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こんにちは。
出前授業「キッズシナリオ」のリポートを担当する ひろくんこと、唐下です。
「先生」や「唐下」ではなく、ぜひ「ひろくん」と呼んでくださいね。
(キッズシナリオでは子どもたちから、「先生」ではなく、ニックネームで呼んでもらっています)
今回は、横浜市立菅田の丘小学校の6年生の子どもたちに向けて、地域のPR動画づくりに関する授業を行いました。
はじまりは、担任の先生から頂いたこちらのお問い合わせ。
「地域のPR動画を作ることになりました。学校のPR動画を作った経験はあるのですが、本格的な地域のPR動画制作は今回が初めて。どうやって作ればいいか悩んでいるときに、シナリオ・センターさんのブログを見て、お願いしたく連絡させていただきました」
ご覧いただいたブログがこちら。
▼地元の人々に愛されている場所のPR動画を作る@横浜市立谷本小学校
そこで今回は、菅田の丘小学校6年生の子どもたちに「PRしたいことを明確にするためのコツ」をお伝えしてきました!その模様をご紹介します。
=今回の概要==============
・サービス名:地域のPR動画をつくりたい!!
・目的:動画のつくり方を教えてほしい
・対象:横浜市立菅田の丘小学校さま(6年生)
・時間:約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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地域の魅力をいろいろ伝えたい
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みんなに現時点での状況を聞いてみると、既に5つのグループに分かれていて、それぞれが地域のどこをPRするかが決まっているとのこと。
1.自然班
2.公園班
3.施設班
4.お店班
5.地区センター班
そこで、ちょっと質問。
「この動画を観る人に“いいな”って思ってもらうためには、どうしたらいいかな?」
すると、一斉に手を挙げ、次々と意見を出してくれました。
・子どもからお年寄りまで楽しめる公園があって。そこでいっぱい遊べるし、赤ちゃんがいるお父さんやお母さんも一緒に散歩したら楽しいと思う。だから、それを知って、いいなって思ってほしいです。
・野菜がおいしいし、安いと思うし、野菜の種類もいろいろあるから、地産地消ができる場所だっていうことを伝えたい。それで、いい場所だなって思ってほしいです。
・施設や店内の雰囲気が良いところかな。育児や介護のサポートが手厚い、みたいな感じのことを伝えたい。施設も綺麗だし。いいなって思ってほしいです!
他の班からも続々と、沢山のアイデアが出てきます!
そうですよね、せっかく地元の魅力を伝えるのだから、沢山伝えたいですよね。
こういうとき、ちょっと心に留めてほしいことがあります。
PR動画を作るとなると、あれもこれも!といろいろな情報をついつい盛り込んでしまって、結果、一番伝えたいことがボヤけてしまった……、なんてことが起こったりします。
また、授業の時間内に作りきれないほど長~いPR動画になってしまう……なんてこともあるのです。
でも大丈夫。
そうならないためのコツを大きく2つお伝えします!
PR動画のテーマは「ひとこと」で
コツ1つ目。
動画を通して何を伝えたいか?という「テーマ」を“ひとこと”で設定すること。
“ひとこと”にするとシンプルなので、「こういうテーマの動画を作るぞ!」と班のみんなで共有しやすいし、動画作成中に「あれ?これ何のための動画だっけ?」と迷子になることを防いでくれます。
早速、テーマをひとことで考える練習を各班でやってもらいました。
テーマが決まったら発表。
例えば「お店班」。
テーマは「町中華のレトロ感のよさ」。
わあ!すごいシンプルで伝わりやすい!
「町中華の良いところはレトロなところだよ!」と、PRしたい内容が明確ですよね。
そこでちょっと、みんなに“ひろくんクイズ”を。
黒板に「大盛無料の餃子」の絵を描いて、「“町中華のレトロ感のよさ”をテーマに動画を作ります。そのとき、この大盛無料の餃子を撮影して紹介したいと思います。どうでしょうか?」
と聞いてみると……
・えー!テーマにあってない!
・餃子が大盛りであることや無料になることは「レトロ感のよさ」のPRになってません!
そのとおり、正解です!
そうだよね、テーマと動画の内容がイコールになってないですよね。
と、さらに説明を続けようとすると……
・てか、そのお皿に大盛りの餃子は載らないよね。
・いくらなんでも無料にしては量が多すぎじゃない?
あら、思いもよらぬツッコミが……。
僕の絵が下手すぎたみたい(汗)。
「気にしてほしいのはそこじゃないのよ」と焦っているとみんなケラケラ。
場もさらに温まったということで(笑)、コツ1つ目のまとめを。
こんなふうに、テーマをシンプルに明確にしておけば、この動画で何を取り上げてどう紹介するか、が決めやすくなります。
「町中華のレトロ感のよさ」の動画ならば例えば、
・一目で中華料理店と分かる赤い看板
・年季の入った暖簾
・昔使っていた黒電話
・ベテラン感漂う店内や厨房の様子
・昔ながらの中華そば
みたいなことを撮影して、動画で紹介していけば、このテーマが伝わりやすくなりますよね。
また、取材中、「念のため、あれも撮っておこう」「これもおさえておこう」と動画で使う“素材”をいっぱい撮ってしまっても、後から「あ、でもこれはテーマにあっていないから、残念だけど今回はカットしよう」と冷静に判断して、シーンを削ったり差し替えたりすることができます。
だから、予め「テーマ」を“ひとこと”で設定することが大事なのです!
PR動画のテーマを伝える相手は「ひとり」
コツ2つ目。
そのテーマを誰に伝えたいのか、伝えたい相手を“ひとり”決めること。
なぜかというと、伝えたい相手によって、伝える内容が変わってくるからです。
例えば「公園班」の伝えたいテーマが「沢山楽しめる公園の素晴らしさ」だとしたら。
伝えたい相手を赤ちゃんがいるお父さんやお母さんに決めた場合、「赤ちゃんとゆったり楽しめる公園の素晴らしさが伝わるのは何かな」とイメージできて、例えば、使いやすいトイレや広めのベンチが思い浮かんだりしますよね。
でも、小学校高学年の子を伝えたい相手に決めた場合、「アクティブに楽しめる公園の素晴らしさが伝わるのは何かな」というイメージになって、例えば、アスレチックや水遊びができる広場が思い浮かぶのではないかなと思います。
こんなふうに、伝えたい相手によって、“素晴らしさ”の内容が変わってきます。
さらに伝えたい相手によって、伝える表現も変わってきます。
テロップやナレーションを入れるときも、小学生の高学年が観るなら、大人に話すような「です・ます調」よりも、ちょっと砕けたカジュアルな言葉のほうが親近感をもって動画を観てくれるかもしれませんよね。
こんなふうに、観る人を“ひとり”決めておくと、内容や表現を定めやすくなるのです。
画コンテがあれば「テーマ」「誰が観るか」がブレない!
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コツを2つお伝えした後、撮影をする前にやっておくといいオススメの方法として「画(え)コンテ」についてもお話ししました。
画コンテとは、映像をどんな順番でどんなシーンを撮るか、絵とシナリオで予め描いておく、というもの。
画コンテを描いておくと、頭の中にあるぼんやりとしたイメージが具体的な形になるので、「伝えたいテーマ」と「誰が観るか」がブレずに撮影を進めることができます。
・絵が上手くないから、うまく描けるかな……
と不安そうな子どもたちもいましたが大丈夫!
絵コンテはそれほど本格的な絵でなくても、人物は棒人間とか、背景にあるものも四角・丸みたいな大雑把な感じでOK。
早速、描いてもらいました。
テーマが「町中華のレトロ感のよさ」の「お店班」の子は、レトロな雰囲気を感じさせる木製のテーブルや椅子が際立った絵コンテを描いていました。この画コンテだけで「昔ながらのお店が好きな大人に向けた動画なんだな」というのが伝わってきます。
テーマが「介護施設の手厚さ」の「施設班」の子は、施設の様子だけでなく、そこで働く人や利用者さんにインタビューするシーンも描いていました。「この施設の利用を考えているお年寄りの方に向けた動画なんだな」というのが伝わってきます!
テーマが「沢山楽しめる公園の素晴らしさ」の「公園班」の子は、サッカーをしたり、走ったりする様子を描いていました。「小学生の高学年に向けた動画なんだな」というのが伝わってきます!
他の班の子どもたちの画コンテもその動画で何を誰に伝えたいのか、パッと分かるものになっていました!
どんな素晴らしいPR動画が完成するのか、ますます楽しみです!
今回ご紹介したように、キッズシナリオを通して、沢山の子どもたちや先生に動画作りを楽しんで喜んでもらえたら!と思っています。ブログをご覧いただいて、「うちの学校にも来てほしい」「オンラインで授業をやってほしい」ということでしたら、シナリオ・センターまでお気軽にご連絡ください。
以上、ひろくん こと 唐下がお伝えしました。
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ