シナリオ・センターではシナリオの書き方や映像の撮り方をお伝えする出前授業「キッズシナリオ」を実施しています。
最近は、「これまで総合の時間に動画を作ってきた。6年生の集大成としてみんなで映画を作りたい。せっかくなら“いい映画”にしたい。そのためには映画の設計図であるシナリオの書き方が知りたい」というお問い合せが増えています。
今回ご紹介する和歌山県市立野崎小学校6年生の皆さんに向けて実施したキッズシナリオも、目的は「いい映画を作るため」。
=今回の概要==============
・サービス名:良い映画を作ろう!
・目的:いい映画を作る
・対象:和歌山県市立野崎小学校さま(6年生)
・方法:ZOOM
・時間:約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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例えば、「子どもたちが映画を作りたいと言っているけどどうしたら……」とお困りの先生。是非参考にしてください。広報の齋藤がリポートいたします。
シナリオを書くための3要素
*
担当したのはシナリオ・センターの新井。
先生によると、「ホラーが好きな子が多くて、ホラー動画を作りたいと言っている人はちらほらいるのですが、クラス全体ではまだどんなものを撮るか決まってないんです」とのこと。
シナリオをちゃんと書くのも今回が初めて、ということだったのですが、キッズシナリオ後半の「実際にシナリオを書いてみよう」のコーナーでは、「う~ん」と悩みながらもすごく面白い作品を書いて発表してくれました。
初めてでもなぜ書けるのか。
それは、キッズシナリオ前半で、ご紹介したシナリオの基本的な書き方を抑えたから。
シナリオはこちらの3つの要素、
・柱(場所・時間帯)
・ト書(登場人物の動作・情景)
・セリフ(登場人物が喋る言葉)
――で構成されています。
そうです。この3つを抑えれば書けちゃうわけです。
今回は、以下のような設定で、15分くらい時間をとって、皆さんにシナリオを書いてもらいました。
・登場人物
青山ひかる(12)と赤木あきら(12)
・テーマ(=伝えたいこと)
仲直りって素晴らしい
・ターゲット層(=誰に伝えたいのか)
中学1年生
――シナリオ作成後、発表もしてもらいました。
もっと面白くするには「ト書」
*
発表してくれたのは男の子2人組。
ひかる役とあきら役に分かれて読んでくれました。
どんな内容だったかというと――
青山ひかると赤木あきらが学校の屋上からグラウンドを見ています。すると、「グラウンドって汚いな」→「汚くないよ」→「いや、汚いよ」→「なんでこんなことで喧嘩になっちゃうんだろう」→ふたり微笑み合う。
――というもの。
〇新井:短いセリフでテンポよく進んでいって、とってもいいシナリオでした
あとね、注目してもらいたいのが「ト書」。ひかる や あきら が「どんなふうに言うのか」をト書に書いてみると、もっと面白いシーンになるよ!
この登場人物はどんなふうに言うのか、を考えるには登場人物の「キャラクター」をまずは決めてみてください。キャラクターは、登場人物の「得意なこと」「苦手なもの」「性格」を考えてみるといいよ。
そうすると、「こんなキャラクターだからこんなときはこんなことを言うだろうな」というセリフも考えやすくなるし、さらに、「こんなキャラクターだからこんなふうに言うだろうな」「こんなことするだろうな」と考えてト書を書くこともできます!
なので、シナリオを書くときはこういった部分も意識してみてくださいね。
※ト書に関するおすすめブログ※
▼シナリオ初心者やりがちなこと対処法/感情を映像で描写するには
最後には質疑応答のコーナーも
以前、小学校5年生~中学生向けオンライン創作クラス「考える部屋」の生徒さんがこんなことを言っていました。
「最初のほうに書いた自分のシナリオを読み返したんですけど、ト書がほんとになくて。ひたすらセリフで“つめつめつめつめ”みたいな感じだったんですけど、いま私はけっこうト書にこだわりたくて(笑)」
ト書は、小説にはない、シナリオならではの要素なので、慣れるまでにちょっと時間がかかるかもしれません。でも、ト書の機能や書き方を抑えれば、登場人物のキャラクターならではのシーンが作れるようになります。
今回のキッズシナリオでは、このブログでご紹介した技術の他にも、「映画作りの基本的な流れ」「良い映画とは、作り手の伝えたいこと(テーマ)が伝わる映画」「テーマについて」「誰に観てもらいたいのかを決める」「登場人物のキャラクター設定」「アンチテーゼについて」「撮影・編集のポイント」などなど、良い映画を作るコツをいろいろお伝えしました。
また、最後には質疑応答のコーナーも。
Q作りやすいジャンルはありますか?
〇新井:ジャンルよりは「撮影できる場所」から考えていくといいかなと思います。例えば、学園モノだったら外に撮影に行かなくても学校の中で撮影できるし、あと、みんなが作りたいホラーも校内で撮れるんじゃないかなと思います。
※関連ブログ※
特に<主人公が魚なので、海をイメージしたシーンがあるのですが、学校で撮るにはどうしたらいいか悩んでいます>という部分に注目してください↓
▼小学校で子どもたちがSDGsの動画を作るポイント@十日市場小学校
Q映画に必要な道具はありますか?
〇新井:小道具です!小道具を使うと、登場人物の心情を表すことができますよ。例えば、AさんとBさんは仲良しでお揃いのキーホルダーを持っている。でも喧嘩しちゃって仲直りできないでいる。Aさんがそのキーホルダーをじっと見つめていたら、セリフで「仲直りしたいな」と言わなくても、Aさんの仲直りしたいという気持ちが観客には伝わります。こんなふうに、何か小道具を使うと映像ならではの表現ができます。
※参考動画※
▼人物が抱く感情の書き方
Q登場するときはどういうふうにすればいいですか?
〇新井:登場人物のキャラクターが分かるような出方がいいかなと思います。例えば、今この質問をしてくれた生徒さん。恥ずかしがりやさんで友達伝いに質問してくれたでしょ。もうこれだけでキャラクターが分かる。こんなふうに、性格や特徴から登場の仕方を考えてみてくださいね。
※参考動画※
▼主人公の登場が印象的になる書き方/ヒント
Q演技のコツってありますか?
〇新井:これもやっぱり大事になるのは登場人物のキャラクター。例えば、ト書にその登場人物の動作や仕草がどう書いてあるのかを読んで、その雰囲気をどう出すか。セリフもこういうキャラクターだったらどう言うかな、と考えて役作りしていくといいかなと思います。
Q撮影はスマホでもいいんですか?
〇新井:はい!「ヨコ向き」で撮るといいかなと思います。
Q編集しているときは他の人は何をすればいいですか?
〇新井:編集でやるのは、映像と音をつなげること。主に、編集・音楽・プロデューサー・監督・脚本を担当している人たちで作業すると思うので、それ以外の人たちは例えば、映画のポスターやチラシを作ったり、公開に向けた準備をするといいんじゃないかなと思います。
※関連ブログ※
▼みんなで映画を作るには /カリタス小学校6年生の映画作り
――生徒の皆さんは上記のような質問をいろいろ事前に考えてくれていたようで、新井の回答を一生懸命メモしている姿が画面に映っていました。
今回のブログをご覧いただき、「うちの学校でも実施してほしい!」ということでしたら是非お気軽にお問い合わせください。オンライン(ZOOM)での対応も可能ですので、東京や神奈川だけでなく日本津々浦々、実施できます!
キッズシナリオ詳細はこちらをご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ
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※こちらのブログも併せてご覧ください
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▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』