PR動画ってどうやって作るの?
横浜市立谷本(やもと)小学校3年生の先生から、
「地域の緑道のPRポスターを子どもたちがつくります。より分かりやすく伝えていくため、ポスターに二次元コードをつけて、そこから児童たちが作った2・3分の動画を見られるようにしたいのですが、そもそもPR動画ってどうやって作るのでしょうか……。教えていただきたいです」
――といったお問い合せをいただきました。
ぜひとも その後押しをさせていただければ!と出前授業をしてまいりました。
今回は、横浜市立谷本小学校3年生の皆さんに向けて実施した模様の一部を、シナリオ・センター田中がレポートいたします!
=今回の概要==============
・サービス名:『せせらぎ緑道』のPR動画をつくりたい!
・目的:動画のつくり方を教えてほしい
・対象:横浜市立谷本小学校 さま
・時間:約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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地元の人々に愛されている『せせらぎ緑道』をPR!
『せせらぎ緑道』(正式名称:谷本せせらぎふれあいの道)とは、横浜市が谷本小学校の子どもたちや地域住民の方々とともに、悪臭などにより地域の環境に影響を与えていた水路を地域資源として活用し、子どもや大人たちが水と緑に触れ合える空間になるよう整備した場所。
谷本小の3年生は授業の一環で、地元の人々に愛される『せせらぎ緑道』の良さをより多くの人たちにPRします。
そこで皆さんが考えたのが、ポスターに絵を描くだけでなく、二次元コードをつけて、そこから動画が見れるようにする、という今回の企画。今年四十(シジュウ)になる田中にとっては(汗)、とても新しく感じられる取り組みです!
授業内で実際に『せせらぎ緑道』に行き、子どもたちはもうPRしたくてしたくてたまらない!といった様子。
まずは、聞いてみました。
〇田中:みんな『せせらぎ緑道』のどんなところが好き?
――ハイハイハイ!と手を挙げる皆さん。
〇お花がきれいなところ!
――春には梅が満開になり、四季を感じさせる花々が緑道を彩るそうです。
〇遊べるところ!
――ログハウスがあって、そこで追いかけっこや、まったりした時間を過ごしたりできる、みんなの集まる場所だそうで。
〇生き物が沢山いるところ!
――川には、ザリガニやエビ、アメンボなど、生き物もたくさん観察できる川なんだそう。
伝えたい『せせらぎ緑道』の魅力を、皆さんそれぞれ既にもっているようです。
なので、あとはもう動画にするだけって感じですね!
田中がお手伝いするのは、シナリオの技術を使って、進行の仕方をちょっぴり背中を押す程度です!
伝えたいこと(テーマ)を一言でまとめる
まずは、この動画で『せせらぎ緑道』のどんなことを伝えたいか、グループごとに1つ選んでもらいます。
伝えたいこと。シナリオの技術では「テーマ」とよびます。PR動画の「核」です。
皆さんそれぞれ伝えたいことがあると思いますが、ここは“ひとこと”で、「せせらぎ緑道のこんなところがいいところ!」とまとめます。
動画づくりにおいては、端的にはっきりさせることが第一歩なのです。
というのは、例えばディズニーランドひとつ紹介するにしても、
・アトラクションに乗れるから
・食べ歩きが楽しいから
・キャラクターとお写真が撮れるから
等々、素敵だと思うところがみんな違いますもんね。
だからこそ、まずはひとつに絞ることが大切になるのです。
観ている人に、どの良さを伝えるか。グループ内でひとつ決めれば、同じ方向をむいて動画制作ができます。
皆さんには練習として、グループに分かれて伝えたいことを1つ決めてもらいました。発表してもらうと↓
〇『せせらぎ緑道』はみんなで遊べる楽しいところ!
――いいですね! 自然の中で、どんな楽しいことができるんだろう。その様子を見てみたい!
〇『せせらぎ緑道』はお花が沢山咲いてきれいなところ!
――どんなお花が咲くのだろう。気になります!
〇『せせらぎ緑道』は自然がいっぱいなところ!
――どんな草木、花、虫、動物がいるんだろう。沢山みつけられるといいなぁ。
こんなふうに、伝えたいことを1つ、決めることができました。
ではまた次の工程に進みます!
テーマに紐づいた映像をイメージする「絵コンテ」と「シナリオ」
各グループにワークシートを配布。何をするのかというと、「絵コンテ」と「シナリオ」を描きます。
絵コンテは、撮影前に、映像にしたい対象物を簡単な絵にしておくものです。
例えば、「お花が咲いてきれいなところ!」のグループだったら、お花そのものや、みんながお花をみている様子など、ざっくりで構わないので絵で書き込んでいきます。
そうすることで、どんな映像を撮るか、事前に落ち着いて考えることができます。そして、当日何を撮れば良いか明らかな状態で撮影を迎えることができます。
今回、シナリオは絵コンテと同時進行で考えていきました。絵コンテに描いたこの映像のときは、どんなテロップを入れるか、出演しているクラスメイトに何と言わせるかなど、メモ書きみたいな感じで構わないので書いてもらいました。
「お花が咲いてきれいなところ!」のグループだったら、みんながお花をみている映像のときに「きれーい!」と言おう!とか、お花をアップで撮った映像にはお花の名前のテロップを入れようとか、最後には「お花がきれいな『せせらぎ緑道』、来てね~!」と言おう!といった感じで考えていきます。
確認するときは「伝えたいこと」に紐づける
絵コンテとシナリオができたら、描いた画(絵)とシナリオがずれていないか確認します。そのとき、「伝えたいこと」に紐づけながら確認する、というのがポイントです。
この絵とこのシナリオは内容にズレがないか、そして、この映像のとき、グループで決めた伝えたいことからもズレていないか。この段階でズレていても大丈夫です。どんな絵もしくはシナリオに差し替えればいいか考えればOKです!
では作業スタートです。
ワークシートに向かって黙々と描いているグループもいれば、賑やかに描いているグループもいたり。また、予め撮ってきた『せせらぎ緑道』の写真を観ながら絵コンテとシナリオを組み立てていくグループも。その他、どのグループも真剣に進めていました。
グループの数だけ、『せせらぎ緑道』の魅力があります。
どのグループも魅力があふれ出ています!
どんな動画ができあがるのか、楽しみにしております。
皆さん、撮影、頑張ってくださいね!
* * *
今回ご紹介したように、シナリオの技術に基づいた、ちょっとしたポイントさえ抑えれば、伝えたいことが伝わる動画を作ることができます。「うちの学校も授業で動画を撮るけど作り方がよく分からない……」という先生がいらっしゃいましたら、お気軽にお問い合わせください!
※こちらの書籍や記事も参考にしてください↓
▼おすすめ書籍
新井一樹 企画・構成・著 改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/執筆 川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
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