2025新春
シナリオ・センター代表の小林です。
明けましておめでとうございます。
お正月はいかがお過ごしでしたか。
昨年は元旦から能登大地震に見舞われ、新年早々から大変なことになりました。
その能登は新たな年を迎えても復興どころか復旧もしていない状態で、大雪の報を聞くたびに能登の被災地の方々はいかばかりかと心が痛みます。
2025年は、シナリオ・センターにとっては記念の年です。
創立55周年、新井一生誕110年にあたります。今年1年は、10月の感謝祭を中心に記念フェアを行ってまいりますので、ご一緒に楽しんでいただけたらと思っています。
ローマ法王の米
毎年兄が誕生日プレゼントとして連れて行ってくれる「志の輔落語 in parco 2025」に行ってきました。
志の輔師匠の創作落語のブレーンのお一人として出身ライターの佐野誠さんが協力されていらっしゃることもあり、今年はどのようなお手伝いをされたのかなと楽しみながらお噺を聞いています。
今年の創作落語のひとつは、能登地震もあってか、石川県羽咋の実在の人物高野誠鮮さんが主人公の「ローマ法王の米」。
高野さんは、羽咋に「コスモマイル羽咋」という宇宙博物館を創られ、NASAから本物の宇宙船を100年に渡って貸し出しをさせたというすごい方で、その力は宇宙船誘致だけでなく、限界集落を立て直したスーパー公務員なのです。
平均年齢75歳の限界集落を何とかしたいと考え、若い人を呼び込み、地区にブランド品を創ることに。
目をつけたのは棚田で作られるめちゃくちゃ美味しい「神子原米」。
とはいえ、美味しいからと言って売れるわけではない。そこで「影響力の大きい人が食べればブランド力も上がる」と天皇陛下への献上を宮内庁に頼むのですがダメ。
ひねりにひねったのが、「神子原(みこはら)」という地名。神子原は「神の子の住む原っぱ」と書く。神の子=イエス・キリスト。で、ローマ法皇宛てに手紙を書いた。
「イタリア半島を逆さまにすれば能登半島と形がそっくりです」と関わり(?)を説明し、「あなたに米を召し上がってもらえる可能性は、1%でもないでしょうが」と問いかけたことで、ローマ法王が食べてくださったのです。
志の輔師匠の語りのうまさもあり、笑いながら泣きました。
「1%も可能性はない?なんで?」とお聞きしたことで答えなくてはならないようにする、宇宙船も借用書に100年借りたいと書き「香港だってイギリスに100年貸したじゃない」と納得させる。
彼の切り口の見事さに驚嘆しました。彼はお願いをしないのです。相手の心をつかむのです。
勝手にやり過ぎだという上司に向かって「役人は、役に立つから役人というのではないですか」とも。
宮内庁のお役人も、ローマ法王につないだ方のようだったら、天皇陛下は食べてくださったかもしれない。
ものごとを動かすのは、誠心誠意(彼の場合は限界集落を救いたいという思い)と切り口だと思いました。
志の輔師匠の落語もそうですが、高野さんのお話しだって、まともにこういうすごい人ですっていうのでは、名人志の輔師匠がいくら語っても心に響かない、フーンっていうかんじになると思うのです。
師匠は、神子原地区長、市の課長やローマ法王庁の役人や通訳を出して、シーンを描く、語るんです。見せるんです。
だから高野さんのやっていることを肌で「すごーい」と感じてジーンとくるのです。
石川県馳知事の「復興元年 市と町を支える」
石破首相の「豊かさと笑顔を届ける1年に 地方創生」
なにを言ってんだか。
役に立つ役人でてこーいや!!
もうちょっとまともにやりましょうよ、言葉でなく形で。
高野さんと志の輔師匠の爪の垢、是非ともお贈りしたい。
写真は、志の輔師匠からのお年玉「神子原米」お守り。私は食べますけど。(笑)
PS:「ローマ法王に米を食べさせた男」(講談社+&新書)から高野さんの自著が出ています。