ミソ帳」ですから、有川さんのおっしゃるように「自分の脳みそでできることは限りある」ので、この脳みその活性化の為にあらゆるジャンルの方のお話を聴けるようにしたいと思っていました。
「月刊シナリオ教室」で、村田裕子さんが連載しているプロフェッショナルインタビューをリアルで体験して欲しいと思ったのです。リアルに訊くことで、もっと脳みその活性化が図れるはずです。
ですが、私の想定とはずいぶん異なってしまいました。
プロデューサー、脚本家、監督しか人気がないんです。シナリオを書けるチャンスだけを狙っているのでしょうか。プロデューサーとの名刺交換は、とくに人気です。
でもです。脳みその活性化なくしては、チャンスをものにすることはできません。
まずは、たくさんの出会いを持つことで想像力を大きく広く働かせましょう。
『最近気になるのは、ドラマや小説、漫画、アニメなどで、キャラクターの行動や言葉の中に「こんなのは非常識だ」と言いたがるものが多いこと。声高に何かを責める前に「自分は一生パーフェクトでいられる?」と問うて観ると、少しは人に対して寛容になれるかもしれません。(中略)何度も間違いをしてきた私も、思いがけない人との出会いで脳みそが動いた。自分から人との垣根を越える気持ちで、仕事にも新しい豊かなインプットを続けてみてください』と有川さんが結んでいます。
生きづらい世の中にしないためにも、自分を見つけるためにも、たくさんの出会いを作ってインプットし、それをアウトプットすることで自分の言葉にしていく・・・簡単ではありませんが、そんな人達が増えてくれることを願っています。