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シナリオ・センター

代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

学ぶということ

新井一語録

本の力

シナリオ・センター代表の小林です。クリーニング屋さんが預けていた冬物の一部を持ってきてくれました。セーターを受け取りながら、「はあ、早すぎない?」とちょっと尖がったら「えー、来週は10月ですよ。」と。
あらまあ、ホント、来週日曜日は10月1日、衣更えなのだ。とはいえ、この長い夏、衣更えはいつになることやら。

3月に所長後藤を、5月に高校の友人を亡くし、思わず書店で手に取ったのが、奥様を亡くされた批評家の若松英輔さんが10年近く前に書かれた「悲しみの秘儀」(文春文庫)でした。
先週、図らずも高校の友人がまた亡くなりました。同じグループの60年近く共に生きてきた友がまたひとり旅立ったのです。
亡くなったその日、私は彼女の希望で手作りのチーズリゾットを作って持っていくはずでした。
言葉にならない悲しみと怒りで私は真っ白でした。
そんな時、ぼんやりと「悲しみの秘儀」のページをまためくりました。
解説で俵万智さんが『見失いがちな「人生を俯瞰する視点」を宝石のような言葉が思い出させてくれる』とおっしゃっているように、死を通して人生を考えさせられる色々な作家の言葉が引用されており、それらの言葉が私の心の中に反響されて、少なからずも安らぎを与えてくれました。
最後にあとがきに行きついたとき、若松さんのこの言葉に大きく助けられました。
「想いを書くのではない。むしろ人は、書くことで自分が何を想っているのかを発見するのではないか。
書くとは、単に自らの想いを文字に移し替える行為であるよりも、書かなければ知り得ない人生の意味に出会うことではなかろうか。」

本科

今日は、久しぶりに本科の講師会でした。
コロナ禍で、毎月行っていた講師会もできず、今年も要所要所で1回という感じでしか行えていません。
それだけに、講師も事務局も話したいことがいっぱいでした。

本科は、シナリオ8週間講座が修了すると上がっていただくゼミナールクラスです。
ここでは、20枚シナリオを20本描いていただきます。映像表現の技術、基本を身につけていただくところです。
ヒッチコックが「映像は、小道具、小道具、小道具」といったように、シナリオ・センター本科でも小道具の使い方から始まります。
シナリオも小説と同じように文字で描くのですが、文字で完結するのではなく映像になってナンボです。
見えるように描けているか、そこがポイントです。
本科は、見えるように描くための技術をとことん学んでいただく場所です。
なので、いくつかの映像表現の中で、「できる限り使わないでね」という禁じ手のようなものがあります。
「回想」「イメージ」「フラッシュ」「×××(時間経過)」等々です。
何故、当たり前のようにプロが使っている技術を「できる限り使わないでね」と申し上げるかというと、これらは、使い勝手がいいからです。初心者の方々のほとんどが使いたがります。
使い勝手いいということはどういうことでしょう。
さらっと描けるのです。さほど熟考しなくても時間は飛ばせるのです。過去を説明できるのです。
ですが、本科は、基本をしっかりと身に着けていただく場所、面倒でも手を抜かずにデッサンを重ねていただきたいのです。
例えば、皆さんが大好きな「回想」、回想というのは大きく言うと説明です。
説明台詞はダメよといわれますよね。ドラマの中で回想を使うということは、説明になって映像的に面白くないものになりがちなのです。ドラマの動きを止めてしまったりもします。
本科では、どうやったら回想を使わずに説明できるのか、時系列で描くことはできないのか、小道具を使ったらどうか、試行錯誤していただくことが大事なのです。
この表現で見せる(魅せる)ことができるのか、徹底的に映像としての表現を学んでいただきたいのです。
シナリオ・センターは、長く活躍できる力を持つ脚本家を育てたいのです。
そのために「映像表現の技術」をみっちりとたっぷり学んでいただきたい、そこに作家性が出るからです。
魅力的な映像表現の技術を武器にできるようにしたい、ただそれだけなのです。
芸事でよく言われる「型を知らずして型を崩せば型なし、型を知って型を崩せば型破り」
型こそ基本です。まず型を知った上で、型を崩してください。本科では早すぎます。

あなたのシナリオを読んだ時に、明確に映像が浮かびますか。
本科の講師は、映像表現の技術を身につけていただけるようお手伝いしていきます。

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