「物語を書くなら何から始めればいいんだろう?」とお悩みでしたら
①登場人物がどんな人なのか「キャラクター」を考える。
②その登場人物なら「どんなことで困るのか」を考える。
――ということからまずは始めてみてください。
今回は、実際に①と②を考えて物語(シナリオ)を書けるようになった模様をご紹介。それは水族館の見学と物語作りを楽しんでもらう「子どもスマイルイベント in サンシャインシティ」で実施したキッズシナリオでのこと。広報の齋藤がリポートいたします。
=今回の概要==============
・サービス名:「じぶんだけのものがたりをつくってみよう!」
・目的:登場人物のキャラクターを作って物語を書く
・対象:池袋近くに住むひとり親家庭の子どもたちやベトナム、ネパール、ミャンマー、トルコなど外国ルーツの子どもたち(30名)
・時間:約1時間
▼GIGAスクール対応プログラム「キッズシナリオ」詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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①登場人物がどんな人なのか「キャラクター」を考える
このイベントは子どものためのボランティア団体「東京キワニスクラブ」が毎年春休みに行っているもの。
▼2023年に実施した模様はこちらから。
「シナリオは年齢不問・万国共通のコミュニケーションツール」
今回担当したのはシナリオ・センターの新井。
まずは、後で作る物語のヒーローたち(主人公とその相棒)のキャラクターを考えます。やり方としては、イラストを見て「名前」「年齢」「得意なこと」「苦手なもの」「口ぐせ」「性格」を発想していきます。
皆さんどんどん書いていきます。
発表してもらおう、と新井が言った瞬間、バッと手が挙がります。
元気よく発表してくれました!
②その登場人物なら「どんなことで困るのか」を考える
次に取り組むのが、その主人公と相棒が登場するシナリオ作り。緊急事態が発生して出動する、という設定でこの続きを自由に描いていきます。
〇新井:登場人物たちがね、ちょっと困ると面白くなるんだよ。「緊急事態発生!」って街にすぐ飛び出していかなきゃいけないのに、相棒が「ちょっと待ってよぉ……」と言い出して主人公を困らせる。緊急事態を解決しなきゃいけないのになかなか先に進めない、というふうに描くと、「え!この後どうなっちゃうの?」って気になるでしょ?
あとね、困らせるとき、この登場人物なら「どんなことで困るのか」と考えてみてね。例えばさ、さっき書いたキャラクター表で「苦手なもの」を決めてくれたと思うんだけど、その苦手なことをどうしてもやらなきゃいけなくなっちゃう、とかね。では、シナリオを描いてみよう!
――皆さん、キャラクター表を横に置いて、それを見ながらシナリオを描いていきます。
「苦手なもの:空」から発想したシナリオ
参加してくれた子どもたちの中には、スマホで日本語を調べながら書いてくれたり、
イメージをイラストで描いてくれたり、
「まだまだ書ける!」と5枚も描いてくれた子もいました!
最後には、「読みます!」と手を挙げてくれた参加者さんに発表してもらいました。
どんな作品が完成したのかというと、登場人物はこちら↓
★主人公の名前:フライ(12)
・得意なこと:乗り物の運転(空を飛ぶ乗り物)
・苦手なもの:おばけ
・口ぐせ:一緒に空を飛ぼう
・性格:優しくて飛ぶことがすごーく好き。いつも空を飛んでいる。
★相棒の名前:ミライ(10)
・得意なこと:ピアノ
・苦手なもの:空
・口ぐせ:苦手
・性格:人よりも負けず嫌い。人と話すとき目を合わせない。
本人によると、内容は「苦手なもの:空」から考えてくれたようです。
主人公のフライが「よーし!いくぞぉー!」と出動しようとすると、相棒のミライが「ちょっと待ってよぉ……。フライ、歩いていこう。私、空、苦手」とミライは二の足を踏みます。「でも急がなきゃ」とフライは急かしますが、ミライはマントを外してしまいます。
発表している間、他の参加者の皆さん、じーっと聞き入っています。
ようやくミライが乗り物に乗って出動しようとすると事件が起こります。ミライの財布が盗まれてしまいました。フライとミライは泥棒を追いかけます。
そして終盤――
ミライ「私、空、苦手じゃなくなった」
ミライ、フライに言った。
ミライ「ありがとう」
フライ、ミライに言った。
フライ「どういたしまして」
ミライ「また乗ろう」
――発表が終わると、会場から大きな拍手が!
〇新井:すごくいいね!ミライは、空を飛ぶのが苦手なんだよね。それを克服したっていう話になっているんだね。ありがとうございました!
2つのポイントで「この後どうなっちゃうんだろう?」と夢中にさせる物語に!
最後に、新井がこうメッセージ。
〇新井:今日初めて物語を作った子もいると思うんだけど、話を考えるときに、まずは登場人物がどんな人なのか「キャラクター」を決める。それから、その登場人物なら「どんなことで困るのか」を考えてみる。この2つを考えるとお話が作りやすくなります。
さっき発表してくれた作品も、主人公や相棒がすごく困っていたでしょ。「この後どうなっちゃうんだろう?」ってすごく面白かったよね。
「また自分でも物語を作ってみよう!」というときは、登場人物のキャラクターを設定することと、その登場人物を困らせるというのをやってみるといいかなと思います。
どうですか?ちょっとやってみて、面白かった?面白かった人!
――皆さんからの「はーい!」で元気よく終了となりました。
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「物語を書くなら何から始めればいいんだろう?」というときは、大人の方も、お子さんも、今回ご紹介した方法をぜひ使ってみてください。「でも、一人じゃちょっとできない……」というお子さんがいらっしゃいましたら、小学5年生~中学生向けオンライン創作クラス『考える部屋』へ!
▼『考える部屋』
創作が好きな子どもたちが日本全国から集まって、切磋琢磨する特別クラスです。創作を楽しみながら、考える力を身につけていきます。『考える部屋』基礎科4期が6月25日(火)に開講します。体験&説明会も実施しますので是非ご参加ください!
>>詳細はこちらをご覧ください。
また、「書くにあたって参考にできる本、何かないかな」ということでしたら新井の『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオセンター式物語のつくり方』(日本実業出版社)を!
小学校高学年~中学生向けオンライン創作クラス「考える部屋」の小学5年生のメンバーが「シナリオ講座を実際に受けているような感覚で楽しんで読めました。また、私の悩みを全て解決してくれるすごい嬉しい一冊でした。ものすごく分かりやすかったです」と感想をくれました。お話作りが好きなお子さんにもオススメです!
▼『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオセンター式物語のつくり方』
いろいろな施設や学校で出前授業「キッズシナリオ」も実施しております。事例をご紹介しておりますので、「うちにも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ