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「小説 書くの恥ずかしい」を克服
出版記念ワークショップ@ジュンク堂書店池袋本店

「小説 書くの恥ずかしい」を克服/出版記念ワークショップより

新井一樹 著『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)。

出版を記念して開催された、夏休み企画 ワークショップ「物語、書けるじゃん!を体験。」(@ジュンク堂書店 池袋本店9階イベントスペース)の模様をご紹介。

このワークショップでは

①書きたいことを「主人公が〇〇しようとする物語」という“1行”で考える

②主人公を“目に浮かぶように”具体的にイメージする

③構成(起承転結)の「転」であるクライマックスシーンをイメージする

④構成(起承転結)の「起」であるファーストシーンをイメージする

――をお伝えしました。

最終的には皆さんに「書けるじゃん!」を実感&笑顔でお帰りいただけたのですが、実は冒頭、「まずは書きたいことをシンプルに1行で考えてみましょう!」と言う新井に、会場は「え……」という“気恥ずかしいモード”に。

ですが、そんな雰囲気を変えたのが新井のこんな言葉でした。
「アイデアに蓋をしないでください。恥ずかしがらないでやってみましょう!」

これは「小説を書きたいけど、書くのってなんか恥ずかしい……」という方にとっても、書くキッカケになるのではないかと思いましたので、新井が皆さんにお伝えした上記①「書きたいことを“主人公が〇〇しようとする物語”という1行で考える」の内容を主に、広報の齋藤がリポートいたします。

ポイントは「主人公が○○する姿」ではなく
「○○しようとする姿」を考えること

*

〇新井:さきほど、皆さんに参加理由をお聞きしたんですよ。そしたら、このワークショップを告知する館内放送を聞いて急遽参加することにしました、という方がいらして。旅行中でホテルのチェックインまで時間があって、創作にも興味があるから、ということで来てくださった、と。その行動力がすごい!他の皆さんもこの暑い中、せっかくお越しいただきましたので、是非「書けるじゃん!」と実感してお帰りいただければと思っております。

〇新井:早速ですが「主人公が〇〇しようとする物語」というのを、じゃんじゃん考えてもらいたいなと。ポイントは、「〇〇する姿」じゃなくて「〇〇しようとする姿」を考えること。

例えば、「主人公が甲子園で優勝する物語」にすると、「主人公が優勝する」というところに意識が向いて、話をどんどん良い方向に進めようとしてしまうんですよ。すると、物語の流れが平坦になるので読者はドキドキしない。あんまり面白いと感じてもらえないんですよ。

でも「主人公が甲子園で優勝しようとする物語」にすると、優勝できるかどうかは分からないわけです。この「優勝しようと頑張るんだけど、いろいろ試練が訪れて、最後はどうなるか分からない!」というニュアンスを、作り手である自分自身の中にちょっと残しておいてほしいんです。

それでは、「傑作を考えよう!」と力んでしまうとアイデアが出にくくなってしまうので、こういう話なら面白いんじゃないかなという「主人公が〇〇しようとする物語」を10個考えてみてください。どういう主人公なのか、というのもぼんやりでいいですよ。

――皆さん、最初は「え……そんな急に言われても……10個も……」と戸惑われていましたが、徐々に集中モードに。その後、考えた中で特にオススメのアイデアを1つ、それぞれ発表していただきました。

それがこちら↓

・「夜の怖さを克服しようとする物語」
・「主人公がテロから世界を守ろうとする物語」
・「お祭りの射的で景品を全部とろうとする物語」
・「主人公がめっちゃ便利な家を建てようとする物語」
・「宇宙人と出会って魔法少女になって世界の平和を守ろうとする物語」
・「おばあちゃんの宝物だったルビーのネックレスに吸い込まれていって思い出を遡ろうとする物語」
・「人類を機械化するという政策がすすめられている世界で、主人公が人間らしく生きようとする物語」

〇新井:皆さん、よくこの短時間でこんな面白そうな1行を思いつきましたね、すごい!

こういうアイデアをですね、ぜひ「ミソ帳」に書いていってほしいんです。『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』でも紹介していますが、ミソ帳とは興味をもったことや閃いたアイデアなどを書き留めるネタ帳のことです。

気になったことを書いておいて、寝かせておく。発酵食品の味噌のように、アイデアを“発酵させる”という意味で、シナリオ・センターでは“ミソ帳”と呼んでいます。すぐにそのアイデアが使えなくても、いつかどこかで使えるかもしれない。だから、アイデアが浮かんだらミソ帳に書いておく。

「物語を書きたいけど、自分が書くなんて恥ずかしくてなかなか書き出せないよ……」という方は、こういうところから始めてみると、やりやすいんじゃないかなと思います。誰に見せるわけでもないので恥ずかしくないですよ!「主人公が〇〇しようとする物語」みたいな感じでアイデアをどんどん貯めていってくださいね。

アイデアが思いついたら
主人公のキャラクターを目に浮かぶようにイメージする

*

〇新井:では次に、「アイデアは思いついたけど、そのアイデアをどうしていけばいいのか」というのが気になるところだと思います。

例えば、先ほど発表してもらった「夜の怖さを克服しようとする物語」の場合なら、どんな主人公が夜の怖さを克服すると面白くなるのか、考えていきます。

もし、この主人公が怖いもの知らずのキャラクターだったら、わざわざ夜の怖さを克服する必要はないですよね。

じゃあ、暗いところに行くと倒れちゃうくらいすごい怖がりなキャラクターだったらどうでしょう。こっちのキャラクターのほうが「克服しようと頑張るけど、この主人公、ほんとに克服できるのかな」と気になりませんか?

こうやって主人公のキャラクターをどんどん目に浮かぶように具体的にイメージしていきます。

――参加者の皆さん、うんうんと頷いてたくさんメモされています。

――なお、上記の内容は、当日新井がお伝えした「②主人公を“目に浮かぶように”具体的にイメージする」についてです。『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』のP66・67(図参照↓)で詳しく紹介していますので是非ご覧ください。

また、「③構成(起承転結)の「転」であるクライマックスシーンをイメージする」「④構成(起承転結)の「起」であるファーストシーンをイメージする」については、本書の「第4章構成の立て方P162~」をお読みいただければと思います。

今回お伝えしたこの①~④を通して、参加者の方々の

・小説の地の文の書き方が分からない
・人物はどこまで設定すればいいか分からない
・物語の中で、設定した情報をどこまで出せばいいか分からない
・物語の設定は思い浮かぶけど既視感があり、二番煎じになっているように思う
・クライマックスを考えるのが難しい

――といったお悩みも解決し、「書けるじゃん!」と実感していただくことができました!

▼『大人になっても「書くこと」を好きでいたい君へ シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』(KADOKAWA)

Amazon販売サイト https://amzn.to/3V3WV3o 

※こちらのブログも併せてご覧ください
あなたのアイデアを、物語に仕上げるための『シナリオ・センターが伝える 14歳からの創作ノート』

・出版記念イベントとして開催した特別講義「頭ひとつ抜けた小説を書くためのシナリオ・センター式 創作術」の模様も是非。
【カクヨム】アーカイブ動画&書き起こし記事

【シナリオ・センター】「小説 最後まで書けない」を解決

今回ご紹介した創作方法&新井おすすめ書籍で創作スタート!

最後に新井は、「時間を作って読んでほしい!創作に役立つおすすめ書籍」もご紹介。こちらのブログでも以下に記載いたしますので是非チェックしてみてください。「小説を書きたいけど、書くのってなんか恥ずかしい……」という方。今回ご紹介した創作の方法とこちらの書籍で、創作の“スタート”を切っていただければ!と思います。

時間を作って読んでほしい!新井おすすめ書籍

==主人公らしさをどう表現しているか参考にしてみよう!==

柚木麻子さん『ランチのアッコちゃん』

原田ひ香さん『母親ウエスタン』

森絵都さん『カラフル』

・司馬遼太郎さん
『燃えよ剣』

『竜馬がゆく』

・富樫倫太郎さん
『早雲の軍配者』『信玄の軍配者』『謙信の軍配者』

東村アキコさん『かくかくしかじか』

※関連ブログも併せて是非
東村アキコ さん『かくかくしかじか』に学ぶ/自伝的なものを書くとき

ほしよりこさん『逢沢りく』

・田島列島さん
『子供はわかってあげない』

『水は海に向かって流れる』

 

==作家の眼を養おう!==

池田晶子さん『14歳からの哲学 考えるための教科書』

末永幸歩さん『「自分だけの答え」が見つかる 13歳からのアート思考』

小川洋子さん 岡ノ谷一夫さん『言葉の誕生を科学する』

孫 泰蔵さん『冒険の書 AI時代のアンラーニング』

・近内悠太さん
『世界は贈与でできている――資本主義の「すきま」を埋める倫理学』

・石井光太さん
『ルポ 誰が国語力を殺すのか』

『絶対貧困―世界リアル貧困学講義』

斎藤幸平さん『人新世の「資本論」』

岡真理さん『ガザとは何か~パレスチナを知るための緊急講義』

 

==作家の腕を磨こう!==

森沢明夫さん『プロだけが知っている小説の書き方』

古賀史健さん『さみしい夜にはペンを持て』

手塚治虫さん『マンガの描き方: 似顔絵から長編まで』

・シナリオ・センター創設者 新井一
『新版 シナリオの基礎技術』

『シナリオ作法入門』

そして、2023年7月28日発売の新井一樹 著書も是非!
『プロ作家・脚本家たちが使っている シナリオ・センター式 物語のつくり方』(日本実業出版社)

※こちらのブログも併せてご覧ください
面白い物語になっているかチェック!『シナリオ・センター式 物語のつくり方』

子どもたちにむけて実施するキッズシナリオについて:出前授業やオンライン創作クラス「考える部屋」

・出前授業
シナリオ・センターは、1970年創立。優秀なシナリオライター・脚本家、プロデューサー、ディレクターの養成を目的に創設以来、700名以上の脚本家や小説家が誕生しています。2010年から「日本中の人にシナリオを書いてもらいたい」という思いから、小中学校への出前授業として『キッズシナリオ』プロジェクトを開始。創作を楽しみながら、想像力と表現力が身つくカリキュラムを提供しています。
>>ご参考までにこちらの動画を

※キッズシナリオの活動をアシストくださる方、随時募集中です!
シナリオ・センターが小学校・中学校で実施しているキッズシナリオの活動を後押ししてくれるアシストの方々(個人・法人)を募集中しています。手弁当で実施しているので、アシストしてもらえるととても助かります!
>>ご興味のある方は、こちらをご覧ください

・小学5.6年~中学生向けオンラインクラス「考える部屋」
創作が好きな子どもたちが日本全国から集まって、切磋琢磨する特別クラスです。創作を楽しみながら、考える力を身につけていきます。
>>詳細はこちらをご覧ください 

シナリオ・センターでは、小学校や中学校など教育団体への出前授業を実施しています。オンラインでも実施可能です。「こんなことを子どもたちに伝えてほしい…」というお悩みがあれば、お気軽にお問い合わせください。

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