制服
シナリオ・センター代表の小林です。東京はちょっと蒸し暑さが緩んだかなぁと思ったら、来週から猛暑で梅雨明けとか、毎回申し上げていますが、ホントに体調に気をつけてください。
高熱を出されたとか咳が止まらないとか体調を崩されている方も多く、コロナ、手足口病、風邪、インフルエンザなど等も流行っているようで、油断禁物です。
ハーフパンツ&ポロシャツという制服がじわじわ増えているそうです。
学校の制服としてだらしがないとか、子どもの気が緩むとか、きちんとした感じがしないとか色々おっしゃる方も多く、確かに詰襟やネクタイに慣れている世代には、どうもイマイチ評判がよくありません。
でもねぇ~、今や日本だけでなく世界中の気候が変わってきています。
私の子どもの頃は30度を越したらすごい暑さと大騒ぎでしたが、今は40℃越えもあり、32,3度は当たり前になってしまった気がします。
線状降水帯はじめ雨の降り方も尋常じゃぁないし、春や秋は短くなっているし、日本の四季も乱れ始めている昨今、ここは制服も変るべきだと思います。
制服に対する考え方は色々で、衣更えまでは暑くても詰襟とか冬服とか、寒いのにタイツはダメとかコート着用はなしとか・・・つまらない制約もあり。
制服で体を壊してどうする?って私は思います。
日本の気候も変わってきているですから、気候に合わせた服装、気候に合わせての仕事の仕方などを考えなければと思います。
制服というと、私は古い人間ですから=(イコール)軍隊が一番先に浮かびます。
私にとっては、制服=「締め付け」の感覚があるのですが、ハーフパンツ&ポロシャツの制服ってゆるくって、猛暑の夏を乗り越えるにはピッタリだと思います。人間ゆるゆるも大事です。
トヨタの子
出身作家の吉川英梨さんが、今までと全く違った傾向の小説を書かれました。
本を受け取ってびっくり。ずっしりとした手ごたえ、厚さ3,3センチもあるという装丁にまず驚き、タイトルに驚き、お話しの設定に驚きました。
その本は「トヨタの子」(KODANSHA刊)
そうなんです、あの世界のトップメーカーとなった「トヨタ」のお話しなんです。しかも、現在会長の豊田章男さんと創設者の喜一郎さんが主人公ですから、これは伝記?と思っていたらです・・・、違っていました。
吉川英梨さんは警察ものが得意のミステリー作家でいらっしゃるので、まさか「トヨタ」を描くとは思いもよりませんでした。私の好きなハラマキシリーズにしても「海蝶」にしても「十三階の女」にしても、吉川さんの小説は女性が主役のものが多く、女性推しが、吉川さんの真骨頂だと思っていました。
この3・3センチの中身は、男性が中心でした。(笑)
吉川さんは車も好きではなく、もともとトヨタにも詳しくなく、豊田喜一郎の存在も知らなかったといいます。
そんな吉川さんが、トヨタ自動車の生みの親「豊田喜一郎」の伝記を通じて、幾多の試練にも諦めない姿、想いを感じ取り心が動き、なんと推しになっちゃったのだそうです。
その想いで喜一郎の伝記で持ち上げて書いたのではありません、この小説のすごいところは設定と構成。
なんと現会長の章男がタイムリープして祖父の喜一郎と出会っていくという異世界ものにしているというのも驚きですが、それゆえに行ったり来たりする時代を主人公章男の気持ちともに構成しているといううまさに舌を巻きます。
経済小説でありながら、伝記でもあり、はたまた異世界ものでもあるこの世界感はとても特殊です。
単なる伝記ではなく、タイムリープに関わる謎のエンジンや隠滝神社、トオノなどをつかってミステリーチックに運び、労働争議やリーマンショックなど実際の経済小説として描かれており、ものすごい発想の本だなぁと思いました。
私は、章男が、御曹司だからこそ一人の人として見られることがなく虐められ、そしられ、人間不信になりながら、喜一郎の出会い、トヨタ愛で乗り越えた姿を「トヨタの子」として描いたのだと思っていたのですが、全く違っていました。
吉川さんの推しである喜一郎さんが労働争議の時、トヨタの働く人々を「トヨタの子」と。章男のことではありませんでした。喜一郎推しになった気持ちわかりました。
私は大企業のトップは横暴で下々の気持ちなどわからないから、自分達が生き延びるためには平気で首切りができるのだと思っています。
ですが、この本を読むとそうでない人もいたのだと知り、今も喜一郎さんみたいな人がいて欲しいと心底思ってしまいました。
小説として思いっきり楽しめる本ですが、それと共に、未来を考えさせられる本でもありました。さすが吉川さんです。
ただし、あまりの厚さ、重さに寝ながら読めないのが難!(笑)