横浜市立恩田小学校・5年生の子どもたちは、「総合的な学習の時間(総合)」で自分たちが住んでいる街のPR動画を作るべく、お店や施設など「恩田と言えば!」なスポットを取材するのだとか。
その取材の前に。
「自己紹介の動画などを作った経験はあるのですが、 本格的な動画づくりはこれからなので、作り方が知りたいです!」
とのこと。
承知しました!
ということで、シナリオ・センターの田中が実施した出前授業「キッズシナリオ」の模様をレポート。“迷わずにPR動画づくりができるようになるコツ”をご紹介いたします!
=今回の概要==============
・サービス名:「街調べの前に本格的な動画のつくり方をレクチャーしてほしい」
・目的:総合の取り組み PR動画づくり
・対象:横浜市立恩田小学校さま(5年生)
・時間:約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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地元の魅力をPRしたい
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自分たちが住んでいるところの良さや魅力を知ることで、もっと自分たちの街を好きになれる。
そんな思いでPR動画を作ろうと思った恩田小5年生のみんなは、参考として、先生と一緒に『出没!アド街ック天国』を観たり、どうすれば恩田の魅力がより伝わる動画になるか、研究してきたのだそう。
田中的には恩田と言ったら「こどもの国」。
ポニーや牛もいる広大な公園で、ソフトクリームもおいしい。
のどかな場所で大好きです!
地元民であるみんなはどうなんだろう?
聞いてみました。
恩田ってどんなところ?
「自然が豊か!」
「緑が多い!」
「大きい公園がある!」
あら!あながち私のイメージは間違っていなかったみたい。
あとは……
「施設がいっぱいある!大学とかもあるし」
「若者だけじゃなくてお年寄りも安心して住める!」
おお!住みやすい場所なんですね。
他にも、様々な良いところを挙げてもらいました!
いま、「恩田のこんなところをPRしたい!」
というのがみんなの頭の中に浮かんでいる状態だと思います。
これを少しずつ具体的にしていきます。
動画を撮る前にまず取り組んでほしいのが、動画の「テーマ」(※)を決めること。
先ほどみんなが言ってくれた「紹介したいところ」を通してどんなことを伝える動画にしたいのか、考えていきます。
テーマを決める際のポイントは「ひとこと」にすること。
例えば「こどもの国の楽しさ」みたいにシンプルでOK。
シンプルにひとことにすることで、班のみんなが一緒に「こういう動画を作るんだ!」と同じ方向を向くことができるので、製作過程で「あれ?何のための動画なんだっけ?」と混乱したりブレたりすることが防げます。
そうすることで、観た人たちにもテーマが伝わる動画を作ることができます。
※「テーマ」についてはこちらをご覧ください
▼地域の“すごい(=魅力)”を動画でアピールするには@横浜市立日枝小学校
テーマが決まったら今度は、誰に観てもらうか、「(この動画のテーマを)伝えたい人」(※)を1人決めます。
例えば「小学校の高学年」とか「お年寄り」みたいに、対象を決めておくと、動画の内容や表現(ナレーションやテロップなど)の方向性を定めることができます。
※「誰に観てもらうかを決める」についてはこちらをご覧ください。
▼総合学習で動画をつくる~5年生でオリジナル映画館を!~@横浜市立中和田小学校
以上が、動画を撮る前に決めておくといい2つのポイントでした。
ただ、もしかしたらここで、こんな不安が出るかもしれません。
それは、「テーマ」や「伝えたい人」を決めたとしても、実際動画を撮影するときに忘れてしまうかも……という不安。
そんな不安を払拭できるのが、次にご紹介する「画(え)コンテ」です。
キッズシナリオ オリジナルワークシート を使って 画コンテ!
画(え)コンテとは、映像作品を制作する際に、画面のレイアウトやキャラクターの動き、台詞、カットの時間数などを、絵や文字で表現した設計資料のこと。
キッズシナリオでは、このオリジナルワークシートを使って、どんな映像を撮って、どんな流れで見せていくか、をイラスト(黄色い枠内)とシナリオ(青い枠内)で描いてもらいます↓
画コンテを描く練習として、みんなに各々、『もしも恩田小の隣にお花屋があってそのお店を紹介するなら』というお題で描いてもらいました。実際には存在しないような設定のお花屋さんでも全然OKです!
画コンテを描く前にまずは「テーマ」を決めます。
伝えたいことは“ひとこと”で!
みんなは、
・お花の品数の多さ
・お花の安さ
・珍しいお花の種類の多さ
・店主のお姉さんのやさしいところ
・店内のきれいさ
などなど、シンプルに考えることができています!
次は、「伝えたい人」を決めます。
この動画を観てもらいたい人“ひとり”を!
これもまた、みんなは
・(自分の)お母さん
・(自分の)お父さん
・近所のおばちゃん
・教頭先生
・同級生の〇〇ちゃん
などなど、具体的に思い浮かべています!
この2つが決まったら、いよいよワークシート。
これを使うと、「テーマ(伝えたい“ひとこと”)」と「伝えたい人」を常に意識しながら、それに紐づいた画コンテ(イラスト)とシナリオを描くことができちゃいます!
例えば、「品揃えの良さ」をテーマにした動画を作るとします。
「こんな動画にしたい♪」と夢中になって描き進めていって、
無意識のうちに「激安!」をPRするような“ひとコマ”を描いたとします。
こういうときも、描き終わった後、全体を見てみると、「あれ?激安という情報は、品揃えの良さというテーマにはちょっとあってないな。他の映像にしよう!」とすぐに確認・変更できるのです。
これによって、撮影後に慌てて差し替えたり、撮り直したり、というハプニングが起こりにくくなります。
さあ、みんなはどんな“お花屋さんPR動画”を考えてくれたのでしょうか!
最後に、クラスを代表して2人に発表してもらいました。
☆Aさんの発表☆
・テーマ:品揃えの良さ
・伝えたい人:友達
・画コンテ&シナリオ:店内の全体の様子(沢山のお花の絵)→お花のアップ(※)→先ほどとは違う種類のお花のアップ→また違う種類のお花のアップ→リポーターのアップ→リポーターとともに、いろいろなお花が沢山あることが分かる様子をロング(※)で。
※アップやロングについてはこちらを。
▼ロング バスト アップ を意識
・田中の感想:冒頭で「このお店にはお花が沢山売っているんだ!」とすぐに分かるのがとってもグッド!そしてその後に「お花の種類も豊富なんだ!」「こんなお花があるんだ!いろいろあるんだ!」というのが分かる。先に映像で見せた後に、リポーターが登場してもっと具体的な内容を言葉で伝えてくれるので、このお店の品揃えの良さが視聴者にはっきりと伝わります!最初から最後までテーマがブレていませんね。もうすぐにでもこの画コンテを使って動画が撮影できちゃうレベルです!素晴らしい。
☆Bさんの発表☆
・テーマ:売っている種類の珍しさ(不思議な香りがするお花を売っている)
・伝えたい人:お花が好きな人
・画コンテ&シナリオ:店内の全体の様子(入口には不思議な形をした様々なお花が並んでいる。奥に入ると、見たことがないような珍しいお花がケースに沢山入っている。「不思議なのは形だけではないのです」というナレーション)→お花のアップ(ナレーション:このお花はハチミツの香りがします)→お花のアップ(ナレーション:こちらは桃の香り)→お花のアップ(ナレーション:こちらはなんとブルーハワイの香りがします)
・田中の感想:この画コンテも、冒頭から「特殊なお花を売っているんだな」というお店の不思議な雰囲気がすぐに分かります。その後、「色々な香りがするお花を売っているんだ!」ということが分かり、珍しい種類のお花が売っているお店なんだということがハッキリと伝わってきます。「香り」を動画で伝える、という視点がとってもグッド!「そのお店に行ってみたい!」という気持ちになります。これぞPR動画。素晴らしい!
今回は架空のお店&設定で考えてもらいましたが、良い練習になったのではないでしょうか!
この調子で、「これぞ恩田!」というPR動画を作ってくださいね。
完成したら、是非観せてくださーい!
※その他、いろいろな学校で実施したキッズシナリオも模様もご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ