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「総合的な学習の時間(総合)」を使い、映画(ドラマ)を制作したいと立ち上がった横浜市立西富岡小学校6年生の皆さん。
「でもでも!
そもそも動画の作り方自体、お恥ずかしいことにまったく知りません。
それでも作れますか?」というお問合せをいただきました。
まったく問題ございません。
恥ずかしがることもございません。
だって、名匠と呼ばれる名監督だって子どものときは、映画の作り方は全く知らなかったわけですから。
ということで、シナリオ・センターの田中が皆さんにお伝えした模様をレポート。
“映画制作の手順と大切なこと”をご紹介いたします!
=今回の概要==============
・サービス名:総合の授業で映画(ドラマ)を制作したい!
・目的:総合のとりくみ 動画づくり
・対象:横浜市立西富岡小学校さま(6年生)
・時間:各約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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まったく知らなくても“総合”で映画は作ることができる
「映画を作ってみたい」という子どもたちの願いを叶えたい。
でも、作り方の何が分からないかも分からない状態で……」と、
担任の先生からお問合せをいただくことがよくあります。
でも先生、大丈夫です。
シナリオ・センターの講座の基礎となる『シナリオの技術』にも“映画製作の過程”という項目がありますから、作り方をイチからナビゲートすることができるのです。
ただ、プロの工程をそのままお伝えしても難しいので、西富岡小の皆さんのように「これから作るぞ!」という子どもたちが必要としている“エッセンス”を抜粋してお伝えしています。
(Zoom越しに皆さんと喋る田中↓)
映画を作る手順
まず、「映画は作りたいけど、どんな風に進めていけばいいの?」という疑問があるのでは。
映画を作る際は「プリプロ(準備期間)」→「プロダクション(撮影期間)」→「ポスプロ(映像の仕上げの期間)」の3段階を踏みます。
そして、
「プリプロ」では、①企画 ②シナリオ ③撮影準備を、
「プロダクション」は、④撮影
「ポスプロ」では、⑤編集 ⑥宣伝・公開
といった、大きく分けて6つの手順で進んでいきます。
詳細をご紹介↓
プリプロ
プリプロダクションの略。いわゆる“準備期間”のことです。
学級の皆さんで作る場合でお話しすると、プリプロは、大きく分けて3つの手順があります。
①企画
作りたい映画の大枠を決めること。この映画で友情のすばらしさを伝えたい!とか、それを伝えるために、どんな話にするか?をあらすじなど、大きなくくりで決めます。
②シナリオ
企画で決めたことを具体的にどう描くか、お話しづくりをしていく工程です。クラス全体で書きたい時や班で書きたいときは、書き方として大きく分けて2つあります。
a 分担型
「全体のシナリオをここからここまでは〇〇さん、ここからここまでは☆☆さん……」と、分担で書くやり方。
b 相談型
書記を中心に、みんなでアイデアを出しながら、書いていくやり方。
※「ひとりひとりに役割を与えたい」という場合は分担型、「団結力を養いたい」という場合は相談型、といったように、“総合のねらい”に準じて選択するのもひとつです。
③撮影準備
どこで撮るかロケハンというものをしたり、役割分担を決めたり、読み合わせ・立ち稽古(演技の練習)をしたり、どんな映像にするかあらかじめイメージを書いておく画コンテの作業など。さらには道具とかを集めたり、撮影日の予定を立てたりするのもここで進めます。
プロダクション
④撮影
プロダクションとはいわゆる撮影のことです。決めたロケ地、スタッフ、キャスト、撮るシーンを、プリプロで行った準備に沿って、進めていきます。
ポスプロ
ポストプロダクションの略。いわゆる映像の仕上げです。
大きく分けて2つです。
⑤編集
撮影で撮った素材を編集ソフトで編集します。テロップ、アフレコ、BGMなどもここで入れます。編集はタブレットのプリセットされているアプリや、無料のソフト・アプリで充分です。
⑥宣伝・公開
映画が完成したら、宣伝します。チラシを作っても良し、校内放送でお知らせしても良し。みんなに見てもらうきっかけづくりが宣伝です。公開はどこでするかも考えます。
上記のことをZoom越しにみんなに伝えました。
「こんな感じだけどどうかな?わかった?」と手で大きく「〇(丸)」を見せる私。
すると、みんなも大きく「〇!」とポーズを見せてくれました。
「映画ができるまでの流れが分かってよかった!」
「楽しそう!」
――とのことでした!
その中でも大切にしたいこと
この流れでそれぞれが役割をもって、映画づくりにあたっていきます。
この手順のいずれも必要になってくるのがシナリオ。
シナリオ・センター創設者・新井一の書籍『シナリオの技術』にも、こう記されています。
「スタッフは、それぞれのエキスパートですから、
まとめていくために、“シナリオ”にしたがって、
監督の考え方などを伝達しなければならないし、
シナリオに書かれた精神が観客に良く伝わるよう、
枠という技術を駆使しなければなりません」
『シナリオの技術』(ダヴィッド社・新井一著 P34抜粋)
そのような協力体制で一致団結する中心にあるのが、シナリオ。
準備のときも、撮影のときも、編集のときも、みんなシナリオ片手に進行していきます。
練習として、西富岡小の皆さんに、どんな精神をシナリオに込めるか、それが映像になったとき、誰に見せたいのか、を考えながら、登場人物2人のキャラクターを設定して、シナリオを書いてもらいました。
最後に、「書いてみて楽しかった?」とみると、「はーい!」と大きな声が!
また、もう一度「〇!」とジャスチャーしてくれた子も!
みんなの映画、楽しみにしています!!!
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ