大人
シナリオ・センター代表の小林です。成人の日にちなんで成人のお話しをしたいと思っていたのに、地震のことでお上の対応を書いてしまった昨日です。
成人の日は、色々な方が成人に向けてはなむけのコメントを出していました。
その中で鴻上尚史さんのお話しに心が打たれました。ちょっと抜粋させていただきます。
『成人、おめでとう。でも、「大人になる」はどういうことでしょうか?
僕は、親や先生や先輩や友達の意見にただ従うのではなく、「あなた自身の頭で考えること」だと思っています。自分の人生を自分で決めるということですね。
けれど、これはとても難しいことです。だって、日本の若者達はずっと「自分の頭で考えるな」という訓練を受けてきたからです。
日本の多くの中学校や高校では「中学生らしい」「高校生らしい」服装や髪形にしょうと言われています。
けれど、「高校生」というイメージは、様々です。それぞれの人の頭には、それぞれのイメージがあります。それを「高校生らしい」という一言でまとめるということは、「考えるな」ということです。
僕は、日本の若者に深く同情します。
が、嘆いてもしょうがないです。自分の頭で考える訓練を始めるしかありません。
そのためには、本を読んで下さい。
僕達は、国語の授業でずっと「退屈な本ほど価値がある」と思い込まされてきました。でも、ワクワクドキドキしながら、本当面白く、あなたの生き方の役に立つ本が間違いなくあります。
本屋さんに行って、面白そうに感じた本の最初の1ページをとりあえず読んで下さい。
つまらなければ、すぐに次の本に移ります。それでいいのです。
何十冊とくり返すうちに、あなたにぴったりの本がきっと見つかります。
読書は作者との対話であり、あなたの考えを深めます。やがて、「自分の頭で考えること」が身につくようになるのです。
さあ、成人して、やっとあなたは自分の頭で考えていい世界に来たのです!』(抜粋)
本は頭の中に想像力を掻き立てます。
創造
若い方たちが創造の世界を楽しんでくれたらと思うのですが、こんな怖い話も。
法政大学前総
「驚いたのは、多くの人々が本や新聞を、スポーツ新聞を含めて読めなくなっている、という事実だった。
漫画も読み続けることができず、アニメシリーズも継続して見ることができない。映画は15分で粗筋を知るか、早回しで見る。本や新聞を読まないことは知っていたが、『読まない』のではなく『読めない』のだとは、考えもしなかった。
この状況説明は、石丸伸二氏がなぜ東京都知事選で票を伸ばしたかの分析で述べられたものだ。
石丸伸二氏の選挙戦略とは、以下のものだった。
都民の多くは政策を読んでもわからないので政策には言及しない。長く演説を聞くことができないので15分で切り上げる。その代わりインターネット上のさまざまな手段で膨大に発信する。理解して投票することができないので、体験談で共感者を増やす。自身が具体的な議論ができないので、攻撃的なもの言いをする。それによって、議論していないのに論破したように見え、『勝った』と感じさせることができるというのです。」(抜粋)
本当にこういう若者が増えているとしたら由々しき問題ですね。
確かに石丸さんのこの戦法が若者へアピールし若者票を得たのは事実です。うまい戦法ですが、怖い、とても怖い戦法です。N党の立花氏も同じやり方です。
シナリオ・センターに受講する若い方にも、確かに本は読んでない人は増えてはいますが、こんな風ではありません。創造したい人間は、短絡的ではないですから。
私たちはドラマを作ります。小説を書きます。想像力と創造力の世界を創ります。
本当に、観てもらえない、読んでもらえない人が増えているとしたら、さて、どうしたらよいのでしょうか。
見続けたい、読み通したいと思わせるものをどう作ればいいのでしょう。
「読めない」を「読める」にそこから「読みたい」に、「見れない」から「見れる」そして「見たい」に変えるには、何が必要なのでしょう。何を魅力と感じるのでしょう。
頭の中で想像できる楽しさを知ると、きっと変わるのだと思うのですが。