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代表 小林幸恵が毎日更新!
表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

過去・現在・未来

鶴岡サイエンスパーク

未来の行方

シナリオ・センター代表の小林です。金曜日にお休みをいただいて、3泊4日の庄内の旅をしていきました。旅行というと関西方面に行くことが多く、久々の東北にウキウキして出かけました。
この旅は、私が所属しているボランティア団体の有志とご一緒させていただいたのですが、メインは山形県の鶴岡と酒田。

鶴岡には「鶴岡サイエンスパーク」という世界が注目するバイオサイエンスの拠点があるのです。
慶應先端研究所が2001年に開設したもので、慶應先端研究所の研究成果を基にしたバイオベンチャー企業や国立がん研究センターなどの研究機関が集まり、未来を構築していると言っても言い過ぎではないほどの広大な敷地に、地域を繋ぐコミュニティの場も作り、鶴岡などの高校生も学ぶことができるという、まるで未来そのもののような研究施設なのです。
慶應義塾・山形県・鶴岡市の三者の連携で、どんどん成果を出し、日本のみならず世界中から見学に訪れるのだそうです。まったく専門家でもないのに、慶應大学院の教授のご案内で見学させていただきました。
この施設で最新のバイオ研究についてお話を伺い、本当に蜘蛛の糸って使えるんだと驚きながら、ああ、まだまだ日本は捨てたもんじゃないと門外漢ながら感動してしまいました。
ここに見学する方が増えたため、素晴らしい宿泊施設を作ったというのもすごいですよね。
「サイエンスパーク」の中にあるホテル「SUIDEN TERRASSE」、その名の通り水田のど真ん中に建っているホテル、見渡す限り水田が広がっています。
そこに泊まって温泉も楽しみながら、鶴岡、酒田の名所巡りを楽しんだ3日間でした。

歴史のすごみ

鶴岡はご存じのように、庄内藩。江戸幕府崩壊の時に最後まで頑張った藩として有名です。
しかも、米沢藩、会津藩が降伏しても、庄内藩は恭順の意は示したものの最後まで自領に新政府軍の侵入を許さなかったメチャすごい藩。
その後、旧藩士が刀を鍬に持ちかえて原生林を開墾し、60万本もの桑の木を植え、蚕室を作り製糸工場、絹織物工場やお茶の栽培などもして海外へ輸出したというのですから、まったく負け組とは思えません。
そんなお話も、鶴岡が生んだ時代小説家藤沢周平さんが、武士、町民、商人、漁師などの目線から様々な角度で書かれています。

酒田は、漁港としても栄えていますが、何と言っても北前船。商家の本間家が中心となって栄えた街です。
本間氏は農地解放による解体まで日本最大の地主で「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」と謳われるほどの栄華を誇っているのですが、本間家の代々の当主は、ただの豪商ではない、ホントに聞けば聞くほど今の政治家に爪の垢でも飲ませたい方々なのです。

3代当主本間光丘は、庄内藩の財政再建に取り組んだほか、防砂林の植林を進め、さらに宝暦の大飢饉で多くの農民が餓死したことを教訓に、豊作の際には米を庄内藩の米倉に貯蔵し、飢饉の際には米を放出する「八ヵ年計画による備蓄計画」を起案して、この計画は昭和20年頃まで維持されたそうです。
今年、米が足りないって騒いで、下々を混乱に陥れた農林省は見習ってほしい!
しかも本間様は、三井、三菱みたいに財閥にならずに一地方都市の企業家のままで、百年の計を考えていらっしゃる。
防風林および灌漑事業整備に大いに貢献し、酒田の近代化に尽力、田んぼに整備された試験場である本間農場では、乾田馬耕など小作人に対する農業指導を行い、庄内米の価値向上に繋げたほか、農民や小作人には保護政策を執っていたのだそうです。
その上、その上ですよ、本間家って「遠慮しながら世のため他人のために尽くす」精神、家訓があり、本間家の財政の方針は、資金の1/4を藩に献上、1/4を寺社仏閣・祭祀に寄付、1/4を民の救助に、1/4を家計費にと定めているとか。
今もなお、本間様と言われる由縁ですね。こういう方は、もういないのでしょうか。
未だに企業献金、政治資金に固執している政治家たちは、みーんな辞めて、本間家精神をお持ちの方にやってもらいたいです。
実際にやってきたこと、やれることだから、決して今でもできないことではないですよね。
なにかというとできないというお上よ、無能の極致から抜け出る参考にしてはいかがですか。
私は、藤沢周平さんに負けない小説を書いてみたくなりましたが・・・。(笑)

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