ご縁
シナリオ・センター代表の小林です。
もはや、12月今年も余すところ1カ月となりました。さあ、師走っぽくなったでしょとばかり急に寒くなって、来年のスケジュールはまだか、年賀状はできたかとせっつかれてあたふたしています。
12月は、やっぱりあたふたしないと、歳の暮という感じがしません。
そういえば笑福亭鶴瓶落語会でも、年末のふさわしく「芝浜」を鶴瓶師匠が演じていました。
そのプログラム代わりの冊子になんと出身ライターの蛭田直美さんが「鶴瓶さんと私」というタイトルで「しずかちゃんとパパ」(NHK)で得た鶴瓶さんとのご縁のお話しを書かれていらっしゃいました。
鶴瓶さんはとってもご縁を大事にされる方で、どんな方との出会いも大切にされて縁につなげていくのだそうです。
「縁は努力。出会いを縁にするには努力が必要で、努力しないと縁は切れる」と。
確かに、すべての人間関係はご縁だと思うのです。
出会ってもそれだけで過ぎていく人もあれば、一瞬の出会いなのにそれから長く続くご縁もある。また、些細なことで切れてしまうご縁もある。
人間関係って、自分で努力しなければいけないのですね。仕事でも遊びでも、人と向き合う時は真剣に(真摯は嘘っぽい言葉になっちゃったので(笑))ご縁を大事にしたいと思わないといけないのだと思います。
人のつながりって、面白いです。
今日ある会合で棋士の藤沢一就さんとお会いしました。
藤澤さんは、なんと加藤正人さんと囲碁を通じてお親しく、競輪にもご一緒する仲だとか。
まったく囲碁とはほど遠い私が、加藤正人さんのおかげでお話が弾みました。
ご縁をいただくって、何処に転がっているのかわかりませんから、一期一会を大切にしなければと思いました。
人生は出会いと中身と別れでできていると新井一も言っていました。
巨星墜つ
山田太一さんが亡くなられました。
脚本家時代を牽引してくださっていた巨星がまたひとつ消えてしましました。
山田太一さんは、実は元所長の後藤千津子のご親戚で、「後藤がシナリオ・センターにいる間は、お互いのテリトリー犯していけないないので講演はできない」というお返事をいただいて、それ以来遠慮して一度もお願したことがなく・・・ご縁がなかったのかなぁ。
今思えば、もっとゴリ押しすればよかったと、今更ながら残念です。
我らが出身ライターの岡田惠和さんは、山田太一さんのシナリオを写して学ばれたというほど尊敬されていました。
多くのシナリオライターの憧れ、道しるべでもあったかと思います。
多摩川崩壊を舞台に家族崩壊を描いた「岸辺のアルバム」をはじめ、今までにないハッピーエンドだけではないホームドラマや社会派ドラマを描いて、作家の視点の鋭さに多くの視聴者に共感を呼んだのだと思います。
「想い出づくり」と倉本聰さんの「北の国から」対決も有名ですね。
私は、中でも鶴田浩二さん主役の「男たちの旅路」が大好きなのですが、桃井かおりさん、水谷豊さんの二人の若者を通して、人間の絆、生き方を教えてくれたような気がします。
どのドラマでも仰っていった『私の台本は、語尾の一つまで考えて書いておりますので、一字一句変えない様に芝居をして下さい』という脚本家としての矜持は、脚本家一人一人が持ったなければいけないことだと思います。
スタッフ・キャスト一人一人が尊重して欲しいと思います。
もちろん、山田太一さんのように毅然と言い切れるようなセリフを、シナリオを描かなければ言えないことですが。
大先輩の生きざま、遺されたシナリオ、小説は、これからも我々の道しるべとして、先を照らしてくださると思います。
山田太一さんの作品本(早春スケッチブック、想い出づくり、男たちの旅路)シナリオ・センターでも販売しています。
是非、目を通してください。