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表参道シナリオ日記

シナリオ・センターの代表・小林幸恵が、出身ライターの活躍や業界動向から感じたことなど、2006年からほぼ毎日更新している日記です。

創作

TBS NEXT WRITERS CHALLENGE2024 授賞式

TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024

シナリオ・センター代表の小林です。今日は「TBS NEXT WRITERS CHALLENGE 2024」の授賞式がありました。
最終選考の半分がシナリオ・センターの方でしたので、ワクワクしながら授賞式にお伺いしました。
残念ながら、大賞は逃しましたが、佳作に長濱亮祐さん、同じく根本江利子さん、特別賞に竹上雄介さん、同じく上牧晏奈さんが受賞されました。
おめでとうございます。
これからライターズルームに所属して新しいドラマ作りに頑張られることでしょう。脚本家としての活躍が楽しみです。
企画では、設定が面白ければ話が進んでいきます。
ですが、その設定をどうドラマにするか、キャラクターは、どんなシーンで構築していくかが脚本です。
設定と脚本は似て非なるものだということをわかりながら、脚本に取り組んでもらいたいと思います。
ドラマとは人間を描くことです。

まだ放映日は決まっていませんが、1回目の大賞作「フェイク・マミー」は連ドラになるそうで、現在ライターズルームでシナリオ作りに取り組んでいらっしゃるそうです。楽しみですね。
TBSの龍宝社長は、「脚本こそが一番」とおっしゃっていました。
次回もまた募集が行われますので、どんどんチェレンジしてください。

落語

出身ライターの佐野誠さんが久々にお顔を出してくださいました。
佐野さんは、テレビドラマ、映画企画など幅広くご活躍ですが、出身ライターの中ではちょっと珍しいお仕事をされています。
珍しいというと失礼ですが、落語家の立川志の輔師匠の片腕として、志の輔師匠とご一緒に新作落語づくりをされていらっしゃるのです。

毎年、年初めの厄落としに「志の輔落語inパルコ」を観劇させていただいている私ですが、実は志の輔師匠と佐野さんの創られる新作落語が聞きたくてというのが本音です。
佐野さんから、どれだけ練って練って考えて考えても足りなくて、また練りに練って、始まってからもまたという志の輔師匠との作り方をお聴きしているので、今度の新作はどんなふうに作られたのかなぁと毎回分析してみようと思うのですが・・・。
ま、始まってしまうと聞き惚れて、毎年そんなことをすっかり忘れて、志の輔落語の世界にどっぷりはまってしまいます。
当り前かもしれませんが、そんな苦労されて作られたことを微塵も感じさせない至極の芸で見事に観客を引き込み、心から笑わせてくれる志の輔師匠にいつも圧倒されるばかりです。

「落語は人間の業の肯定である」志の輔師匠の師である立川談志師匠は常日頃おっしゃっていたそうです。
だから、共感する、だから、笑えるのだと。
志の輔師匠の落語もまさにそれで、愚かな人間をやさしく包み込む。
佐野さんの新作作りのご苦労の大勢はここにあると思うのです。
古典でも悩まれるそうです。
過日のパルコでは、締めに古典の「文七元結」をおやりになりました。
「文七元結」は歌舞伎にもなっている有名な人情話ですが、大雑把に言うと、博打で借金だらけの長兵衛が娘が身を売ろうとしてまで作った50両を見ず知らずの男の自殺を止めるためにあげちゃって・・・という話です。
ま、もちろん最後はめでたしめでたしになるのですが、一文無しの長兵衛がなぜ見ず知らずの男に、娘が死ぬ思いで作った50両をあげてしまうのか、そこを志の輔師匠は、深堀りされていらしたそうです。
長兵衛のキャラクターが、葛藤が、その決心が観客に伝わらないと「文七元結」は成り立たないという師匠はさすがだと思いました。
「死んじゃう奴をほっておけないねぇよ」というだけでは、ちょっと浅い。年末にふんどし一つしかなくおカミさんの着物をはいで着るくらい貧しい男が施すのですから。
徹底に、人間の心を考えるから、笑えて泣けるのです。

それぞれのキャラクターが人間の弱さやそれぞれの想い、全て含めて人間なのだと志の輔落語は語りかけてきます。
特に、落語は独りで演じる舞台ですから、ドラマ以上に登場人物のキャラクターがしっかりできていないと観客に通じません。そこをご存じだからこそ、志の輔師匠は佐野さんとともに作られているのでしょう。
新作落語の「神子原米」も再演の「みどりの窓口」も、キャラクターが抜群でした。
佐野さんの脚本家としての腕を、技術を落語に活かしてくれるから、志の輔師匠は信頼していらっしゃるのでしょう。
佐野さんに、心底温まる人情ドラマを書いてもらいたいなぁと思います。
落語もいいけど、ドラマもね。

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