女性差別
シナリオ・センター代表の小林です。毎日が怪しい天気で、怪しい社会情勢ときては気が休まるときがありません。
それにしても、岸田首相の「女性ならでは~」の発言に批判がおよび、弁明をしていましたが、弁明自体がおかしな発言で、どんどんドツボにはまりそうです。
男性社会で生きていいたらどうしても男性主導、男性主体になります。
男性だけの問題ではなく、女性も長い歴史の中で女性の立ち位置を知らず知らずのうちに決めてしまった感があります。
うちは連れ合いと娘が交代で平日は夕食を作ります。休みの日は私が作ります。
そんな話をすると、殆どの方が「ご主人エライわね」とか「僕にはできないことだ」とか言われます。
娘が偉いとは誰も言いません。連れ合いは、掃除も洗濯もやります。
大人同士が一緒に暮らしていて、役割分担をすることがそんなに珍しく大変なことでしょうか。男性が掃除・洗濯・食事を作ることがそんなにできないことなのでしょうか。
家事は女性がやるべきものと根本的に思っているからですね。
女性の一番腹立つのは、手伝ってやった風を吹かす男性。
「手伝うんじゃないんだよ、やるのが当たり前なんだよ!」女性の本音です。
若い時にいつもいつも腹立たしかったのは子供が熱を出した時の保育園のお迎え。必ず母親へ連絡が来るのです。
日本では、男性が世帯主となっています。ならば、家のトップに、世帯主に何故連絡して迎えに来いと言わないのか、ずーっと、そして今でもあの理不尽さに腹立ちを覚えます。今では変わっているのでしょうか。
長い時代に植え付けられた先入観はなかなか抜けません。元首相も女の話が長いと言って切られましたよね。
岸田首相も、「まったく女性の優秀さが感覚としてわからないので、ごめんなさい」と謝っちゃった方がいっそ気持ちがいいかと思うのですが。(笑)
続 家康さまの薬師
本当はね、男性社会といっても、男性が活躍できた陰には、女性が必ずいるんですよ。
鷹井伶さんの「家康さまの薬師」の続編がでました。
「続 家康さまの薬師」(潮文庫刊)
家康様を支えたのは、主人公の幼名瑠璃、薬師から側室になった阿茶局。
側室になってからも薬師として、精神的参謀として、身体も心も支えてきたのです。
続編は、信長の死、本能寺の変から始まります。
ここからは歴史的にも大きなうねりがあり、家康自身、大河ドラマの「どうした家康」でも描かれているように、大きく変化していきます。
阿茶局はそんな家康をしっかりと支えていきながら、家康のみならず、常に家康の他の側室から茶々はじめお市の方の3姉妹、また秀吉の北政所於寧など女性たち、子どもたちに寄り添い続けます。
その姿は立場が変わっても一貫したキャラクターで描かれています。
ちょっと残念だと思ったのは、せっかくの阿茶局と家康とのエピソードが、歴史の流れが早いために、前編よりもさらっと描かざるを得なかったように見えたこと。
せっかくの二人のエピソードをもっとじっくり読みたかった、もったいないと思ってしまいました。
編集上、仕方がないと言えば仕方がないのですが、この続で終わらせずに、上中下巻でやろうと、編集が考えてくれたらなぁと、悔しい。
だって、もっと家康と阿茶局のエピソードを楽しみたかったもの。
せめて、もう1巻分読みたかったなぁ。
これも家康、阿茶局のキャラクターがとても魅力的に人間性が出ているからこそ思ってしまうのでしょうね。
とはいえ二人とも亡くなってしまったので、続々編を願っても無理なことだと思うので、鷹井さんの漢方養生指導士、漢茶マスターの資格を活かした新たな小説を、「家康さまの薬師」「お江戸やすらぎ飯」とはまた違った設定で描いてほしいと願ってしまいます。
「続 家康様の薬師」、歴史小説とは違った視点で描く時代小説を楽しんでください。