シナリオ・センターでは「ステップアッププログラム」
という階段を上るようなカリキュラムを組んでいます。
例えば、基礎講座である「シナリオ8週間講座」を修了すると本科ゼミナールへ、
「シナリオ作家養成講座」を修了すると研修科ゼミナールへ進級できます。
ゼミナールでは、書いてきた課題「20枚シナリオ」(習作シナリオ)を発表し、
ゼミ仲間から感想を、最後に講師から講評をもらいます。
基礎講座修了後、
「ゼミナールに上がったほうがいいとは思うけど、でも、どういいんだろう?」
と思われる方もいらっしゃるかと思います。
また、「講座でいろいろ学べたし!」という満足感や、
「講座で書けるようになったし!」という実感もあるので、
「上がらなくてもいいか」と思われる方もいらっしゃるかと思います。
でも、
講座ではまだ、創作のための心強い“武器”を知った、という段階。
次のゼミナールという段階で、その“武器”を使いこなせるようになっていただきたいのです。
そこで今回は、ゼミナールで何をするかを通して、
「ゼミに行くとこういうところがいいよ!」
という“5つの効果”をご紹介します。
創作のための “武器”を使いこなすために大切なこと
*
①シナリオを見せるのではなく朗読する効果
朗読することに意味があります。
聴いただけで、映像が浮かぶか、 “映像作品”として描けているか
――が分かります。
また、声に出して読むことで、
そのセリフは“文章”ではなく、“人から発せられる言葉”になっているか
――も分かります。
自分のシナリオを聴いてもらったり、人のシナリオを聴く鍛錬は、
ゼミナールならではの学習方法です。
②仲間に感想をもらう効果
シナリオは誰かに観てもらうことを前提に書きます。
気合を入れて書いたところが意外と刺さらなかったり、
サラッと書いたところが意外とウケたり。
人の感性や反応はさまざま。それを知ることも大切です。
テレビドラマでは、視聴率1パーセントで大体100万人の人が観ている、
ということになります。
対してゼミナールでの“視聴者”は十数名。しかも心強いゼミ仲間です。
いろいろな感想があることを知る、絶好の練習場としても使っていただけます。
③仲間に感想を言う効果
ゼミ仲間のシナリオを通して、
自分はこういうところに琴線が触れるのか、とか
こういうところに目が行くんだな、とか
こういうことを面白いと思うんだな、とか
自分の好みや見方を把握できる機会になります。
創作をしていて一番怖いのは、
自分は何を面白いと思って、何が分かっていないのか、
を自分で把握できていないことです。
これが分かっていないと、
自分はどんなことを、どんな風に描きたいのか
定めることができません。
自分自身と向き合える場としても、ゼミナールを使っていただけたらと思います。
④講師からアドバイスをもらう効果
ゼミナールでは仲間の感想だけでなく、
ゼミナールを先導する講師からのアドバイスもあります。
主に技術的な観点からどうすればより力がつくか、
方法やアイデアを踏まえてお伝えすることもあります。
ただ、アイデア自体をその通りにしてほしいということではありません。
講師はあなた自身のアイデアを引き出すために、あなたの脳に刺激を送っているまでです。
講師によるアドバイスからも刺激を受けて、ご自身の発想を広げるための場としても有効です。
⑤仲間から仲間への感想、講師から仲間へのアドバイスも糧に、の効果
ゼミ仲間が発表した課題に対する、
他のゼミ仲間たちの感想や講師からのアドバイスを聴くことも、
学びのチャンスになります。
それは、課題である習作シナリオを客観視できるからです。
自分が書いたものだとどうしても“生みの親”として、
感情的になってしまうこともあるかと思います。
でも、人の作品の場合なら、
「自分ならこのシーン、どう書くかな」
といったように冷静に、一歩引いた姿勢で考えることができます。
また、仲間たちの感想や講師によるアドバイスを聴くことで
「ああ、そういう切り口や膨らませ方もあるのか!」
と発見できる機会にもなります。
基礎講座中は自分の創作に集中する
シナリオ・センターでは、基礎講座の間はまだ、
仲間同士で課題の読み合いっこはしないように、とお伝えしています。
「自分と比べて他の人はどんなものをどこまで書けているか知りたいし、いまの自分のレベルも知りたい」
と思うかもしれません。
でも創作は、比べるものでも、数値化されるものでも、正解があるものでもありません。
だから、そういうことよりも、
まずは、あなたが書きたいことを「シナリオの技術」を使って書いてみる。
基礎講座ではそこに注力していただきたいのです。
その後に、基礎講座で学んだことを使い慣らしながら、
チカラをつけていく場所がゼミナールです。
チカラがつけて、書きたいことを縦横無尽に書けるようになる。
そうなってほしいのです。
シナリオ・センター創設者・新井一は、ゼミナールを「ジム」に例えています。
筋トレの方法をお伝えしたのが基礎講座だとしたら、
筋トレを続けながらしっかり筋肉をつけていくのがゼミナール。
ですから、基礎講座で一通り学んでからが、あなたの創作活動のはじまり、なのです。
出身ライターの方々とゼミナール
ご参考までに、以前 出身ライターの方々にお話しいただいた、ゼミナールで学んだことや記憶に残るエピソードをご紹介します。
・大北はるかさん
クラスには、いろんな世代の様々な仕事をされている方々が集まっていて、皆さんのお話を聞くことが、当時まだ社会に出る前だった私にとって、とても刺激的だったことを覚えています。普段知り合えるはずのない人と教室を通じてお話する機会を得られるということは、とても貴重な有り難い経験だったと思います。
・大山淳子さん
ゼミ仲間から「主人公を男にするか女にするかで迷っている」と相談されて、「じゃあ、試しにどちらも書いてみたら?」と言ったら、「へえ!」とびっくりされたのを覚えています。テキトーに手を動かしながら考える、自分の創作スタイルに気づいた一瞬でした(笑)。
・岡田惠和さん
ゼミで言ったり言われたりする感じが、一番自分の中で鍛えられたことですね。テレビでも映画でも、観ている人の傍に行って説明したくなる時があるんですよ、「ここ、そういう意味じゃないんだよ」みたいに。人は、どうやったらそんな解釈ができるんだろうかって思うようなことは山ほどあるけど、でも、それがお客さんや視聴者なんです。自分が視聴者になってみると勝手なことを言うわけで……。そこにあまりストレスを感じなくなったのは、ゼミで鍛えられて、覚悟が出来ていたからだと思います。
・神沢ミホさん
デビューしてから、打合せで喋れないって方が結構いると思うんですが、私はシナセンで、仲良くなったゼミ生と、授業以外でもずっとシナリオの話をしていて、こんなの書いたとか、こんなアイデアを考えたなどとお喋りしたことが、今思えば打ち合わせでも臆せず話す訓練になったと思います。
・小峯裕之さん
ゼミ時代、多くの作品発表を聴きましたが、今でも記憶に残っているのは上手くまとまっている作品ではなく、粗くても個性のある作品であり、それが自分の作品作りの指針になっています。
・櫻井剛さん
全然褒めてもらえなかったという、評価されなかったという記憶しかないです。他の生徒が評価されるのを、心の中で妬んでばかりいました。ただ、そんな中で参加した夏の合宿で、プロットがコンテストの上位に食い込み、「シナリオ・センター最高」ってなりました。
・西荻弓絵さん
人前で自分が書いたものを声を出して読むという、あんな恥ずかしいことがよくできたものだと。でもそれが貴重で懐かしい思い出です。後藤先生が温かく見守って下さったので、ヘコタレずに続けることができたと、今も大変感謝しております!
・広田光毅さん
研修科・浅田先生のクラス在籍時代に、自分以外の方のシナリオへは「面白いと思った部分だけを発表してください」と言われたこと。「自分は評論家ではなく、シナリオライターを目指してここにいる」「他のシナリオの面白さを見つけられないのは、面白さを感じる才能がないと自戒せよ」と学びました。
・政池洋佑さん
本科に通っている時、途中で、女性の生徒が入所してきました。その女性は毎回、必ず課題を提出し、しかも面白い。「これは負けてられない」と、僕も必死に毎週書くようになりました。その女性は今もプロの脚本家として活動していて、色々、情報交換しています。シナリオ・センターはそういう「脚本家仲間」が作れる貴重な場所でした。デビューすると、なかなか他の脚本家と知り合う機会は少ないので。
・吉澤智子さん
ゼミで自分のシナリオを読んだ際の話ですが、思っている以上に自分の書くものが受け手には伝わらないのだ……。とわかりました。いくら自分が面白いと思っていても伝わらなければはじまらない。わかりやすく伝えること、感じさせること、観客に信じて委ねることどこまで描くか描かないか。今も続く試行錯誤です。
・渡邉真子さん
自分一人ならば決して書こうとしなかったジャンルを、ゼミの課題として否応なく書くことで、大きな発見があったことを覚えています。「時代劇」という課題を書いた時、初めて挑戦するジャンルに大変苦労して書いたのですが、意外にも先生やゼミの仲間の評価は上々で驚きました。意外な適正を発見するきっかけにもなりますし、どんな作品の中にも自分らしさを落とし込むことが出来るのだなあと学びました。
「シナリオは知識だけではだめです」
「ゼミナールってどういいんだろう?」という、ぼんやりとしていたゼミナールのイメージが、
「こういうことをするからいいんだ!」とクッキリしてきたのではないでしょうか。
<シナリオは知識だけではだめです。原稿を書く手がすぐ反応できるようになるまでもって行きたい>
(シナリオ・センター 創設者 新井一)
そのために、是非ゼミナールで腕を磨いていただければと思います。
「シナリオは、だれでもうまくなれます」
「基礎さえしっかりしていれば、いま書いているライターぐらいには到達することは可能です」と、新井一は言っています。こちらの記事をお読みいただいて「ゼミに進みたいからまずは講座に通いたい」という方。シナリオ・センターの講座は、開講以来『むずかしいこともわかりやすく』をモットーに、創作経験の有無に関わらず、どなたさまにもお学び頂けるカリキュラムで構成しております。 “最初の一歩”として、各講座に向けた体験ワークショップもオススメです。
※シナリオ作家養成講座とシナリオ8週間講座は、オンライン受講も可能です。
詳しくは講座のページへ