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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

日々を暮らす

150期説明会

説明会

シナリオ・センター代表の小林です。1月15日というと、私は古い人間なので成人の日というイメージが消えていなくて、祭日かと思ってしまいます。ちゃんと出勤はしています(笑)

昨日の日曜日は150期シナリオ作家養成講座の説明会でした。
毎期のことですけれど、1月期は説明会から開講迄10日くらいしか間がないので、この数日間でご質問へのお返事も急いで返さなくてはならず、大忙しです。
それぞれの想いを持ちながらのご質問なので、ご質問いただいた方へしっかりとお返事したいし、気ばかりが焦ります。
昨年以上に説明会へおいでくださったので、より一層頑張らないと思っています。
こういうご時勢だからこそ、それぞれがご自分の想い、考えを伝える力・技術を持っていただきたい。
それがきっと良い方向へつながっていくと信じているので、ひとりでも多くの方とともに学んでいきたいのです。

それにしても、お上たちの想像力のなさには辟易します。災害から2週間近く経っての被災地視察の上、「希望が持てるようにしたい」と絵空事のような言葉しか出ないお上に何が期待できるのでしょうか。
お正月に輪島で被災された知り合いの方が、「避難所で毛布も貰えず、トイレもつかえない中、一夜を過ごし、翌朝、崩壊した道(片側土砂崩れ・隆起・分断)を「衝撃を感知しました」の表示を5回程受けながら、4時間掛けて金沢市内に戻る、という体験をしました。」と。
そんな大変な中でも被災者の方々が親切だったということをお聞きして、お上の対応のろくでもなさに怒りが倍増しました。

PERFECT DAYS

今年初映画は、役所広司さんのカンヌ男優賞受賞作「PERFECT DAYS」。
淡々と日常を描きながら、さりげなく彼の背景を感じさせ、しみじみとした気持ちにさせられる(歳のせいもありますが)映画でした。
こういう映画ですから賛否両論あると思いますが、ヴェンダース監督の映像はまさに木漏れ日のよう美しく感じました。
主人公の背景もきちんとした説明ではなく、回想も使わずに姪と妹をだすことだけでほのかに感じさせるくらいで、仕事のトイレ清掃を淡々とこなし、合間に古いカメラで木漏れ日を撮り、古本屋で買った本を読み、クルマの中ではカセットテープで60・70年代の音楽を聴き、仕事終わりに銭湯に入り、一杯飲み屋でいつも同じものを飲み夕食、週1回ほどスナックで好きな女将の歌を聴きながら過ごす、そんな日常をささやかな起伏だけで描き、魅せるというのはすごいと思いました。

最近のドラマを見ていると、とても説明が多いように感じています。
もろに心の声を出しているドラマも増えていて、わかりやすいことは確かですが、とても安直。安易に感じてしまいます。
もちろん、名優役所広司さんだからこそわからせることができる(特にラストは、音楽と役所さんの表情だけなのに素晴らしいのです)演技ということもあるかと思いますが、映像表現というのは、見せて感じさせる、わからせるものだと思うのです。
この映画では音楽もうまく使っていましたが、小道具でも、シャレードでも、カットバックでも、色々な映像表現の技術があります。
役者さんが未熟であるなら、それを補うのは心の声ではなく、映像表現で補ってほしいですね。
それこそ、シナリオの腕の見せどころではないでしょうか。
そういう意味では、「PERFECT DAYS」は、映像表現でどこまで伝えられるのか、教えてくれているように思いました。

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