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どんな作品が選ばれるのか
TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023 受賞作に学ぶ

どんな作品が選ばれるのか TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023 受賞作に学ぶ

次世代を担う脚本家の発掘・育成を目的として実施された「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2023」。過去6回にわたり実施した「TBS連ドラ・シナリオ大賞」()がカタチを変え、応募内容等も一新されたのが今回のプロジェクト。

応募総数1544作品の中から、大賞1作品、優秀賞2作品、佳作3作品、チャレンジ賞2作品が決定。その中で、三嶽咲さん(元本科)の『サトシ』が優秀賞を、齊藤ようさん(元通信作家集団)の『ノット・ギルティ―僕たちに罪はない―』が佳作を、maririnoさん(8週間講座修了・元通信作家集団)の『ブライズメイド』がチャレンジ賞を受賞!

3月28日にTBS放送センター内で授賞式が開催。その中で2回目となる「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024」の開催決定も発表されました。次回応募される方に向けて、授賞式の模様を広報の齋藤がリポートいたします。このプロジェクトの実施目的や選考理由、また、上記受賞者のコメントも掲載しますので参考にしてください。

第6回TBS連ドラ・シナリオ大賞にみる/脚本家デビューのチャンスをつかむ

「世界を考えた場合、やっぱり脚本が“柱”」

冒頭、TBSホールディングス代表取締役社長 佐々木卓さんが挨拶。

〇佐々木さん:今は、ストーリーコンテンツの大変革期。TBSのドラマのクリエイターたちは、グローバルのコンテンツを作ろうとしているところなんです。世界ということを考えた場合、やっぱり脚本が“柱”。

ちょっと脱線ですけどTBSの話をさせていただいていいですかね。僕はTBSがウォルト・ディズニー・カンパニーみたいになればと思っていて。TBSはドラマを作るのが大好きな会社ですけど、ドラマというコンテンツが映画になったりアニメになったりグッズになったり、色々なことをしてエンターテインメントを広げたいと思っている会社なんですね。あと、TBSには自由の気風がある。例えば今年1月期の金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』は、言ってしまえば僕たちテレビ局幹部を痛烈に皮肉っている番組。そういうドラマも放送してしまう会社(笑)。

でも、こういう自由の気風の中で皆さんと一緒に作ることができたら、どんなシナジーがうまれて、どんな大きな作品ができるか分からない。皆さんが来てくれて本当に嬉しい。今のTBSの気風の中で、今のスタッフたちと一緒にやっていただくのは、未来のTBSの大きな財産になると思っています。

しかも、受賞してパッと終わるのではなくて、ライターズルーム()で半年間ご一緒していただけますので、これを機に未来のTBSのパートナーとして長く一緒に、素晴らしい作品を作っていただいて、TBSがもっと強いブランドとなって、そして世界に羽ばたくときの“柱”になっていただきたいと思っています。

 

ライターズルームとは、TBS NEXT WRITERS CHALLENGEの目的である「日本国内のみならず、海外でも通用する脚本家の発掘」「ドラマに限らず、すべてのストーリーコンテンツの成長、業界の発展に寄与すること」「TBSのコンテンツクリエイティブにとって重要なパートナーとなり得る人材の育成」を達成するために、受賞者の養成、企画開発、脚本の共同執筆等を実施する会議体のこと。希望者はライターズルームのメンバーとしてTBSと6ヶ月間の契約をし、契約に基づき、メンバーには脚本開発支援金等が支給される。

三者三様 想いのこもった受賞の言葉

その後、受賞者それぞれに賞状・賞金の授与とスピーチが行われました。

★優秀賞:三嶽咲さん『サトシ』
==『サトシ』あらすじ===
ビットコインを発明したのは2人の日系女子大生だったという発想を膨らませた作品。彼女たちが自分たちの正義を貫こうと奮闘し、強欲に膨れ上がり続ける金と権力に対し戦いを挑む、世界経済の闇を描くマネーエンターテインメント。

〇三嶽さん:普段は会社員をしておりまして、眠たい目を擦りながら、この賞に応募したことを今すごく誇らしく思います。

与謝野晶子の歌に「劫初より作りいとなむ殿堂に われも黄金の釘ひとつ打つ」というのがあります。「殿堂」というのは芸術・文化のこれまで営んできた脈絡のことを指します。与謝野晶子が、自分は歌人として、作家として、黄金の釘をひとつ打とう、という意気込みを記したものだと自分は考えています。

日本の物語の殿堂は、ものすごく大きなものがあると私は思っています。それは勿論、テレビドラマもそうですし、漫画、映画、アニメ、本当にさまざまなものが培われて、すごく大きなものになっているな と。その殿堂にちゃんと真摯に向き合って、バトンをちゃんと受け継げることができる脚本家になりたいと思っています。そして、観客の皆さまの心をちゃんと釘付けにできる作家になりたいです。

 

★佳作:齊藤ようさん『ノット・ギルティ―僕たちに罪はない―』
==『ノット・ギルティ―僕たちに罪はない―』あらすじ===
ある大学の「法学部刑法ゼミ」が舞台。米国帰りの敏腕弁護士が特任教授として現れ、大学内で起きた事件を検察官の立場で調査し、生徒たちに罪に向き合う授業を行う、学生たちの成長を描く異色のリーガル作品。

〇齊藤さん:実は数年前にTBSさんの2時間サスペンスでこっそりとデビューさせていただいておりまして。ですが、そこからなかなか思うような活躍ができず苦しい時期を経験してまいりました。

その中で今回、このコンクールに初心に戻ってチャレンジし、評価をしていただいたということは私にとってとても大きなことでした。

今後はライターズルームに参加させていただけるということで、今度こそしっかりと皆さんと協力して良いドラマが生み出せるように頑張っていきたいと思っております。若干フレッシュさには欠けるんですけれども、精一杯頑張りますので、これからよろしくお願いいたします。

 

★チャレンジ賞:maririnoさん『ブライズメイド』
==『ブライズメイド』あらすじ===
かってアイドルグループとしてともに過ごした女性たちが、メンバーの結婚式にブライズメイドとして集結し、その結婚式で花嫁が殺されてしまうところから事件に巻き込まれていく、考察せずにはいられないミステリー作品。

〇maririnoさん:双子の姉妹で脚本を書いております。私たちは幼少の頃からテレビドラマや映画が大好きで、リレー形式で小説を書いたり、その物語が映像化される体でポスターを描いたりして遊んでおりました。

その後、学業や仕事を頑張る原動力は、やはりドラマや映画でした。韓国のホン姉妹(ホン・ジナさん、ホン・ジャラムさん)が共同で脚本を書かれていることを知り、私たちもチャレンジしたい!と一念発起し、脚本家を志しました。

私たちは一緒に暮らしているので、アイデアがひらめくと随時会議を行い、企画案をストックしてきました。今回、副賞にライターズルームの参加権があることを知り、何としても入りたいと切望しておりましたので、今は感謝と喜びでいっぱいです。

犯人予想をしながらも、登場人物に感情移入して見入ってしまうようなミステリーや、フハッと笑えて明日も頑張ろう!と思えるようなラブコメディやホームドラマが大好きなので、そういった作品を書ける作家になりたいです。これから半年間、いただけたチャンスをつかめるよう、いっそう精進、努力していく所存です。

最も総合力の高い作品が大賞に

最後に、選考委員代表として韓哲さん(TBS ドラマ制作部)が選考理由を述べました。

〇韓さん:受賞者の皆さまにはこれからライターズルームで半年間、TBSのクリエイターと一緒に企画を開発していただきます。そのため今回は、脚本だけでなく、連続ドラマの企画書と全体構成も作っていただき、審査をさせていただきました。おそらく応募された皆さまにとっては、とてもハードルが高かったのではないかと思います。

その分、応募作品はとても想いのこもった作品が多く、これまでのシナリオ公募と比べても選考はとても激戦でした。面白い企画・作品がとても多かったこともあり、当初は予定していなかったチャレンジ賞も追加しました。

maririnoさんの『ブライズメイド』と麻林由さんの『とみちゃん先生!』の2作品は、総合力では惜しくも佳作には届きませんでしたがいずれもライターズルームでぜひご一緒したいと思わせる光る部分がある作品でした。なのでチャレンジ賞としての入選となりました。

齊藤ようさんの『ノット・ギルティ―僕たちに罪はない―』、黒瀬ゆかさんの『庄司家の辞書メシ』、小川優美さんの『女神がのぞいた万華鏡』の3作品は、いずれも1人以上の選考委員が最高点をつけていました。それぞれ企画やテーマ性に優れていて、何よりキャラクターが鮮明でした。構成、セリフも良く、いずれも完成度の高い作品だったことから佳作となりました。

優秀賞に選ばれた三嶽咲さんの『サトシ』は受賞作の中で、最も異色の作品だったと思います。脚本についてはやや粗さを感じるところもありましたが、ビットコイン誕生の謎に迫る虚実が絶妙に混じりあったその発想力が素晴らしかったです。世界を目指せる企画力、それを選考委員の多くが評価し、優秀賞となりました。

同じく優秀賞に選ばれた澤田航太さんの『フォグ』は大賞に押す選考委員も多かった作品でした。認知症と闘う主人公のおばあちゃんが魅力的で、「家族に会いたい」というとてもシンプルで普遍的なテーマに、予想できない展開が続くクライムエンターテインメントでもあります。エンターテインメント性とともに、難しいテーマに挑む志の高い作品だと評価させていただき、優秀賞となりました。

大賞となった園村三さんの『フェイク・マミー』は、企画性・テーマ性・構成・脚本、すべてのレベルが高く、最も総合力の高い作品でした。偽母親という興味深いテーマを取り入れながら、女性同士の絆と家族の物語が完成度高く描かれていて、多くの選考委員に続きを読みたいと思わせる、筆力の高い作品でした。TBS NEXT WRITERS CHALLENGE の“最初の大賞”にふさわしい作品であると全選考委員が一致し、大賞に選出させていただきました。

こちらの記事も是非!

今回の記事をご覧いただいて、佐々木さんの「世界を考えた場合、やっぱり脚本が“柱”」「TBSが世界に羽ばたくときの“柱”になっていただきたい」というコメントや、韓さんの「大賞の『フェイク・マミー』は、企画性・テーマ性・構成・脚本、すべてのレベルが高く、最も総合力の高い作品でした」というコメントから、このプロジェクトではどんな人材や作品が求められているのかがお分かりいただけたのではないでしょうか。これらを踏まえたうえで、ぜひ次回応募してください。

また、こちらの記事も参考にしてください。

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