マイナーな保険証
シナリオ・センター代表の小林です。もう12月になっちゃいました。1年は駆け足で過ぎ去っていくようです。
昨日からマイナ保健証を使うという体制になりました。
戸惑う声が上がる中、お上は一貫して訳の分からないことを言い募ってゴリ推し体制を敷いています。
お上は、「丁寧に周知し、国民の不安に迅速に応えていく」と理解を求めていますが、岸田前政権当時の河野太郎デジタル相が2022年10月に唐突に表明して、カード取得の事実上の義務化を図ったわけで、わけがわからないものです。
石破さんだって、お上になる前は、「不利益を感じる人がいる状況があれば、(現行保険証との)併用も選択肢となるのは当然だ」と、現行保険証も使える方がいいと言っていたくせに、急に変えるって情けない。
大体、マイナカードは任意なのに、何故保健証がくっついて、しかも義務だということ自体おかしくありませんか。
まず、この任意と義務をどう一体していくというのかきちんと教えて欲しいです。
お上はマイナ保険証を使えない人には、代わりとなる「資格確認書」を発行すると言っています。
これもおかしくないですか。使えない人ではなくマイナカードを取得しない、または取得したくない人がいるということを忘れているのか、無視しているのか・・・。
私は、マイナカードを作っていませんし、これからも作る気はありません。
マイナカードを取得していない、したくない30%近くの人に対してはこれからどう対処していくのでしょう。
必要もないつまらない改正にお金を使っていないで、1円でも多く、能登はじめ災害地域にお金を回してください。
ランスジェンダー追悼の日
11月20日、「トランスジェンダー追悼の日」に、出身作家の柚木麻子さんと山内マリコさんが中心となって、トランスジェンダーを含むLGBTQへの差別に反対し、「差別に加担しない文学環境を望みます」として当事者への連帯と支持を表明しました。
李琴峰さん、山内マリコさん、柚木麻子さんの文責で、石田衣良さん、桐野夏生さんなど計51名の小説家が賛同者として名を連ねました。文芸、出版業界や同業者に理解と協力を求める内容です。
2年前に問題になった映画業界で性加害について山内さんと柚木さんは、「原作者として、映画業界の性暴力・性加害の撲滅を求めます」と映画業界の性暴力の撲滅を求める声明を作家18人の連名で発表。
その後2人が会員となっている日本ペンクラブの女性作家委員会で呼びかけ、「あらゆる差別、精神・肉体・性へのいかなる暴力、いかなるハラスメントも許されるものではないと考え、根絶に取り組んでいくことを宣言します。」と日本ペンクラブ女性作家委員会が「性加害のない世界を目指して」と題した宣言を9月にも発表してます。
日本の小説家がここまで特定の問題に対して声明を発表することはあまりなく、しかもLGBTQ+差別に関する声明としては史上初だそうです。
私は、創作に携わる者がこうした問題にも意識を持っていないとまずいのではと思っています。
「私たち小説家にとって、作品が世の中に流通し人々に読まれることは、喜びであると同時に、大きな責任を伴うものでもあります。
近年、LGBTQ+、とりわけトランスジェンダーの人々を標的にした差別言説が氾濫していることに、私たちは深く心を痛め、憂慮しています。
読者のみなさまをはじめ、文芸・出版業界にも、LGBTQ+当事者の方がいることは言うまでもなく、我々にとって他人事ではありません。
そこで私たちは、トランスジェンダーを含むLGBTQ+の人々に対する差別に反対し、連帯と支持を表明します。
文学は、ときに差別や抑圧、排除といった人間の暗い一面を描くこともあります。しかし、すでに社会的に弱い立場に立たされている人々に対し、文学がその生の可能性を狭め、差別や抑圧、排除に加担することはあってはならないと、私たちは信じています。
文学がLGBTQ+を含むすべての人に開かれたものになるよう、私たちは文芸業界、出版業界、及び同業者に理解と協力を求めます。
私たちは差別に加担しない文学環境を望みます。
2024年11月20日 」
9月の宣言はペンクラブ女性作家委員会が2年にわたって講演会を開き、性暴力やハラスメントについて議論を重ねた上で出されたものですが、山内さんと柚木さんは2022年に出した声明もふまえて、ステートメントという形にこだわったそうです。
「ステートメントというのは、公的に自分の立場や見解を明らかにすることです。もちろん、それを出したからといって、すぐに世の中が変わるわけじゃない。ですが、賛同者を集めてステートメントを出すことで、『世の中が変わってきている』『変えていかなくては』という機運につながるんじゃないか」と山内さんはおっしゃっていて、他の人への影響もさることながら、自分の考えをしっかり打ち出すというのはなかなか勇気のいることだと思うのです。
しかも、「原作者声明で私たちがやったのは「アクティブ・バイスタンダー(行動する傍観者)」と呼ばれることだったのかな、と思います。当事者ではない絶妙に距離のある立場。だからこそ、できた行動でした。」と。
私の生きたウーマンリブ時代の過激なフェミニズムと違い、大人だと思いました。
柚木さんはじめ若い創作者の力こそが、大きなうねりを作ってくれることと期待しています。
創作に携わるものの作家性というか作家としての佇まいが、己の世界を創り上げるのだと、ものを描くということはそこから発していくのではないかと思うのです。