昭和女子大学×世田谷区立下馬図書館×図書館総合研究所「VIVITA BOOKS 世田谷ふしぎの本プロジェクト2024」(全11回)。
子どもたちが作家役、昭和女子大学の学生たちが編集者役となり、まちの「気になるもの」や「不思議だなと思うこと」をテーマに、下馬図書館に来る子どもたちや地域の方々に読んでほしい本をともに作り上げるプロジェクト。
前回に引き続き、今回もシナリオ・センターの新井がお手伝いさせていただきます。その模様を広報の齋藤がリポート。
※前回の模様はこちらで。
▼不思議な物語を書くとき
▼子どもと一緒にお話づくりをするとき/対立関係やテーマを設定
この日、新井がお話しさせていただいたのは、「マインドマップ」というものを使いながら、アイデアを広げていく方法。
「アイデアは浮かぶんだけど、そこからどうしていけばいいかよく分からない」という方、ぜひ試してください。
頭に浮かんだアイデアをどうするか
*
――今回は、編集者役の学生さんたちだけにオンラインでご参加いただきました。
というのは次回、学生さん方と子どもたちが一緒にアイデアを膨らませるときに備えて、今回はまず、学生の皆さんに新井がご紹介する方法を覚えていただきたいからです。
〇新井:皆さんはもう、子どもたちと一緒に「feel度walk」に行ってきたんですよね。町歩きをして、それぞれ気になるものや不思議なものを見つけたと思います。
たぶん「これについて書いてみたいな」というアイデアはあると思うんだけど、でも物語を作るにあたって、そのアイデアをどうしていけばいいのか、みたいなことはちょっとぼんやりしているんじゃないかなと。
なので今日は、ポンと浮かんだアイデアをどんどん広げていく方法をお伝えします。
使うのはマインドマップ。これはイギリスの著述家であり教育者のトニー・ブザン氏が提唱した思考の表現方法。
すごく簡単に言うと、真ん中に考えたいことを置く。これを「セントラルイメージ」っていうんだけど、そこから派生して考えたアイデアを放射線状に広げていきます。
みなさんが子どもたちとやるときは、「セントラルイメージ」のところに、自分たちが気になったものや不思議だと思ったことを入れて、アイデアを広げていってくださいね。
トニー・ブザンが推奨している正しいマインドマップの書き方はあるんだけど、今日は細かいことは気にしない、簡単な方法でやっていきます。結果、アイデアが広がっていけばいいのでね。
――そうです、今回ご紹介するのは“新井流”のマインドマップ。新井は普段から自分流のマインドマップでアイデアを広げたり整理していて、実は今日みなさんにお伝えする講義内容もマインドマップで考えています。
そんな新井流で今日は練習。「ダンゴ虫」をセントラルイメージとして、アイデアを広げるトレーニングをしていきます。
アイデアを広げていくとき困ったら3つの切り口で
――新井流マインドマップではこんな風に「ダンゴ虫」から発想していきます↓
▼新井の例
――それでは、20分くらい時間をとってみなさんにやっていただきます。
「う~ん……」と皆さんの手が止まったかな、というタイミングで新井が少しヒントを。
〇新井:もし、アイデアが広がらなくなったら、この3つの切り口で考えてみてください。子どもたちと一緒にやるときも、もし考えが煮詰まってしまったらこの3つを投げかけてみてください。
①「あるある」を考えてみる。
②「あべこべ(あるあるの逆)」を考えてみる。
③「もしも〇〇なら」を考えてみる。
――このヒントも活かしてもらいながら、マインドマップが完成。発表していただきました。
例えば、こちらの学生さんは、最初から「もしも○○なら」という切り口で考えてくれました↓
〇学生さん:一番最初に思いついたのが特徴とかよりも、もしダンゴ虫にも人間と同じような社会があったらどうなんだろう、というのを思いつきました。
そしたら、学校があるなら友達もいるだろうなとか、学校があるならどこにあるのかな、もしかしたら人間の家の庭にあるのかもしれないなとか。あと、社会が形成されているなら、家族もいて、仕事もあるんじゃないかなと考えました。
また、ダンゴ虫の「キャラクター(性格)」もイメージしてくれた学生さんもいました↓
〇学生さん:ダンゴ虫といったら、丸まって身を守るなと思ったので、そういうところは怖がりな性格とかがありそうだなと。
でも、丸まってカタチが変わるという面から考えると、変身しているみたいにも思えるので、そこからヒーローと発想して、それなら対立する敵もいるかなと。
――その他の学生さんたちも初めてとは思えないくらい、マインドマップを上手に作成していました!
逆に、アイデアが広がりすぎちゃった、というときは
発表後、感想を聞いてみると、みなさん口を揃えて言ってくれたのが
「自分が出したアイデアに刺激されて、また違うアイデアが出てきて、こうやっていけば広がるんだというのが分かった!」
ということ。
そうなんです。この方法を使うと、「アイデアはあるけど……」で終わってしまうことを防げるのです。
でももう1つ、新井は心配していることがありました。
それは、逆に、収拾がつかないくらいアイデアが広がりすぎてしまった場合。
〇新井:特に子どもたちと一緒にやるとき、こういうことが起こることもあります。今回の物語作りにはちょっと関係ないようなアイデアがどんどん出てきてしまって発想が止まらなくなるとき。
そんなときは、このアイデア出しを何のためにやっているのかという「目的」をシートの上に書いてあげてください。
例えば「物語のタネを探そう!」と書いておく。で、ちょっとクールダウンさせたいなというときに、ここを指して、今は物語を作るためのアイデアを探しているんだよ!というふうに導いていくといいかなと思います。
――次回、学生さんたちは子どもたちと一緒に、物語のタネを探すべく、アイデア出しをしていきます。今回新井がお伝えした方法を使って、「feel度walk」で見つけた“ふしぎ”を広げてくださいね。
なお8月に、その広げたアイデアを整理する方法を、新井がまたレクチャーさせていただきます。その模様もリポートいたしますのでお楽しみに。
世田谷ふしぎの本プロジェクト2024 の活動は、世田谷区立下馬図書館のInstagramにて発信中。ぜひご覧ください↓
▼世田谷区立下馬図書館Instagram(@setagaya_shimouma_lib)
※シナリオ・センターでは、いろいろな施設や学校で出前授業「キッズシナリオ」を実施しております。事例をご紹介しておりますので、「うちにも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
* * *
子どもだけでなく、大人も、マインドマップを作るときに“迷子”なりそうだなと感じたら、「目的」を書いてみるとブレずに進めていけると思います。
また、新井のこちらの書籍もぜひ参考にしてください。
・2024年6月19日発売
▼『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)
Amazon販売サイト https://amzn.to/3V3WV3o
※こちらのブログも併せてご覧ください
▼あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』
・2023年7月28日発売
▼『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)
Amazon販売サイト https://amzn.to/3NTgA2p
※こちらのブログも併せてご覧ください
▼面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』