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横浜市立浜小学校は創立80年。
浜小学校の子どもたちはどの学年も、「総合的な学習の時間(総合)」を使って、学校の魅力を何らかの形で残したいと考えているのだそう。
4年1組のみんなも「何かカタチにしたい!」ということで、様々な案が挙がったのだとか。
それを受けて、担任の先生がいろいろと調べていく中で、シナリオ・センターのこちらのブログを発見してくださいました↓
▼総合的な学習の時間 事例の参考に/シナリオを書いて映像を撮る@本町小学校
そして、先生からお問い合わせのお電話をいただきました。
「学校の魅力を動画にしたい!という話が子どもたちから出ていまして。
学校の魅力を伝えるためには、動画にする以外にも、
レポートを書くとか、劇にするとか、表にするとか、いろいろな“可能性”があると思い、
いろいろと調べているのですが。
4年生でもちゃんと動画を作れるという“可能性”はあるのでしょうか……」
はい。可能性は、あります!
ということで、シナリオ・センターの田中が、全2回でお伝えした模様をこちらのブログで一挙ご紹介!
“沢山ある発想を、もっと引き出して、カタチにしていく方法”をご紹介します。
=今回の概要==============
・サービス名:「周年記念で学校の魅力を残したい。その方法として『動画』という方法の可能性を広げたい!(種まき)」(全2回)
・目的:総合発表会に向けた動画づくり
・対象:横浜市立浜小学校さま(4年生)
・時間:各約90分(第1回目:10月実施/第2回目:11月実施)
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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キッズシナリオ第1回目:発想は無限大!
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どんな動画にしたいのか、子どもたちに聞いてみると、こんな回答が。
「浜小のいいところが分かる動画!」
「すごろくと動画を合わせたい!」
す、すごろく???
「そう、すごろく。どんな動画になるか、どう作るか分からないけどぉ、でも、楽しみながら知ってほしいから、すごろくです!」
おおー、そうなんだ!
「なので、すごろくと動画を混ぜたようなやつを作りたいです!」
なるほどなぁ。すごろく×動画。
新しくて、面白い発想です。
どんな動画になるのか、ワクワクしますね。
ただ、これまでにない発想なだけに、どんな動画になるかは、分からない。
みんな少し不安そうです。
でも、大丈夫です!
新しいものは、こういう“分からない”というところから始まるものです!
まずは、基本的な動画の作り方をおさえて、「どう作るか分からない」という不安を解消していきましょう。
“ベース”ができれば、そこに新たな発想「すごろく」をどう掛け合わせればいいか、が見えてくるはず!
ということで、「面白い動画を作るコツ」からお伝えしました。
そのコツとは、
①登場人物のキャラクターを考える
②その登場人物が困っちゃうことを考える。
そして上記2点に加えて、「動画を作る手順」「動画を作るにあたって、どんなふうに役割分担をするのか」「動画のテーマと観てほしい人(具体的なターゲットを1人決める)」などについてもご紹介しました。
キッズシナリオ第1回目はここで終了。
次回の第2回目は1ヶ月後。
それまでに、今回お話ししたことを踏まえて、実際に撮影してみる予定、とのことでした。
キッズシナリオ第2回目:揚げパンで広がる発想!
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1ヶ月後。田中、ふたたび浜小へ。
みんな、いい最初のシーンは撮れたのでしょうか。
観せてもらう前に、どんな思いで撮ったか、聞いてみることにしました。
動画のテーマは「浜小のワンダーフォー」。
「浜小の“wonderful(ワンダフォー)”な魅力を伝える動画にしよう!」
ということだそうです。さらに1組の“oneだ”と、4年生の“four”が
「ワンダフォー」にかかっています。
かなりのこだわり。
どうしたらそんなアイデアが出るの?
すごすぎるじゃないの。
さて、内容は、というと……
「主人公が浜小の良いところを探していると、急に目の前に謎のチケットが現れる。
チケットを手に取った瞬間、すごろくの世界に迷い込んでしまい――」
という冒頭シーン。
いい!!!
めちゃくちゃ続きが気になります!
実は、この冒頭シーン、「1つだけ」じゃありませんでした。
同じ冒頭シーンを、班に分かれて、それぞれが思い思いに試し撮りしたとのこと。
なので、全部の班の冒頭シーンを観させていただきました。
「同じ冒頭シーン」と言っても全然違っていて、それぞれの良さが光っています!
すごろくの世界に入ってからどのように進めていくのか、
という設定をしっかり説明している班。
2人が喧嘩しているところから始まって、この2人が急に不思議な世界に迷い込んで、
協力するのかしないのか!?とちょっとドキドキするような展開の班。
すごろくの世界に入るときのカメラワークにこだわり、
その世界に入ってしまったことがちゃんと分かるようにカット割をしている班。
またまたすごすぎるじゃないの。
みんなとってもワンダフォー!
どの班の動画も、ちゃんと見る相手の立場に立って、楽しんでもらえるように考えられていて、とっても良かったです!
そう感想を伝えると、みんなニコニコ。
そして「撮影は楽しかった!」とのこと。
でも。
担任の先生が代表して、みんなの不安を教えてくれました。
「実はみんな、本当にこの企画で進んでいいのか、とても悩んでいるんです。
田中さん、どうですかね……。この企画で進めていいのでしょうか。
みんな、悩んでるんだよね?」
先生の呼びかけに子どもたちは頷きながら、じっと田中を見つめています。
「もちろん!ばっちりです!!!」
教室中にみんなの「やったー!!」が響き渡りました。
そこで。
今日お話ししようと思っていた内容を急遽少し変えて、もう一度、浜小のどんなワンダフォーなところを伝えたいのか、よりブレない「テーマ(=動画で伝えたいこと)」にするため、改めて聞いてみました。
すると、どんどんあがる浜小の良いところ。
「歴史があるところ!」
「給食がおいしいところ!あ、揚げパンもおいしいよね!」
「浜小のみんなが優しいところ!」
「先生が優しいところ!」
「先生の授業が分かりやすいところ!」
担任の先生、「ありがとう……」と心なしか目を潤ませ、みんなにお辞儀。
なんて優しいクラス。
ということで、田中こんなことを聞いてみました。
「じゃあさ、みんなが優しいところを、すごろくでどう見せよっか?」
すると、それぞれ思い思いにアイデアが爆発。
・「すごろくで止まったところにうずくまっている人がいる、とか?」
――お!先月実施したキッズシナリオ第1回目のときにお話しした、
面白い動画を作るコツ
①登場人物のキャラクターを考える
②その登場人物が困っちゃうことを考える。
の、②がナチュラルにできています!
・「そのうずくまっている人をみんなで助ける、とか?」
――おお!みんなの優しいところが伝わりますよね!
・「その人に給食の揚げパンをあげる、とか?」
――おおお!さっき出たアイデアをすぐに使って発想を広げています!
すごーい!みんなの発想がどんどんつながっていきます!!!
お伝えしているのはルールではなく方法。
わたくし田中、キッズシナリオで動画の作り方を伝えるとき、気をつけていることがあります。
それは、ご紹介しているのはあくまでも“方法”であって、
「そうしなきゃいけない」「こうしちゃいけない」という“ルール”ではない、ということ。
キッズシナリオで紹介している動画の作り方のベースになっているのは、シナリオ・センターが提唱しているシナリオの技術です。
手前味噌ではありますが、この技術は、シナリオを書くだけでなく、さまざまな創作をする上で活用できる素晴らしい“方法”だと思っています。
ただ、この“方法”を子どもたちに伝えるとき、こちらの言い方で“ルール”だと感じさせてしまったら、子どもたちがもつ無限大の発想を狭めてしまう恐れがあります。
これだけは絶対に避けたい。
シナリオの技術をナビゲートする者としての使命だと感じています。
だから今回も、浜小のみんなの発想のバックアップのために、シナリオの技術を活用していただけたら、と思ってお話しさせていただきました。
1回目の授業で、みんなが「動画、ちゃんと作れそう!」とこれまでの不安が和らいでいるような様子を見て、そして、2回目の授業で、ワンダフォー”な動画&自由に発想するみんなを見て、私の想いは伝わっているのかな、とちょっぴり誇らしく、嬉しい気分の田中でした。
みんなの映画『ワンダーフォー~浜小学校すごろくThe Movie~』。
とっても楽しみにしております!
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ