2024年を締めくくるキッズシナリオは――
出前授業「キッズシナリオ」。
実施後にその模様をお伝えしているブログをご覧いただいたり、先生方の間で「良かったよ!」と“口コミ”していただいているようで、2024年はなんと、例年の倍以上の学校に伺いました。ありがとうございました。
2024年実施のキッズシナリオ。
最後を締めくくったのは、横浜市立中沢小学校6年生の子どもたち。
中沢小のみんなは、「総合的な学習の時間(総合)」で、自分たちが住んでいる横浜市“旭区”の魅力を伝える動画を作ろうとしています。
担任の先生によると、子どもたちは当初、“横浜”の魅力を伝える動画にしようと考えていて、横浜と言えば→みなとみらい、と言えば→観光スポット、という切り口で進めていたのだとか。
でも、旭区役所の職員さんにお話を聞く機会があり、みんなの中で、「動画を通して、旭区の魅力を多くの人に伝えたい!」という意識が芽生えたのだそう。
素晴らしい!
自分が住む土地の素晴らしさを伝えたいという想い、受け取りました。
ということで、シナリオ・センターの田中がお伝えした模様をレポート。
“動画づくりで子どもたちの隠された力が開花!”と題してご紹介いたします!
=今回の概要==============
・サービス名:「旭区のPR動画をつくりたい!」
・目的:総合の取り組み 動画づくり
・対象:横浜市立中沢小学校さま(6年生)
・時間:各約90分
※キッズシナリオの詳細
https://sites.google.com/view/kids-scenariocenter/home
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ワークシートを通して考えてみよう!
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キッズシナリオで動画の作り方を紹介するときは、講義だけでなく、キッズシナリオオリジナルのワークシートに書きこんでいく実習も行います。
実習と言っても、難しいことではありません。
この動画で伝えたい「テーマ」をシンプルに一言で考えて、
そのテーマを誰に伝えたいのか「伝えたい人」を具体的に1人決めます。
その「テーマ」と「伝えたい人」を忘れないように、ワークシートに書きこんでおきます。
そしたら次に、どんな映像をどんな順番で見せていくのか、画(え)コンテ(=簡単なイラスト)とシナリオを書いていきます。
ただ、このワークシートを通してやりたいのは、「画コンテやシナリオを上手に描くこと」とか「たくさん描くこと」ではありません。
「どういう動画にしようかな」といろいろ想像したり、
「どうすればこの人に伝わるんだろ?」と唸ったり、
いい動画を作るにはどうしたらいいかを考える時間にしてほしいのです。
だから、たとえ全然描けなくても、全然OK!
このことをみんなに伝えてから、いざスタート!
最後に、できたところまででいいので、クラスを代表してこちらの2人に発表してもらいました↓
☆Aさんの発表☆
・テーマ:旭区の公園にある自然の豊かさ
・伝えたい人:旭区に公園があることを知らない人
・画コンテ&シナリオ:
→公園の全景(ロングで映して、自然が豊かなことをPR)
→葉っぱのアップ→お花のアップ→その他、植物のアップ
→素敵な景色に感動する人(散歩している人の感想「素敵な場所だなぁ!」)
→リポーターのアップ(リポーターが公園の良さを語る)
→リポーターをロングで(リポーター「みんなも来て下さいねー!」とメッセージ)
※アップやロングなど「映像の枠」についてはこちらを。
▼ロング バスト アップ を意識
・田中の感想:旭区の自然の豊かさがよく伝わってくる画コンテとシナリオでした。公園の全景をロングで撮るところから始まって、そこから次々に、どんな植物があるかをアップで撮っていく。“映像の枠”をちゃんと意識できていることが分かります。もうプロの考え方ですね、すごいです。Aさんは授業中ずっとニコニコしてくれて、ニコニコしながら「発表、ヤだよー!」って言っていたけど発表してくれました。自信をもって、みんなで動画づくりに励んでください!
☆Bさんの発表☆
・テーマ:自然と都市が共存する街『旭区』の素晴らしさ
・伝えたい人:東京都目黒区在住19歳の大学生
・画コンテ&シナリオ:
→テロップ「あなたは、自然と都市が共存する街『旭区』を知っていますか?」
→グリーンエキスポ開催の街をロングで
→グリーンエキスポのマスコットキャラのアップ→展示をロングで(ナレーション「自然と技術が融合した未来的な展示を観ることができます」)
→緑に囲まれた街をロングで(木々。自然が多いことをPR)
→オカピ(ナレーション「初の飼育と繁殖した街でもあります」)
→電車が走っている様子(ナレーション「旭区は交通アクセスの良い街でもあります。新宿や東京などの都心まで1本でアクセスできます」)
→学校の外観(ナレーション「教育施設も充実した街でもあります」)
→テロップ「『旭区』で待っています」
・田中の感想:この動画は誰に向けたものなのか聞いたところ、対象は東京都目黒区在住19歳の大学生で、「この人に旭区に住んでみたいなと思ってもらえるように、住みやすさと将来を見据えた町であることをアピールしたい!」とのこと。Bさんには“視聴者の姿”が見えているんです。こんなふうにただ自分が作りたいもの、ということだけではなく「こういう人に伝えたいから、こう作ろう!」と考えることは動画作りだけじゃなくて、創作全般においてとっても大切なこと。それがもう既に実践できているところすごい!
上記のおふたり以外の子どもたちのワークシートも、授業中に見せてもらいましたが、いろいろな角度からアプローチしていて、これを基にもうすぐにでも動画が作れちゃいそうな、素敵な絵コンテとシナリオが描かれていました!
動画づくりで普段とは違う一面が!
これまで、いろいろな学校の子どもたちに、キッズシナリオを通して動画作りを紹介してきました。
終了後、よく担任の先生方から
・あの子のあんな真剣な表情を初めて見ました。感動しています!」
・作文の苦手な子がシナリオを黙々と書いていたり、いつも落ち着きがない子が動画の絵コンテを真剣に描いていて、ビックリしました!」
・みんなで一致団結して本当に動画が作れるのか、正直不安でしたが、みんなが自発的に役割分担を決めて、もう撮影の準備を進めています!
――といった感想をいただきます。
キッズシナリオは、“先生方が子どもたちの意外な一面に気づける時間”にもなるのでは、と思っています。
例えば。
普段は人前で話すのが苦手だけど、実は人を撮影することに興味があって、動画作りでは「撮影」を担当することになった、とか。
普段は元気すぎるほど元気!だけど、実は黙々と本を読んだり、物語を考えることが大好きで、動画作りでは「脚本」を担当することになった、とか。
自分の得意なことや興味のあることを担当することで、それぞれの個性を発揮できるというのも動画の特徴です。
だから、先生が普段知っている姿とはちょっと違う、意外な一面を垣間見ることができるのだと思います。
中沢小のみんなも、それぞれの得意なことを発揮しながら、普段の学校生活ではあまり見せない“顔”がチラリ!先生も驚いていました。
この調子で、旭区の魅力が詰まった動画、作ってください。
完成を楽しみにしてまーす!
※動画を作るときはこちらの書籍も参考にしてみてください↓
▼改訂版 『いきなり効果があがるPR動画の作り方』(「シナリオ教室」シリーズ/言視舎/企画・構成・著:新井一樹 /執筆:川村千重・内藤麻貴・田中和次朗)
※いろいろな学校でキッズシナリオを実施中。事例をご紹介しておりますので、「うちの学校にも来てほしい!」ということでしたらご参考までにご覧ください。
▼コミュニケーション力 を上げるシナリオ研修 事例まとめ