フジテレビヤングシナリオ大賞発表
シナリオ・センター代表の小林です。今日もどんより冷たい表参道ですが、出身ライターの山本むつみさんがインタビューにおいでくださり、佐藤万里さんが遊びに来てくださりと楽しいことがいっぱいの一日だったのですが、その上に嬉しいニュースが重なり一挙に暖かくなりました。
お待たせしました。発表が遅れ遅れになった「フジテレビヤングシナリオ大賞」の授賞式が今日行われ、大賞1作、佳作1作が決定され、発表となりました。
おめでとうございます!!三嶽咲さん、「天才クイズアカデミー」で佳作を受賞されました。
今は大変なフジテレビですが、ドラマ作りは別のこと。キャスティングもロケもやりにくい状況とのことですが、是非とも頑張ってドラマづくりに向かって欲しいものだと思います。
今回の三嶽さんの作品は、高校生のクイズ・ザ・チャンピオンを狙う鹿児島の高校生3人が主人公です。
選考理由として「企画力とテーマの新鮮さを感じました。バラバラの個性を持った3人が一つになっていく、よくある青春ストーリーかと思って読み進めると、既存のコミュニティに入っていく難しさとそこに飛び込んでいく勇気の話しだったりする。
三嶽さんはお話ししていても、今の時代を切り取り、分析する力に長けていると感じました。新しいものを作る意欲と気迫、自信に、大きな可能性を感じて佳作に選びました」
長々と選考理由を何故書かせていただいたかというと、「企画力とテーマの新鮮さ」「今の時代を切り取り、分析する力に長けている」というところが大事だということを申し上げたかったからです。
これこそが、それぞれがお持ちになっている「作家性」なのですね。
「よくある青春ストーリーではないもの」を描かれたという三嶽さんは、「今の時代を切り取り、分析する力の長けている」と審査員にいわれました。
ただのクイズ選手権に向かっての成長物語として、予定調和になりがちなものを三嶽さんだけの切り口で描かれたことが勝因だったのだと思います。
三嶽さんの今後のご活躍を期待しています。
映画のここを見ろ!
シナリオ・センターのホームページでおなじみの「柏田道夫の 映画のここを見ろ!」お読みいただいているでしょうか。
柏田流の映画分析をご覧いただいた上で、映画を見ていただく、又は見た映画を思い出していただくと、ご自分の想いが明確になります。
こんなものを描きたい!と、きっと触発されると思います。
今回は、ミュージック界の革命児ボブ・ディランの青春期を描いた話題作『名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN』を取り上げていました。
「青春物も当たり前ですが、描くのは「人物の成長(変化)」です。未熟だったり欠点だらけの主人公が、何かを達成しようとする。ただ単に、頑張る姿を描けばいいわけではない。
特に青春物は「痛み」や、それゆえに醸し出される「せつなさ」がスパイスのように加えられると、いっそう輝く作品とすることができる。軽い青春サクセスストーリーではない本作から、そうした要素を見てほしい。」と書いています。
物語は、「これこれこういうお話しです。」では面白くも何ともありません。
青春ものでも切り口が違うと全く違うものになります。
ですが、それだけではだめで、主人公を通して何を訴えたいかが作家性になるのだと思うのです。キャラクターが大事だというのもわかりますね。
ネットやAIは便利ですが、大切なのはそこからもう一歩踏み込んで、何を見い出すかその目だと思うのです。
そのためには、ネットやAIに頼るだけでなく、色々なことにアンテナを張って、自分の足で動いて目や耳を養ってください。
その上で、コンクールに挑戦してみてください。
次回の「第37回フジテレビヤングシナリオ大賞」は5月15日締め切りです。