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キャッチコピーを作るときもシナリオを書くときも
川上徹也さん『キャッチコピーのつくり方』出版記念イベントより

キャッチコピーを作るときもシナリオを書くときも

出身ライター 川上徹也さんの新刊『キャッチコピーのつくり方』(日本実業出版社)

先日、出版記念対談イベントが青山ブックセンター本店で開催され、ゲストとしてシナリオ・センターの新井が登壇しました。

イベントのテーマは、コピーライティング×ストーリーの要素が加わった「物語のあるコピーのつくり方」について。すごく勉強になりそうだけど、でも一体どういう話になるんだろう、とわたくし広報・齋藤、興味津々。ということでその模様をリポート。

「キャッチコピーを作るときもシナリオを書くときも、基本的な考え方は同じなんだな!」と感じる場面がありました。主にその部分を紹介いたします。

事実に基づいたコピー

*

――イベントでは川上さんが“物語を感じる”キャッチコピーを解説。

〇川上さん:ひとつが、1960年代の「エイビス」というレンタカー会社の広告『We try harder』。アメリカ広告市場でも1・2位を争うくらい成功した広告キャンペーンと言われています。

当時、エイビスは業界2位だったんですけど経営的には何年も厳しい状態が続いていて。で、経営陣が変わって、当時“売り出し中”だった広告代理店DDBに広告を依頼しました。

担当になったコピーライターがエイビスの経営陣に「(当時業界1位だった)ハーツに勝つところないですか?」と何回聞いても「なかなかないんですよね」と。「なんかあるでしょ?」と聞いても「いや……一生懸命 頑張ります……」としか言わない。このコピーライター、「どうしよう……」と会社に帰って社長に相談したら、「もうそのまま行け!」と言われて、完成したのがこちら。

和訳すると――

エイビスはレンタカー業界で第2位です。
エイビスに乗る人なんているでしょうか。
だから、一生懸命 頑張ります。
ナンバーワンでない限り、頑張り続けなければ……。
お客様は1人もないがしろにできません。
ですから、次は当社をご利用ください。
エイビスのカウンターは空いています。

――みたいな感じです。

〇新井:おもしろいですね。本音が入っているから説得力がある。

――続いて川上さんは、「フォルクスワーゲン『Think small』」と「アップル『Think different.』」もご紹介。

〇川上さん:「フォルクスワーゲン『Think small』」。当時のアメリカは「Think big」(大きいことがいいこと)という考え方が主流で、車もデカいものが流行ってた。その中でアンチテーゼとして、いやいや「小さく考えましょうよ」と。この広告を見たら、考えてみたら小さい車のほうが駐車もしやすいし、ガソリンもくわないし、こっちのほうがいいよねってなったんだと思うんですよ。

〇川上さん:「アップル『Think different.』」は、アップルから追放されたスティーブ・ジョブズがCEOに復帰して、業績を立て直すために打ったキャンペーン。

アップルの製品は全く出てこない。“他の人とは違う目で物事を見るクレイジーな人たち”としてアルベルト・アインシュタインとかジョン・レノンとか20世紀に活躍した人たちがたくさん出てきて、最後に「Think different.」という言葉が出てくる。このコピーもね、文法的には“Think”の後に“different”がくるのは変なんだけど、意図的にこうしている。

経営ピンチのときに莫大な費用をかけてこういう広告を展開するというのは、他の役員は誰一人として理解できなかった。でも「普通とは違ったように考えろ!」っていうメッセージがこのキャンペーンに込められているんですよね。

〇新井:これはすごいインパクトだった。CM覚えてますよ。

〇川上さん:こういう事実に基づいたコピーだと腹落ちするというかね、コピーが出来上がるまでの課程に物語を感じるんですよね。

「99%調べつくして、1%嘘をつく」

*

〇川上さん:今回わかったことがあるんですけど、「物語」は「フィクション」という意味ですけど、でも僕はリアルなことに「物語」を感じるんだなって。

〇新井:いまお話を聞いていて思い出したんですけど、以前、脚本家の方が「フィクションは99%調べつくして、1%の嘘をつく」と仰っていて。

例えば“職業モノ”の物語をつくるとき、その職業についてしっかり調べて把握しておかないと書けないですよね。フィクションをつくるけど、リアルなことを知っていないとつくれない。

でも、これもよく脚本家の方が仰いますけど「調べたことは捨てろ」と。

〇川上さん:なるほど。“リアル”なまま書いても面白くないし、かといって“嘘”の部分だけでもリアリティを感じない。その辺が“表裏一体”というかね。近松門左衛門さんの「虚実皮膜論」ですよね。

〇新井:嘘と本当の間のところに“ドラマ”があるというやつですね。つまり、嘘と本当をうまく合わせるとドラマティックなものができる。これってキャッチコピーを作るときも同じなんじゃないかなって思うんですよね。

さきほどの「エイビス『We try harder』」も「フォルクスワーゲン『Think small』」も「アップル『Think different.』」も、“本当”のことをうまく“演出”している。嘘と本当がいい感じであわさってるから、川上さんは「物語を感じるな、ドラマティックだな」って思われたんじゃないかと。

〇川上さん:なるほど、勉強になったわ!

〇新井:あと、川上さんの『キャッチコピーのつくり方』の中に、

「コピーを書く前に、最初にやるべきは、コピーを書く対象のことをよく調べ知ることです」(P52)

「私がおすすめするのは“あなたが売りたい商品やサービスが、どのような問題を解決し、どのような人を幸せにするか”をイメージすることからはじめることです」(P75)

とあるじゃないですか。

これはさっき言った「99%調べつくして、1%の嘘をつく」「調べたことは捨てろ」に通じるなと。

「コピーを書く対象=商品」について99%調べる。で、その商品を使う人をイメージして、その人に刺さる言葉を作る。言い方は悪いかもしれないけど、キャッチコピーって、“1%の嘘”の部分なんじゃないかなって思うんですよね。

キャッチコピーを作るときも、シナリオとか小説とか物語を作るときも、誰かの心に響くようなものをつくるときは、根本的な考え方は同じなんじゃないかなと。

〇川上さん:たしかに。さっき僕が紹介した3つのコピーも、そのまま事実を言っているわけじゃなくて、あれは1%の部分。でも背景に99%調べつくしているからまったくの嘘じゃない。だから説得力とかインパクトがある。

なるほど。これ、いい視点ですよね。今まで誰も言ったことないんじゃないかな。すごいですよ。

〇新井:褒められちゃった!うれしいなあ。今日来て良かったです(笑)。

みなさん是非ですね、シナリオを書きたい方は川上さんの本を、キャッチコピーを書きたい方は僕の本を読んでいただくと、「ドラマティクな物語」や「物語のあるコピー」が出来上がるんじゃないかな、と思います!

ご自身の創作に是非お役立てください

この後の質疑応答のコーナーでは会場からたくさん質問があがり、そして、サイン会では両者ともに長蛇の列となり、大盛況のうちに終了となりました。

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